勇気をもって声を出す - 発達障害と身体 (4)

ミライジンラボのプロジェクトに参加しているフジワラさんの連載ブログ。発達障害とともに生きる中で、日々の気づきをつづります。

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以前の投稿で、ボイストレーニング(ボイトレ)に通っている話をしました。

私は最近、ボイストレーニングのレッスンに通いはじめました。
THE BOOMの「島唄」を課題曲として、基礎の発声練習を中心にしていくつもりです。
身体と心はつながっている説 - 発達障害と身体 (2)

今回はその後日談です。


ボイトレ第2回。大学時代に合唱サークルでの経験もあり、 そのときの身体の使い方や声の出し方を少しずつ思い出してきました。

その上でいくつかの課題が出てきました。

・最初の出だしが、うまく歌い出せない(たとえば「島唄」の最初の低音、でいご〜の部分)
・息を吸うときに、身体に力が入りすぎてしまう

前者については「いつも話すような地声を、リラックスして出す」ことで改善できました。

後者については、先生のアドバイスを元に次を心がけてみました。

・頑張って吸おうとしなくてもいい。しっかり吐いて、自然に入ってくる息で歌ってみる
・息を全部使わなくてもいい。足りなくなったら歌っている途中で息を足してもいい

このような感じで、徐々に「自然体で楽に歌う」感覚をつかみつつあります。

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私が声を出せないとき、先生はリップロールをするようによく指示をします。

リップロールとは「唇を閉じた状態で空気を排出し、唇をブルブルと震わせながら行う練習方法」です。

その状態で声を出すことで、次のような効果が期待できます。

・唇や表情筋のリラックス
・音程を正しく取るトレーニング(声帯のみで音程を作る)
・横隔膜のトレーニング
・裏声と地声を滑らかに繋ぐトレーニング

(出典:効果抜群の【リップロール】コツ 〜ボイストレーニングの基礎〜 | ワンズウィルミュージックスクール

私も声が出しにくいとき、リップロールをすることで声がうまく出せるようになりつつあります。

そしてこのトレーニングが、自分を縛っている「呪い」を解いてくれる……そのような直感を持ちました。

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「フジワラさんは、この曲をどう歌いたいですか?」


そう先生から問いかけがあったとき、私は悩みました。

たとえば「原曲を完全再現する」とか「自分流に表現を変えて歌う(具体的にどう歌う)」みたいな目標の話なのですが、 この歌に関しては「好きだけど、そういえばどう歌いたいとかは考えてなかった」と思ったのです。

いまだに、私は自分の意思が問われると悩んでしまいます。

たとえば「今日の晩ご飯は何がいい?」という質問に、いつも軽くフリーズして悩んでしまいます。

いつもはニンゲンのふりをして振る舞っている(つもり)。

けど自分の中身はドーナツの穴のように空っぽで、いつも「相手の意見が正解」だと思ってしまうのです。

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けれども、他人に意思決定を任せたときに「自分にとって不本意な決定だった」なんてことも実際よくあります。

周囲から見ると、私は「察してちゃん」に見えるかもしれません。

自分の内側に意思や「これがいい」「これは嫌だ」というものは、一応あるようです。

ただその意思を、とっさに言葉として伝えられないという状態かもしれません。

このような状況のことを、「ノン・アサーティブなコミュニケーション」というらしいです。

 自己表現の3つのタイプ

 【ノン・アサーティブ(非主張型)】
自分よりも他者を優先するタイプ。自分のことは後回しにしがちで、自分の言いたいことや気持ちも抑えてしまう傾向がある。

【アサーティブ(自他尊重型)】自分のことをまず考えるものの、他者へも配慮するタイプ。アサーションは、このアサーティブタイプの自己表現を指す。

【アグレッシブ(攻撃型)】自分のことだけを考えるタイプ。他者の意向は無視しがちで、攻撃的な表現で周囲を傷つけてしまう可能性が高い。 

(出典:「NO」と言えない自分 上手に脱却するには|健康・医療|NIKKEI STYLE

アサーティブな自己表現のためには、専用の講座やトレーニングもあります。

一方で私は、歌うことを通して自己表現の練習をしてみようと考えています。

「いくらでも失敗してもいいし、のどが潰れそうならストップをかけます。だから怖がらず思いっきり声を出してみましょう」

先生から言われた印象的な言葉です。

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私の奥底には、何か「声を出してはいけない」と命令する者が潜んでいる気がしています。

それはかつての人物や出来事かもしれないし、そんなものは存在しないのかもしれません。

そして私の奥底には、「うまく歌わないといけない」とか「失敗してはいけない」みたいな批判者もいるようです。

うまく綺麗に歌おうとしても、相手には平坦な声に聞こえてしまうようです。

ただ声を出すんじゃなくて、リミットを外して声を出してみること。これが自分の大きな課題です。

※この「思いっきり声を出す」という手法は、ブラック企業の研修や洗脳でも使われるぐらい有名です。 この手のトレーニングは自分の意思でやりましょう。 朝礼や試練のように、何か特定の言葉をのどが枯れるぐらいの大声で出させる現場に遭遇したら、逃げるか警戒すること。

フジワラユキ

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