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ムダな私とムダな服を愛して生きていこうね


昨年、息子が産まれた。不妊治療を半年ほど続けて、やっと産まれてきてくれた大切な子。

でも、実際に産んで気づいたのは、産まれた奇跡や喜びよりも「人生の無意味さ」だったような気がする。

不妊治療に奇跡はなくて

子どもは空の上から親を選んで滑り台でやってくるとか、ベストなタイミングで生まれてくるとか、妊娠出産にはおとぎ話がついて回る。

まだまだ医学的に解明されていない部分もあるし、仕事では絶対に起こり得ないような理屈を超えた奇跡が起こることだってあるだろう。

けれど私の場合はむしろ逆だった。

体外受精を経験して、卵子が細胞分裂している写真まで見てしまったので「めっちゃ医学〜最先端〜!」という感じ。そこにどんなドラマがあろうとも、つまるところ受精じゃん、と妙に納得してしまった。

好きなものを追う人生はコスパが悪い?

時を戻そう。私はスタイリスト。肌色や体型に似合う服やコスメをアドバイスする仕事をしている。もう6年目になるけれど、常套句のように話してしまうのが「無駄な買い物をしなくていい」という話。

もちろんお客様にもそういった悩みを抱えている方はすごく多い。「いいと思ったはずなのに、家に帰ってきたらなんだかしっくりこない」「クローゼットに着ていない服が山ほどある」などなど。

自分という素材を骨格診断やパーソナルカラーで客観的に知ることで、似合うもの・苦手なものがわかり、しっくりくるものだけ手元に残せる。ここ数年の不景気や断捨離ブームも後押ししているだろうと感じている。

そんな中、先日いらっしゃったお客様は少し違った。がっしり肩パッドが入った、バブル期を彷彿とさせる黒いシャツ。大きな英文字が全体にプリントされていて、見た人をあっという間に虜にする服だった。でも、アンケートには「着回しがうまくなりたい」「落ち着いた雰囲気にしたい」と書いてある。

お話しているうちに、少しずつ意図が見えてきた。古着が大好きなこと、大きな古着屋の倉庫から宝探しのようにアイテムを選ぶ時間がたまらなく幸せ。特に柄のシャツやジャケットに目がない。スカートは履かない、ワンピースは着ない。趣味はバイク。

でも30代に差し掛かり、ふと気がつくと自宅に着てない服が溢れてきてしまった。周りは結婚したり出産したり、着実に人生の階段を上がっている。自分だけこのまま”好き”ばかりを追い続けていいのか。ファッションも人生も、まるで自分だけが階段の踊り場に取り残されているような気分になってしまう。

正しくないってワクワクするね

似合う服を着ることや物が少ないことは、一見すごく「正しいこと」のように感じてしまう。最近トレンドの効率重視の考え方や、日本人独特の持たない美学も影響しているだろう。

でも、正しいから幸せとは限らないでしょ?

金曜日の深夜、スナック菓子片手にひとりっきりで見る恋愛バラエテイーショー。テーマパークで今日しか使わないと分かっていてもつい買ってしまう、キャラクターの耳付きカチューシャ。

コスパが悪い、不健康だ、無駄だと言われたらその通りかもしれない。なのに、なんであんなにワクワクするんだろう。むしろ正しくない自覚があるから余計にテンションが上がるのだ。

結婚や子育てだって、ある程度の年齢に達したらそれが正規ルートのように感じてしまう。でも、人生に決められた正しさなんてない。

人を傷づけたり迷惑をかけるのはダメだけれど、大切なのは正しさよりも今ここにいる自分自身が、幸せを感じられるかどうかじゃないかな。

ときめきは今、ここにある一瞬のsparkling

そもそも生まれてきたことに意味はないのだから、たまたま与えられたこの肉体を、人生を、めいいっぱい味わって幸せな瞬間を増やしたらいい。

それが例え世間のものさしと違ったとしても、私の人生の責任を取るのは私でしかない。他人にとやかく言われたところでその人が責任を取ってくれるわけじゃないんだからね。

だから、服やコスメも、これが良い!欲しい!と思ったらそれは無駄なんかじゃない。ときめきは一瞬なのだ。ワクワクするもの、心が踊るものは自分の人生を彩ってくれる大切なパーツだよ。

そんな話を伝えたら、そんな風に言われると思ってなかったです、お気に入りを大事にしますね、と笑って答えてくれた。

ストレス買いをやめて、自分を高めるとびきりの一着に出逢おう

むしろ本当の無駄遣いというのは、仕事や育児のストレスをお金を使うことで解消するパターンだ。

課題は根本解決しないので繰り返してしまうし、見る度に嫌な思い出がついて回るので精神的にもよろしくない。

深夜のネットショッピングはもはや中毒に近いので、カートに入れたら一旦朝になるまで時間を置くのがおすすめ。スッキリした朝の頭で考え直してみよう。

また骨格診断やパーソナルカラーで似合うものを知ることは、新たな選択肢をもたらしてくれます。自分の知らなかった魅力や可能性に気づいてもらえたら、スタイリスト冥利に尽きます!

診断はあくまで手段なので、本質ではないんですよね。生きている以上何か服を着なきゃならんので、せっかくなら自分を高めてくれる一着を選びませんか?

それでは、明日もいい日になりますように!


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