前から望んでいたことだった。 だから、すぐにYESと言った。 今でもその選択は間違いとは思っていない。 ただ、 こんなに心が苦しくなるなんて思ってもみなかった。 例えば友達がずっと一途に片想いしてた人に、 やっと思いが通じて恋人になったのに、 彼女は、自分からその恋を壊してしまった。 あの時の感じに似てる。 私ははたから、かなり客観的に見れていたと思うのだが、 彼女は、彼が自分と付き合っていることを、 お情けだとか、きっと誰でも良かったのだとか、 好きな人に振られてやけ
彼が結婚するらしい。 それを聞いて、ショックを受けている。 私の人生には要らない人だと切り捨てたにも関わらず、誰かと人生を歩むと知ると、、 聞いた日の夜、久しぶりに夢を見た。 知らない女性がウエディングドレスを着て 笑っていた。 女性は2人いて、どちらも少しぽっちゃりしていて、人の良さそうな雰囲気だった。 私はどちらが彼の嫁なんだろう? と見定めていた。 結婚はタイミングだとよく言われるが、 全くその通りだと思う。 どんなに大好きな食べ物が目の前にあっても、 お腹が吐
何気なく見た彼のパスポート。 知らない国のスタンプがあった。 その国を知らないのではなく、 彼がそこに行ったことを知らなかっただけ。 そう言えば、 友人と一緒に行く旅行の手配をしてた私、 2人分のチケット予約のために、 友人のパスポートを少しだけチェックする必要があったのだけど。 いつもなら気軽に渡してくれてたそれを、 彼女は意味もなく拒んだ。 何の情報が必要なの? その部分を教えるから、と。 おめでたい私は、疑いもせずに ここのページを、、なんて言って、 最近は
若い頃のこの特別な日は、恋人と過ごすべきだといつの間にか刷り込まれていた。 あの年のクリスマスイブ、 制服から華やかなワンピースに着替えて、 ビルの裏で彼の車を待つ。 1時間近く遅れて来た彼だけど、 待つのは慣れている。 いそいそと助手席に乗り込む、同僚に見られてないだろうか、見られても平気なんだけど。 高速道路を飛ばして、出来て間もないレストランで食事をして、それから、、 仕事があるから、と家まで送られた。 こんな特別な夜になんてこと?! きっと私は彼を責めただろう、
私は彼を心から愛していたし、全部受け止められると思っていた。 思っていたが、無理だった。 彼の浮気、というのか。 敏感な私にはすぐにわかる。人妻と会っていること、スナックのママにいい顔をしてること、 真剣な付き合いではなさそうな相手ばかりだったけど、相当に傷付いた。 若い私は、小賢しくも、気付いていることを彼にアピールしていた。わかっているのよ!とばかりに、証拠を突き付けた。 彼は、言い訳したんだだったろうか、、 虚な眼しか思い出せない。 あんなに忙しい仕事の中で、
特徴的なナンバーで、彼の車だと勝手に思い込み、それからの回想が堪らなくて、書いて吐き出したいと思った。 付き合い始めて間もない頃、 忙しい仕事の合間を縫って、 山の中の鯉料理のお店に連れて行ってくれた。 個室のお座敷に通され、はしゃぐ私、 疲れた顔ですぐにでも横になりたい顔した彼。 給仕してくれた仲居さんが、 「奥さんですか?」と普通に彼に言うと、 彼は、 「いや、、まだ」 と言ったのだ。あの時、、 私は、その言葉にうっとりした。彼は私の最後の人だと疑ってもみな
高速バスに乗っていたら、覚えやすい車のナンバーを見掛けた。 確か、あのナンバーは、、、 車種までわからなかったけれど、すごいスピードでバスを追い越して、すぐに見えなくなったあの車は、 きっと彼の車に違いない。 運転席を確かめたい、と数分間思っていたけれど、すぐにスマホの画面に視線を戻した。 ずっと前、昔々のあの時、 彼と付き合っていた時、 お休みの日に少しだけ会って、食事も誘われずに彼は何処かに行ってしまった。 私はすることもなくて自分の車でその辺を流していると、彼の