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衆院選の野党共闘は東日本で大勢が決する

 47回衆院選(2014年)と48回衆院選(2017年)をもとに、野党共闘のシミュレーションを行いました。その結果、いずれの場合でも、逆転が起こる選挙区は東日本に集中していることがわかりました。

逆転選挙区数

 その逆転の模様をアニメーションで示します。

野党共闘シミュレーション全国note用47回衆院選


野党共闘シミュレーション全国note用48回衆院選

 特に関東地方では多くの選挙区が覆る結果でした。

野党共闘シミュレーション関東note用47回衆院選


野党共闘シミュレーション関東note用48回衆院選

 また、当選者と落選者の得票率が10ポイント以内の選挙区を「接戦選挙区」として集計したところ、これも野党共闘モデルでは東日本で多い結果となりました。

接戦選挙区数


⭐想定した野党共闘モデル

 ここで想定した野党共闘モデルの説明を行います。やや細かい話も含むので、いったん飛ばしていただいても大丈夫です。

 まず、47回衆院選については下のような枠組みを想定しました。

47回衆院選野党共闘モデルa

 与党の勢力は3つに分けました。与党側①は自民・公明の公認候補で、選挙協力があります。これに対して、無所属で立候補している与党系の候補を与党側②とし、さらに次世代の党の公認候補を与党側③としました。次世代の党は与党ではありませんが、ここでは便宜上そのように扱うこととします。

 野党側も勢力を3つに分けて、野党側①に民主・共産・社民・生活の公認候補と、無所属野党系の選挙協力を想定しました。野党側②は維新の公認候補、野党側③は選挙協力に関与しないと考えられる無所属の候補です。それぞれの無所属候補の取り扱いは次の通りです。

無所属与党系:阿部寿一、上野宏史、小泉龍司、浅尾慶一郎、長崎幸太郎、三谷英弘、山口壮、戸井田真太郎、井上貴博、新開裕司

無所属野党系:池田真紀、中村喜四郎、渡辺喜美、池田東一郎、杉本和巳、亀井静香、渡辺利絵、野間健、仲里利信

無所属独立系(その他の諸派を含む):飯田佳宏、佐藤誠、木村隆、西尾憲一、石田和男、荻原隆宏、後藤田弥生、野崎孝信、又吉光雄、犬丸勝子、ドクター中松、鈴木達夫、下村芽生、猪野隆、岡本貴士、浜崎茂、古橋和大、広沢一郎、増田成美、平智之、蜷川澄村、吉田治、辻恵、大前春代、西岡新、藤島利久、金出公子、明石健太郎、中村宣久、佐藤正夫、森拓也

 選挙協力があるとした勢力では、実際の選挙(小選挙区)で獲得した票を合算します。そのうえで、与党側①、②、③、野党側①、②、③の6勢力が競合するとして、当落を計算しています。

 48回衆院選も同様の考え方にもとづく扱いです。与党系を①、②、野党系を①~④に分けて、6勢力の競合を考えました。

48回衆院選野党共闘モデルa

無所属与党系:今野智博、浅尾慶一郎、長崎幸太郎、中山泰、西野弘一、平沼正二郎
 
無所属野党系:小沢一郎、鎌田さゆり、安住淳、金子恵美、玄葉光一郎、中村喜四郎、渡辺典喜、福田昭夫、野田佳彦、江田憲司、鷲尾英一郎、黒岩宇洋、菊田真紀子、大平悦子、梅谷守、中島克仁、篠原孝、曽我逸郎、吉田里江、小山展弘、山尾志桜里、伴野豊、重徳和彦、松田直久、中川正春、岡田克也、嘉田由紀子、前原誠司、平野博文、船川治郎 、佐藤泰樹、菊地憲之、塩村文夏、恵飛須圭二、広田一、新井富美子、原口 一博、西野太亮 、林健二、玉城デニー、仲里利信
 
