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光本恵子 第1歌集『薄氷』より…

二十歳の鼓動

ぎゅっと握ってみたけれど答えてくれない二十歳の乳房

傷つきながらの愛だった タバコの臭いをぶつけて去っていった人

ジンフィズに酔いしれてにっと笑った唇また思い出す

白い河床

分れて一年――わだかまりも消え晩秋の落葉に身を焦がす

名をそっと口の中でつぶやき手の平に書いて握りこぶしつくる

裸電球から落ちる灯り この下宿は女ひとりに広すぎる

光本 恵子

未来山脈ホームページ
http://mirai-sanmyaku.com/
E-mail
miraisan@po.lcv.ne.jp

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