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ウィルスによる感染について問題発見の視点から考える(4)

(1)1. ウィルス(病原体)とは
(2)2. 感染源(ウィルス保有者)
(3)3. 感染媒体(感染経路)4. 被感染者
(4)5.どうする?

5.どうする

ウィルスの性質と存在形態を知り、どこで発生し、どの様にして感染するのか、感染しても生体防御機構(免疫)が働くことについて整理した。感染の仕組み、プロセスを理解できれば、どこに問題が潜んでいるか発見でき、対策も可能となる。各方面で3密を避けるようにと言われているが。それがどういうことなのか、どこに注意をしたら良いのかが分かる。

そして対策を要する主な問題は感染と発病の2つに分類できる。感染を完璧に防止することは難しいが、発病し、重症化するリスクは低減可能である。

1) 感染予防
(1) ウィルスという病原体を理解する

① ウィルス自体は0.1μm以下だが、環境中では水に覆われているので、1〜100μmのエアロゾル(霧)として(室内の)空気中、あるいは付着したモノに存在し、乾燥すると感染力を失う。

② 非生物なので増殖するには生物の細胞に寄生しなければならない。環境中で自らは増殖できない。

(2) 感染源(風邪の症状がある感染者)に近づかない

① 風邪の症状がある感染者(発熱、咳、くしゃみ)

② 感染者がいるかもしれない換気の悪い密閉の場所

(3) 感染媒体(感染経路)毎に適切な予防をする

① 飛沫感染対策
感染者とは2m以上の距離を保ち、至近距離で話さないことにより飛沫を直接浴びることを予防し、さらにマスク等により口を覆い、飛沫を吸い込むことを防止する。

② 空気感染(エアロゾル)対策
換気の悪い室内で湿度が高い場所は避けた方が良いが、空気を入替え、換気することによりウィルス濃度を希釈することが可能である。

被感染者が許容できるウィルス量が分かれば、下記より必要な換気回数と許容滞在時間を設定することにより室内空気中のウィルス濃度許容値以下に保つことができ、対処することも可能である。

人間が吸い込むウィルス量=室内空気中のウィルス濃度×呼吸量

室内空気中のウィルス濃度=感染者が排出する呼気中のウィルス量÷室内の空間容積×時間当たり換気回数呼吸量=0.5L/回×12回/分×滞在時間(成人の例)

ただし、感染者が排出する呼気中のウィルス量は感染度合いによる。

1回当りの呼吸量は年齢や運動の激しさ等により異なる。

③ 接触感染対策
ウィルスが付着している可能性があるモノは除菌し、触った手も除菌する。さらにウィルスを家に持ち込まないため、衣服や持ち物も除菌した方が良い。

・アルコール(エタノール70%、消毒用)
アルコールが膜を壊してウィルスにダメージを与える。
やりすぎると、皮膚からの侵入を防御している皮脂までを除去してしまうので、程々に。

・次亜塩素酸ナトリウム(0.05%または500ppm)
水溶液にしたときの残留塩素が細菌や微生物の呼吸系酵素を阻害し、細胞の同化作用を停止させる。ただ、アルカリ性で、金属に対して腐食性があるので、少し時間をおいて水拭きした方が良い。

手などを消毒する場合100ppm程度にさらに薄めると良い。
ただし、アトピー等、皮膚が弱い場合や塩素に対するアレルギーがある場合は注意が必要。

また、どこにウィルスが付着しているか不明なため、何かを触るときは、極力利き手でない方の手を使用し、触ったら消毒するという方法もある。


ところで、現在国が推奨している「3密」は感染予防である。

・ 「密集」手に届く距離に多くの人がいる状態。不特定多数の人が集まれば、感染者がいる確率が高まり、直接あるいは間接的に媒体を経由して感染するリスクも高まる。つまり感染源に近づくなと言う考え。

・ 「密接」近距離での会話や発声。飛沫を直接浴びることにより感染リスクが高まる。

・ 「密閉」換気の悪い空間。特に人が多い密室では湿度が上がり、所謂ムンムンとした状態となる。その空間に感染者がいた場合、4μm以下の飛沫が乾燥せず、エアロゾル感染するリスクが高まる。また、飛沫がモノに付着し、そのモノを経由した接触感染のリスクも高まる。

2)発病予防

仮に感染しても、発病しないことことが大事である。患者数は感染者数の8割、感染者と濃厚接触しても発病する患者は1割以下となっている(PCR検査対象者を濃厚接触者とした場合の患者の比率、2020/04/27現在)。下記のサイトでは感染者数、患者数、重症者数、死亡者数、年齢別に最新情報が分かりやすく整理されている。

人間には生体防御機構があるので、摂取するウィルス量をできるだけ少なくすること、そして自身の免疫力を良い状態に保つことで発病を予防できる。その免疫を高めるには以下が大事とされている。


・ 体温を36℃台に維持
 適度な運動をし、ある程度筋力をつける、日光を浴びる
 寒いときは我慢せず、厚着をする
 部屋は適度に暖め、適度に加湿する(22℃、50%前後)

・ 鼻呼吸を心がける
 口で呼吸すると、乾燥した冷たい空気が直接のどの奥へ取り込まれウィルスの侵入は容易になる

・ 喉を潤す
 マスクの着用、15分おきにお茶や水を一口、のど飴も良い
注)その後、喉が乾燥せず、健康な人はマスクを着用する必要がないことが分かった。このことについては改めて整理する)

・ ストレスを溜めない
 適度に休む
 正しい知識を身につけ、不安を煽るテレビ等は見ないようにする
 様々な”当たり前”に感謝する

最終的にウィルスを防ぐのは自分自身の免疫である。ワクチンは治療薬ではない。増殖を防止するのみで、それも特定のウィルスのみに有効である。ウィルスが変異し、新型が出現した場合には効かないので、その効果は限定的であることを認識しなければならない。

一言にウィルスと言っても、毎年新たなウィルスが出現する。感染した場合、どの様に発病するかはそのウィルスによる。それでも、ウィルスによる感染の仕組み、予防は同じである。そして治癒できるのは自分自身の免疫のみ。
生活環境を整え、衛生状態を当たり前に保ち、精神を安定させることが最も重要かもしれない。

最後に

ウィルスによる感染について考察した。感染後の研究はたくさんあるが、感染前、予防の研究は充分でないように思える。実験により、明らかにできることはまだまだある。非常に“ふわっ”としたことばかりで、正直、何故データ、数値的な根拠がないのか不思議でならない。もっと研究し、ウィルスの強さに応じた感染予防を準備しておくことは必要と考える。

そして、私達にとって大事なことは、感染予防ではなく、発病しないこと、もっと言えば重症化しないことが目的である。従って、感染リスクを正しく理解し、ウィルスに感染する量を自身の許容値以下に保つため、適度に衛生状態を保ち、感染しても発病しないよう、免疫系を健康に保つことに努めたい。

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