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立憲民主党は事実関係の解明を――本多議員をめぐる一連の問題について

 性犯罪刑法改正の議論の場で本多平直氏が行ったとされる不適切発言については、下記の報告書と意見書の提出、および本多氏による経緯説明を経て、調査のずさんさや根本的な事実関係にまでおよぶ見解の食い違いが明らかとなりました。

立憲民主党ハラスメント防止対策委員会による調査報告書
本多平直氏による意見書
本多平直氏による「意見書」の概要
本多平直氏による経緯説明

 本件では、事実関係に不明確な面があるのにもかかわらず、手続き論を度外視した強引な処分が行われつつあり、党の支持者や次期衆院選で党に期待を寄せている人たちから多くの批判が行われています。また内部の国会議員や地方議員、今後選挙に臨もうとしている政治家からもおかしいという声が漏れ聞こえてきており、重大な問題だと考えている人も少なくないことがうかがえます。このような状態で処分を断行すれば大きな禍根が残りかねません。そこで、事実関係の再検証を行い、その情報をきちんと開示することが望ましいと考えます。

 事実関係の検証が不完全であり、認識にも根本的な食い違いがある以上、普通の組織であるならば、このまま処分を行うということはありえません。処分はあくまで、きちんとした事実関係の検証を経た後にすべきかどうかが判断されるもので、行う場合も手続きにのっとって多くの人が納得のできる形で行われるのが当然のことです。それは、本件について処分すべきだと主張している人も、処分すべきでないと主張している人も同意する点であるはずです。

 本多氏が行ったとされる不適切発言については、発言があったとされる5月10日の録音・録画・議事録を調査し、それらが存在する場合は明らかにする必要があるでしょう。仮に存在しなくても、zoomのログを調査したり、一人一人の参加者に録画、録音がないかを確認するなど、きちんと事実関係を明らかにするための対応が行われるべきです。また、それ以外の日の記録を検証することで、本多氏の会議に臨む姿勢や法改正に対する考え方が果たして異常なものなのか、処分に値するものなのかはうかがえることでしょう。それとともに周囲がどう振舞っていたのか、座長がどう振舞っていたのかということもまた検証するわけです。

 他方で本多氏の経緯説明によれば、6月3日に本人の発言と異なる内容(不適切発言)をふくむ中間報告案が党所属の全国会議員に対して一斉送信され、翌日に報道されたということであり、ここに大きな不正義が行われた可能性が提示されています。「本多議員の認知の歪み」などと人格攻撃する調査報告書の作成に至るプロセスなどもあわせて、第三者委員会等を設置してどうしてこのようなことになったのかという経緯を解明していくことが必要となるでしょう。事態は執行部の責任問題に発展する可能性が否定できませんから、第三者委員会は執行部の影響が及ばないように守られなければなりません。党首や幹事長もその第三者委員会に権限を委譲するという形で、自らのことを調べてもらうわけです。

 このようなことを行えば、党への信頼は大きく回復されるでしょう。検証の際には情報公開を徹底し、透明性を確保し、支持者や有権者に対して事実関係を明らかにするのです。「我々はそういうことができるのだ」「我々はそういうことを行う党なのだ」ということを示すのは、必ずや党への信頼につながっていくはずです。逆にこうしたことを行わないのであれば、そのような勢力に権力を与えることについて、憲法に保障された自由及び権利を不断の努力によって守る者として、懸念を持つのは当然のことです。

 繰り返しますが、処分はきちんとした手続きを経て行われる必要があります。手続きを度外視して処分が行われるという前例を築けば、今後、その刃が党の全関係者に向けられる可能性を排除できなくなってしまうでしょう。そのような政治は果たしてまっとうなものと言えるのでしょうか。これは、立憲主義と民主主義における問題です。そのような名前を掲げる政党であるからこそ、健全な場であってほしいと思います。

2021.07.25 三春充希

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