見出し画像

トマト農園のコスト構造を見てみる!(農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日は施設栽培でトマトをされている農園の経営状況について見てみます。
下記の図は、
施設栽培で3000㎡のトマト農園をされており、反収は約35t、主に市場出荷で家族3人、パート2名で運営されている農園の損益状況です。個人の農園ですが、企業会計に近い形で損益状況を見るため、家族の働いた労働分も労務費(役員報酬)として補正したものです。

1反当りの売上高は約1,226万円とかなり頑張っていますが、営業利益ベースでみると赤字になっています。
コスト構造を見ると、荷造り運賃手数料が最も大きく、ついで設備投資にともなう減価償却費、労務費(役員報酬分)、労務費(雇用分)、動力光熱費・・・・となっています。
これら荷造り運賃手数料、減価償却費、労務費(役員+雇用)、動力光熱費で総経営費の80%を占めている状況になっています。

通常、コスト削減を考えていく際には、金額の大きなものから順に削減方法を検討しますので、順にみていきますと、
荷造り運賃手数料については、市場出荷している以上は発生する経費なので、これを削減するには別の販路を構築することが必要でありなかなか容易ではありません。ビジネスモデルの見直しから入る必要があります。時間をかけて戦略的に新たな販路を構築していく必要があります。

次に減価償却費。こちらの農園で使用しているハウスは無償で譲り受けたもので、内部設備だけをやり直しているため、投資額は比較的少なくなっているのですが、それでも減価償却費がコストの中では非常に大きなウェイトを占めています。ともあり減価償却費はすでに投資した設備を期間配分しているものなので、どうあがいても削減できるものではありません。

次に労務費ですが、労務費(雇用)は従業員のお給料なので、これもそう簡単には減額できるものではありません。お給料をカットするともちろん従業員のモチベーションに影響して、従業員が辞めてしまったり、生産性が悪くなったりします。ですから労務費はカットするのではなく、“お給料を減らさずによりたくさん働いてもらう“という発想が必要です。つまり作業の生産性を上げるということです。

4大コストの最後の動力光熱費ですが、こちらも削減が難しいですね。トマトの生育スピードは温度が大きな影響を及ぼすので、施設栽培では温度管理が重要でそのために暖房をたくさん使います。重油代が高くなっているからといって暖房の稼働時間を減らすと、それに応じて生育スピードが遅くなり収量が減少してしまいます。収量が減少すると売上高が減少しますので経営が悪循環に陥ります。ということで、動力光熱費については減らす、、というよりも“暖房効率を上げる“という発想で考えることになります。つまりハウスの隙間を塞いだり、被覆を多重化するなどで暖房効率を上げるように工夫します。

うーん。コスト削減は難しいですね。しかし今のうちに経営構造を筋肉質なものにしておかないと、これからも厳しい時代は続くと思われますので、頑張っておかなければなりません。

コストの性質を考えながらコスト性質に応じた削減をしていきましょう。

【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAIL t.ogawa19720117@gmail.com

【関連記事】-----------------------------------------------------------------------


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?