見出し画像

超基本|新NISAのここが良い(2024年1月開始)今のNISAとの比較・少し得するテクニック

投資をしている方、これから投資を始める方にとって大きな関心ごとである新しいNISA制度について解説致します。この文章は2023年6月29日時点の情報を元に作成しております。時間の経過と共に制度情報が変わる可能性が有ることにご注意ください。

今のNISA制度のおさらい

先ずは2023年中までの制度である今のNISAについておさらいをします。新しいNISAは今の制度を元に拡充しているので、今の制度を理解すると新NISAがより分りやすくなります。

NISAは国が皆さんに対して投資を積極的に行ってもらうために設定した制度です。NISA制度を利用すると国内外の株式、投資信託などの売買で利益が出たときや配当金を受け取ったときに税金が掛かりません。本来はこれらの利益や配当金に20.315%の税金が掛かります。

NISAはNISA口座を開設して、その口座内で取引をすれば非課税の扱いとなります。NISA口座は証券会社や証券を扱っている銀行で開設することができます。

今のNISA(2023年まで)はいくらまで非課税になるか?

いくらでも非課税になるのではなく、毎年、この金額まではOKですよ…と、上限が設けられています。ここで設定されたのが「つみたてNISA」と「一般NISA」です。限度額の判定は購入時の金額で計算します。

つみたてNISAは名前の通り、長期的に積立に適した投資信託のみに利用できます。2~3年の短期間では大きな利益が出にくいものの、10年とか満期いっぱいの20年までコツコツ投資していけば手堅く増える見込みの有る投資信託商品が揃っています。つみたてNISA用として販売するには金融庁が出している基準を満たさなければなりません。1年間の限度額は40万円までです。

一般NISAはつみたてNISAの様な制限が無く、国内外の株式、投資信託…その投資信託の中でも手堅いものから、株式や債券の先物取引、金や原油・不動産など現物資産を扱った投資信託商品にしたものなど、リスクの高いもの・低いもの合わせて投資商品を選べます。1年間の限度額は120万円までです。

非課税期間とロールオーバー
次に非課税で在り続けられる期間のお話しをします。今のNISA制度では非課税期間が設定されています。つみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間です。

具体的な例を挙げます。先ずは一般NISAから、2014年に一般NISAで利用枠上限の120万円分の株式を買ったとします。2014年を含めて数えて5年後は2018年です。2018年になったら年内に売却するか、税金の掛かる口座に移換する必要があります。ここで終わりではなく、もう一つの選択肢として「ロールオーバー」が有ります。ロールオーバーとは、この例の場合、2018年で非課税期間が終わる分を2019年の非課税枠に移してしまうことです。

金融庁 NISA特設ウェブサイト

つみたてNISAの場合はこのロールオーバーが使えません。例えば2023年につみたてNISA用の投資信託商品を40万円分購入したら、非課税期間は2042年で終了です。もちろん、2042年を待たず途中で売却しても利益に税金は掛かりません。


新NISAでは何が変わる?何が良くなる?

2024年1月から始まる新NISA制度について解説いたします。新制度の大きな特徴として

  1. 非課税でいられる期間が無期限となりNISA口座開設も恒久化されます。

  2. 1年間の投資可能な額も最大で360万円まで拡大

  3. 累計で保有できる限度額も合計で1800万円までに大幅拡大

細かい部分のお話しに入ります。先ずは、1年間の限度額から……
投資できる内容によって、限度額に枠が設定されています。この枠が「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類有ります。つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が240万円です。

つみたて投資枠は今の制度のつみたてNISA拡大版と考えて良いのですが、成長投資枠と一般NISAはちょっと違います。

今の一般NISAは株式の他、投資信託…更に手堅いものからハイリスクハイリターンのものまで数多くの商品が買えます。公募投信と言って、一般の方が購入できるものなら大体対象になっています。

しかし、新NISAで創設された成長投資枠では毎月分配型の投資信託やデリバティブ取引を使った投資信託は購入できなくなりました。
デリバティブ取引とは通常の売買と異なり、先物取引やベア型と言って株価が値下がりしても利益が出るような特殊な取引方法です。通常の取引よりもリスクが高くなります。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用ができる

2023年までの制度では、つみたてNISAか一般NISAのどちらかの選択になっていました。よって、積極的に投資している方の場合、NISA口座と特定口座の両方で運用している方も居ました。今回の変更で10年単位の長期的な投資と数年先の利益拡大を目指す中期的な投資を同時に行えるようになりました。

非課税の限度額は1800万円!再利用可!

非課税である限度額は合計して1800万円までとなりました。毎年360万円ずつ、1回も売却せずにNISA口座で取引した場合は5年で一杯になります。更に成長投資枠のみの限度額は1200万円までです。では上限一杯まで株や投資信託を買ったらそれでお終いか?と言えばそうではありません。これが新NISAの大きな特徴の一つである限度額の再利用です。

例えば2028年でNISA口座の限度額1800万円分まで投資信託を購入し、2029年に100万円分を売却したとします。すると、NISA口座の残高が1700万円になり、新たに100万円分購入できるようになります。新NISA口座は恒久的に開設できるということなので、限度額一杯になったら売却して、新たに買い足すというサイクルを口座名義人が生きている間は続けることができます。

いまのNISA(2023年まで)はどうなる?

今…つまり2023年時点でNISA口座をお持ちで、株式や投信信託の残高が有る場合はどうなるのでしょうか?今現在のNISA口座内の株式や投資信託を新NISAの口座に移管することはできません。

2023年中に100万円分の投信信託を購入し、12月31日時点で一般NISA口座内にそのまま保有したとします。その場合、2023年までの一般NISA口座と新しいNISA口座の両方を持つことになります。一般NISAの非課税期間は5年間なので2028年で終了します。2028年までに売却するか、税金の掛かる通常の口座に移管するかの選択が必要です。


2023年中限定!非課税枠を少しだけ大きくするテクニック

2023年中に100万円分の投資信託を購入し、12月31日時点で一般NISA口座内にそのまま保有したとします。その場合、非課税期間は2028年で終了します。新NISA口座には移管できません。新NISA口座とは別立てで計算されます。

新NISAで1年間非課税で投資できるのは最大で360万円、累計で1800万円までとされていますが、2023年のNISA制度で保有している分は含まれません。つまり、旧制度で保有している期間は新NISAの上限1800万円よりも多く非課税分の枠を持つ事になります。

先程は一般NISAを取り上げましたが、つみたてNISAなら20年、今回の動画では触れておりませんがジュニアNISAなら対象となるお子さんが18歳になるまで非課税で保有できます。


メルマガ登録のご案内

みらい創研グループでは毎週月曜にメールマガジンを配信します。税や社会保険に関する情報・動画やSNSの更新情報・セミナーのご案内を配信します。

Youtubeチャンネル登録のご案内

経営や生活に役立つ税務・労務・法務・会社の資金繰りや個人の資産運用など専門的なテーマを分かりやすく解説します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?