無所属独立系(その他の諸派を含む):今留尚人、石川英行、豊田真由子、犬丸光加、又吉光雄、井上郁磨、円より子、斎藤郁真、前田吉成、小山徹、中村勝、大塚紀久雄、猪野隆、天木直人、伊藤久美子、大西恒樹、圷孝行、三村誉一、駒村幸成、服部泰輔、対月慈照、小田切新一郎、鈴木麻理子、小泉修平、中条栄太郎、玉田憲勲、西本昭彦、落合洋司、黒川敦彦、郡昭浩、宮崎一博
 
※無所属で立候補して追加公認された候補は、公認候補の側に集計しているため、ここには掲載していません。(結果に対する影響はありません)。

 補足しておくと、無所属にはどのように分類するか悩ましい候補もいて、判断が分かれる部分もあるかと思います。各党の公認候補にも、その後に与野党間を渡った人がいて、線引きには不明瞭な面があります。基本的には選挙当時に合わせていますが、これはあくまでシミュレーションであり、そのまま次期衆院選の予測として成立するわけではないことに留意してください。


⭐与党の勢力は西高東低

 それでは、なぜ東日本が大勢を決する鍵となるのでしょうか。それには、与党の勢力の地域特性が関係しています。下の図に、48回衆院選比例代表の与党(自民党と公明党)の得票率を示しました。塗り分けは小選挙区ではなく市区町村で行っています。

 先ほどの野党共闘モデルは小選挙区をもとにしていましたが、ここでは候補者個人になるべく左右されない政党の力を見るため、比例代表を参考にしました。

 与党は西日本で特に強いことがうかがえます。

2017与党得票率

 野党共闘で逆転が起きるかどうかというのは、まとまれば与党を上回るかどうかということなので、最初から与党が50%以上の票を得ている地域の多い西日本では決め手にならないというわけです。

 もちろん上の図は維新が野党側に集計されていますから、青い所を実際の野党共闘側の陣地と見るのは見積もりが過剰です。そこで、さらに維新を別集計とした塗り分けを行いました。

 下の図が、比例代表をもとにして見た与党と野党4党(立憲・共産・社民・希望)の力関係です。やはり東日本で青い地域が多くなっています。この青い地域で野党の候補者が割れていることがどれほどの損失なのかを想像してください。こうした地域では絶対に割れたらダメなのです。

与党、野党、維新

 東日本は、まとまって正面からぶつかれば、かなり食い込める余地があります。対して西日本は、多くの選挙区ではまとまるだけではまだ不足で、何かプラスアルファが必要になるはずです。

 これまで衆院選では野党共闘が実現したことがありません。2014年は民主と共産が競合し、2017年は立憲民主と希望、あるいは希望と共産が競合することになりました。その結果、小選挙区と比例代表のいずれでも半分以下の票しか得ていない与党が3分の2を超える議席を得ることになりました。その結果として国会での強行採決が繰り返されてきました。

 このようなことを繰り返してはなりません。野党共闘には様々な課題や欠点もあります。「野党共闘」というのが単なる掛け声のように言われたりすることもあります。しかしそれには具体的なイメージがあります。どこでどう戦うのか、どこに力を入れるのかというイメージを、ぜひ共有してもらえればと思います。

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note: みらい選挙プロジェクト情勢分析ノート

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社会を変革する手段としての正確な政治情勢分析を、誰からも独立して探求しています。著書に『武器としての世論調査――社会をとらえ、未来を変える』(ちくま新書)。自由にフォローしてください。Twitter: https://twitter.com/miraisyakai

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メインのカテゴリでやや重めの記事が多いです。毎週の世論調査はここではなく「世論の動向」にまとめています。

コメント (1)
思うのですがご期待の東北地方ですら2019年の参院選では護憲4党の得票率は自民・公明の与党に逆転されていると思うのですがいかがでしょうか?
http://blog.livedoor.jp/brothertom/archives/79784127.html
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