金に注目せよ。投資としても、金融の動きとしても。①
金価格とドルは、密接な関係にあると言えます。これは、国際市場において、金価格はドル建ての価格が基準となるためです。
金価格は過去から現在まで、世界の通貨に対する「実効レート」でのドル高の時は下がり、ドル安の時は上がる性格を持っています。金とドルの関係は概ね逆相関となっています。
金価格が下がることが多いのはドル高の時です。金とドルは逆相関の関係にあるからです。この時、円が下がるので、円価格での下落はドル価格の下落より小さくなります。
逆にドルが下がる時、金価格は上がることが多くなります。しかし、その時は円高になるので、円価格での上げ幅はドル価格より小さくなります。
つまり、円での金価格の変動幅はドルでの金価格の変動幅より小さくなるのです。
上記のグラフで、中央銀行の買い増しによって金価格の時代的転換があった2000年から現在までを見ると、これがはっきりとわかります。
2000年から2024年1月の24年間で、金はドル価格で1オンス(31.1グラム)250ドルから2100ドルに上がっていて8.4倍です。平均年率では9.2%の上昇。金価格の上昇は、基軸通貨であるドルの1年平均での価値の低下を示しています。世界の中央銀行のドル買いが減ってきたことを示していると言えるでしょう。
実は金は世界の中央銀行にとっては、1971年の金とドルの交換停止以降、53年が経った今も「国際通貨」なのです。世界の中央銀行は、外貨準備で金を保有しています。
日本では日銀の金保有は730トンです。(2020年8月6日・日経新聞より)その大半はニューヨーク連銀に保管されています。日銀のバランスシートには簿価で計上されており、4,400億円、時価だと7.4兆円ととても少ない。日銀は「金は通貨」とは見ていません。日本人の金買いはG7で最も少ないのです。戦後の防衛と政治が米国依存であるように、円はドルの付属通貨になっています。
1960年代の大蔵事務次官であった柏木雄介氏の証言でも、日本は金を買うことを許されていなかったようです。
1999年のワシントン合意で、先進国の中央銀行が金の売却を400トン/年に制限しました。10年後の2010年以降に新興国の中央銀行が「(ドル安が原因となって)金準備の増加を図った為」中央銀行全体では、およそ400トン/年の買い超となりました。
2022年からはウクライナ戦争(米国によるルーブルの排除)から、世界の中央銀行の金買いが1000トン台/年に倍増しました。それは外貨準備としてのドルを減らし、金を買っていることを示します。
2000年からの金価格は世界の中央銀行の買い増しを主因に8.4倍に上がってきたのです。
国際通貨の金に対して、増刷されたドルは価値が1/8.4に低下していると言えます。(金の地金は株のようには売買されず、長期保有されます。金ETFと金先物は短期で売買されます。
2024年以降をG7以外の新興国の中央銀行がドルの外貨準備をを減らしてドルを売り、金を買っていくとすると、「基軸通貨ドルの価値低下の時代」となります。すると、金価格は世界株価と国債価格より上がる可能性が十二分にあります。
②へ続く
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