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【みらいけんアドベントカレンダー12/23】成長が駆動する好奇心のために

自己紹介

京都工芸繊維大学で准教授をしている井本裕顕です。所長の後藤君とは、高校時代に通っていた塾の友人を通じて大学1回生の時に知り合い、東京と京都で時々飲み会をする仲間になりました。みらいけんには年に1回くらい顔をだす程度ですが、みらいけんから発信される活動には日々刺激を受けています。

私の研究を少しだけ。プラスチックに代表される有機材料は、炭素・水素・酸素・窒素などの限られた元素だけでできています。でも周期表には使える元素がもっとたくさんあります。これを活用すれば、“普通の有機材料”ではできないような機能を実現することができます。
・・・あとはYoutubeをみてください。

最近思うこと

研究者をやっていると、自然発生的な好奇心に駆り立てられた研究活動に勤しんでいると思われがちです。でも、普通の人間である私が特別な好奇心を持っているわけではないと最近強く感じます。

私には4歳の娘と1歳の息子がいます。この前までアルファベットが読めなかった娘ですが、お腹が空いて”I’m hungry”と言い出したと思えば、W杯でアメリカを応援し、アメリカに行きたいと言っています。誰に似たのか、お風呂で水遊びをしながら「実験、実験」と口走っています。立つようになったばかりだと思っていた息子は、気づけば家中を歩き回っています。最近のお気に入りは、私の備蓄している缶ジュースをいろんな場所に隠すことです。手の届く範囲の急拡大に目を見張ります。

子どもは好奇心が旺盛だと言われますが、彼らを見ていると成長に突き動かされて新しいものに挑戦しているように思います。まるで、自分の日々の成長曲線を無意識に感じ取りながら、その先に見える無限の可能性に希望を抱いているような。

翻って、自分はどうなのでしょうか。外部環境から受ける刺激で勝手に成長する10~20代はとっくに終えています。生活をするだけなら漫然と過ごすことのできる社会システムの一部に組み込まれ、ややもすると好奇心は枯れて新しいものに挑戦する意欲は消えてなくなりそうな40代が目前に迫っています。好奇心を失くした研究者があまりにも惨めなのは想像に難くありません。どうすればこの先もずっと若々しい好奇心を持ち続けられるのか、を考える今日この頃です。

とりあえず何かやってみる

暗中模索の中で、私がたてた仮説は「なんでもいいから毎日数字が増えていくもので成長を確認しておけば、子どものように希望と好奇心に満ちたメンタリティになるのではないか」というものです。ロジックが強引すぎて自分でも何を言ってるのかよく分かりません。ですが、明日の成果も資金調達も不透明な研究者という人生を送りながら、成長の確認できない日々に漠然とした恐怖を覚えるのは不気味だし、なによりも子どもや学生たちの成長と若さに嫉妬するのはみっともない。

ということで、月並みですがいま取り組んでいるのは朝のランニングです。2日前に投稿された方と見事にかぶりました。すみません。
平日は毎朝4時半に起床して4km、土曜or日曜は5時半に起床して13kmほどを走ります。まだ外が暗い中、布団の中で“ランニングに行かない言い訳”がいくつも思い浮かびます。「昨日は夜遅くまで論文を書いていた」「足が痛い気がするから今日は走らない方がいい」「途中で雨が降るかもしれない」などなど。寝起きでよくそこまで頭が回るなぁと思うくらい、尤もらしい言い訳が次々によぎります。それらを全部振り切って、ウェアに着替えて走りに行きます。
アプリによると年間の平均ペースは4分39秒/kmでした。別に速くはないですが競技者でもない38歳の寝起きにしてはラクではありません。走りながら思いつく言い訳も無数にあります。「あんまり頑張ったら足に悪いんじゃないか」「向かい風が吹いてる気がするから今日はタイムがでなくても仕方ない」「シューズが合ってないかも」。考えるエネルギーが無駄なのに、頭の中は言い訳だらけです。それでも毎日自己ベストを目指して全力で走り切ります。今朝のタイムは過去4番目の速さでした。おしい。

そうやって毎日積み上げた距離は、打ち克った言い訳の数に比例し、確実に自分の成長を数値化してくれます。出張や雨天、ワクチン接種や二日酔いを考慮して年間1000kmを目標にし、今年は12月23日時点で1109kmでした。布団の中とランニング中に打ち破った“言い訳”の数は、1年で何千個もあるでしょう。これが今年の成長の数字です。

来年に向けて

私はこの生活を2年続けています。このプロジェクトの最大の欠点は、対照実験ができないために効果を検証できないことです。ただ、少なくとも好奇心は全く衰えていないし、本業の研究成果もちゃんと継続的にでています。副次的な効果として、学生時代よりも走るのが速くなりました。
来年もこの生活を続けていきます。
駄文、失礼しました。皆様、よいクリスマスを。

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