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日銀の利上げはあるか?23年の金融政策を展望~世界の予測も見てみよう~【日経新聞をより深く】

1.日銀の利上げはあるか?23年の金融政策を展望

次期総裁は誰に?
黒田総裁の任期満了日は4月8日です。78歳と高齢で、22年11月の参院財政金融委員会で続投について「希望は全くありません」と述べました。現時点では複数の後継候補が浮上しています。

有力候補には雨宮正佳副総裁、その前任の中曽宏・大和総研理事長ら日銀プロパーのほか、財務省OBから浅川雅嗣・アジア開発銀行総裁らの名前が挙がります。まだ名前が上がっていない「第三者」の可能性は残っており、総裁や副総裁に初の女性が起用される可能性もあります。

政府は1月にも候補者を固め、2月にも国会に提示する見通しです。さらなる政策修正の観測が広がる中、政府内には物価2%目標を柱とする政府・日銀のアコードの見直し論が浮上しました。岸田文雄首相は新総裁について「4月の段階で最もふさわしい方を任命する。今後の経済動向もしっかり見ながら判断する」との意向を示しました。新総裁が誰になるかは将来の金融政策の大きなカギを握ります。

利上げに踏み切るか?
日銀は22年12月19~20日の金融政策決定会合で金融緩和政策の一部修正に踏み切りました。日銀は金利を低い水準に誘導するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)という金融緩和策を続けています。日銀が金利を人為的に押さえつけようとしていることで「市場機能がまひしている」との指摘がかねてありました。日銀が今回の修正に踏み切ったのはこうした市場機能の改善のためで、黒田総裁は「出口戦略の一歩ということではない」と強調しています。

市場には「事実上の利上げ」と見る向きが多く、さらなる政策修正を予想する声も少なくありません。日銀が本格的な利上げに踏み切れば家計の預金金利が増える恩恵がある一方、住宅ローンの利払いが増えたり、企業の借り入れコストの増大といった副作用もあります。ようやく広がり始めた賃上げの動きに水を差しかねない側面もあり、日銀関係者は近い将来の利上げには否定的です。

11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の上昇率は前年同月比3.7%上昇と約41年ぶりの伸び率となりました。日銀は1月の決定会合で物価上昇率の見通しを前回(22年10月時点)から上方修正するか議論する見通しです。2%の物価目標を達成した状況が長期化すると日銀が判断すれば、どこかのタイミングで利上げといった政策修正に乗り出すことも現実味を帯びてきます。

米欧の利上げはいつまで?
米連邦準備理事会(FRB)は22年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、前回まで続けた0.75%の利上げ幅を0.5%に縮小しました。3月からの金融引き締め局面で利上げペースを緩めるのは初めてです。物価上昇率の伸びが鈍化していることから利上げのペースを緩めることにしました、欧州中央銀行(ECB)も12月に0.5%へと減速しました。インフレ率は依然として高い状況にありますが、利上げが景気を過度に冷やしかねないためです。

ただ、米欧が利下げに転換する兆しはまだ見えません。パウエルFRB議長は記者会見で、さらなる利上げがないかどうかに「自信がもてない」と述べました。23年中の利下げを予想する市場の見方も明確に否定しています。ECBのラガルド総裁も「我々は政策転換せず、揺らぐこともない」と強調しています。

こうした米欧の主要中銀の動向は日銀の金融政策に大きく影響します。日銀は国内だけでなく、こうした海外情勢を総合的に判断した上で政策修正の是非を判断する必要があります。

(出典:日経新聞2022年1月1日

日銀の金融政策の修正があるか、無いか、これは世界が注目するポイントです。

2.金融政策修正をするのか、追い込まれるのか

日銀の金融政策は中国を除く、ほとんどの世界と逆方向の金融緩和です。昨年の最後にはイールドカーブ・コントロールの政策は残すとしながらも、金利上昇の容認幅を0.25%から0.5%に引き上げました。

これは、日銀の主導で、引き上げたのか。それとも、政策的に追い込まれてやむを得ずだったのか。どちらかというと、後者だったのではないでしょうか。

世界的な利上げが続き、極端な円安となり、輸入物価が上昇してのコストプッシュ型インフレが日本でも台頭してきました。昨年は円相場への介入も行いました。そして、最終的に金利上昇幅の容認に「追い込まれた」と見るのが正常です。

つまり、日銀が今後金融政策を変更するかどうか、というよりも、変更に追い込まれるかどうかを考える方が正しい。

そうなると、日本が単独で国内の問題を考えておけばよいというわけでは全くなく、世界の金融情勢と世界情勢を見なければ、予測はできないということになります。

2022年は世界の激動の始まりでした。2023年は激動の本番。つまり、激動の結果が表れ始めるはずです。

米国では分断が激しくなり、大統領選挙が動き出します。民主党、共和党の激しい応酬となるでしょう。中国はコロナの蔓延、そして不動産セクターのバブル崩壊がどうなるか、です。欧州はエネルギー危機とインフレの結果、政治体制はこのまま継続できるのか。そして、中東はイランとイスラエルの対立激化。アフリカでは債務不履行を起こす国が出てきます。

このような環境の中、世界で何が起きるのか、余談を許さない状況です。金融事情だけではない難しさがあります。

果たして、世界が注目する日本の金融政策はどうなるのか、大注目です。

3.世界の予測も見ておきましょう。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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