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植物の生長スピードの要は温度!(農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。植物の生長には温度・湿度・CO2濃度・光量・潅水量・肥料要素など様々な要素が相互に複雑に絡み合っています。これらすべてを同時に考えていくとなにがどのように作用して現在の樹の状態になっているのかがわからなくなります。そこで一つの要素のみを捉えてその要素がどのように植物の生長に影響しているかを見てみたいと思います。その要素のなかでもまず「温度」を見てみます。

作物の生長で次の葉が出てくることを葉の展開といいます。温度が低いと次の葉はなかなか展開せず、反対に温度が高いと次の葉が出るまでの日数は短くなります。

上のグラフはトマト栽培における気温と葉の展開速度を示したものです。葉の展開速度は1日に葉が何枚増えるかを示しています。グラフでは20日間で、17℃なら約6.5枚、20℃なら約8.0枚、23℃なら約10.0枚、葉が展開しています。
17℃と23℃の6℃の違いで、葉の展開が20日間で3.5枚も変わってくるということですね。

葉の展開には、光や栽植密度、CO2濃度、水、肥料などの要素はあまり関係しません。例えば、光や肥料が十分な場合と少なめの場合では、葉の大きさや茎の太さは大きく異なっても、葉数はほぼ同じとなります。
つまり葉の展開スピードだけを考えるならば温度だけを考えればよいということで、他の要素は適正範囲にあれば葉の展開スピードには影響を及ぼさないということです。平均気温を高めることによって、葉の展開は速まり、葉数は増えます。キュウリでは、葉数は節数を意味し、節数に応じて花の数も増えます。また、トマトでは、3葉ごとに花房が出ることから、花房の出現は温度でコントロールできるということです。

葉の展開が温度で進むことが、重要性については温度が高いことによって葉の展開が進むと、葉面積が増えて受光量も増加することによります。葉面積が増えれば光合成できる生産能力も高くなり収穫量のアップにつながります。
つまり、温度で葉の展開が進むことが受光量の増加につながり、トータルとしての光合成や生育を促進させることに繋がります。施設園芸の生産性が露地栽培に比べて圧倒的に高い理由はこの点にあります。

施設園芸では栽培初期の設定温度を高めにすることで、葉数が少ない時期は、葉数や葉面積を増加させ、それが受光量の増加につながり光合成産物の増加が収量アップにつながっていきます。

ただし、葉数が一定以上になると葉がお互いに影を作ってしまうため葉数の増加=受光量の増加とはならないことがありますので栽植密度や摘葉などで受光量を適切に管理することが大事になります。

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