本は、あなただけのひみつ道具。
小学生の頃、休み時間は図書室に足繁く通い、放課後になると借りた本を早く読みたくて早足で家に帰った。時に、友達の誘いを断って家で一人で本を読むこともあった。
どこにだって、ひとっ飛び
家と小学校という狭い世界に生きていた子供の私にとって、本は、世界中につながるどこでもドアだった。
海の向こうの知らない国々や、魔法が使えるファンタジーの世界や、動物たちが暮らす森。本という無数の扉があって、その先には想像もできないような壮大な世界が広がっていた。
本を開いた次の瞬間に、どこかに旅をする。知らない世界を知ることが楽しくて、まだ見たことない世界にワクワクして、毎日飽きずにページをめくった。
今でもそれは変わらない。ひと度本を読み始めると、途端にブワッと作中の世界が目の前に展開され、その中に引き込まれていく。登場人物たちのそばにいて、一緒に嬉しくなって微笑んだり、悲しくなって泣いたりする。本を読み終わって閉じる時は毎回、楽しかった旅を終えて帰路に着く時のような、寂しさと切なさがある。
最近のお気に入り
最近寝る前の読書時間で、江國香織の『東京タワー』を読み返している。
彼女が描く恋愛模様にぐんと引き込まれて、没入感に浸るのは1日の中で最も至福の時である。情景の描写はまるで、さらさらと降り注ぐ時雨のようだ。きらきらと輝く言葉のかけらたちが私の上に降り注ぎ、心を癒す。読むのは二回目だけど、読み終わるのが惜しいくらいに好きな本だ。
一番好きな小説
この本に出てくる「ナギ」という女の子が、とても好きだ。トラウマを乗り越えて、愛するハーレーに乗って、北海道をソロツーリングで旅する彼女が。自分もこんな生き方がしたい、と思わされる。原田マハが紡ぐ、繊細だけど力強い言葉たちに励まされる。北海道の大地を感じ、生きる元気が湧いてくるような本。
ビジネス書もいいけれど
毎日現実と向き合って生きている社会人の人たちにこそ、小説を読んでほしい。本を読む時間は、あなたのシェルターとなり、癒しとなるからだ。
本は、大人でも使える魔法だと思う。
どこかへ行きたい人には、ぜひ、小説を読んで空想の旅をして欲しい。