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【日経新聞をより深く】習近平氏、台湾統一「必ず実現」 長期政権「公約」に~中国の台湾統一はあるか~

1.習近平氏、台湾統一「必ず実現」

5年に1度の中国共産党大会が16日、開幕した。党トップの習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は活動報告で、台湾統一について「必ず実現しなければならないし、実現できる」と語った。5年前の報告より大幅に表現を強めた。党大会では異例の3期目続投を決める見通し。習氏は超長期政権を視野に、台湾統一を事実上の「公約」に掲げたかたちだ。

約1時間45分の報告で人民大会堂にひときわ大きな拍手が起きたのが台湾統一の部分だった。習氏は「決して武力行使の放棄を約束しない」とも語り、台湾に軍事圧力をかけた。「中華全体の男女の共通の願い」とした5年前の報告にはなかった。

習氏の念頭には2つのことがあったとみられる。1つは8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問するなど西側諸国と台湾の交流が活発になったこと。「外部勢力の干渉に断固反対する」と強調し、「台湾問題の解決は中国人自らのこと。中国人が決める」と米国の介入を強くけん制した。

もう1つは人民解放軍の一部にある台湾統一を求める声だ。党トップは2期10年までとの慣例を破って続投するならば、3期目以降に何をなし遂げるかを示す必要がある。その一つとして台湾統一への強い意欲を示した可能性がある。

(出典:日経新聞2022年10月17日

中国共産党大会が開幕しました。習近平国家総書記の活動報告で、台湾統一を事実上の「公約」に掲げました。

この5年以内に何らかの形で台湾を中国の一部として統一する動きがありそうです。これに対して、台湾はどう反応しているのでしょうか。

2.台湾総統府、中国共産党大会での習近平主席の演説に反応

台湾の英字新聞であるTAIWAN NEWSの記事を見てみましょう。

Taiwanese public ‘resolutely refuses’ so-called ‘one country, two systems’: spokesperson
台湾国民はいわゆる「一国二制度」を「断固として拒否する」:報道官

The Taiwan Presidential Office hit back at Chinese leader Xi Jinping (習近平) on Sunday (Oct. 16) following his speech at the Chinese Communist Party’s 20th National Congress vowing to “struggle against separatism” and Taiwan independence.
台湾総統府は10月16日(日)、中国共産党第20回全国代表大会で習近平が「分離主義と台湾独立を闘う」と演説したことを受け、反撃に出た。

According to an earlier report, Xi said China must resolve the “Taiwan issue” and touted China’s recent military provocations towards Taiwan as evidence of China’s commitment to resisting “separatist forces.” He characterized his policy towards Taiwan as that of “firm determination and strong ability to safeguard national sovereignty and territorial integrity.”
先の報道によると、習近平は、中国は「台湾問題」を解決しなければならないと述べ、中国の最近の台湾に対する軍事的挑発は、「分離主義勢力」に抵抗する中国のコミットメントの証拠であると宣伝した。彼は、台湾に対する政策を、「国家の主権と領土の一体性を守るための確固たる決意と強い能力 」あると特徴付けた。

In response, Presidential Office Spokesperson Chang Tun-han (張惇涵) was cited in a statement as saying Taiwan is a sovereign country and its people believe in and insist on democracy and freedom. He said that the majority of Taiwan’s citizens have made it clear that “We resolutely refuse ‘one country, two systems.’”
これに対し、総統府の張惇涵報道官は声明で、台湾は主権国家であり、国民は民主主義と自由を信じ、主張していると引用した。台湾国民の大多数が 「一国二制度 」を断固拒否すると明言していると述べた。

Chang added that President Tsai Ing-wen (蔡英文) had already iterated Taiwan’s stance, which is to continue to uphold the “Four Commitments,” to reinforce its own resilience, and increase Taiwan’s visibility in the world. He said Taiwan’s stance is firm; it will not yield its territorial sovereignty, nor compromise democracy and freedom, and taking to arms is not an option for cross-strait relations.
張氏は、蔡英文総統はすでに台湾の姿勢について、「四つの約束」を守り続け、台湾自身の回復力を強化し、世界における台湾の知名度を向上させることを繰り返し述べている、と付け加えた。台湾は領土主権を譲らず、民主と自由を損なわず、両岸関係において武器を取ることは選択肢にないと、台湾のスタンスは確固たるものであると述べた。

As Tsai mentioned in her speech, Chang said, under the principles of rationality, equality, and mutual respect, Taiwan is willing to work with Beijing to find a way to maintain peace and stability across the Taiwan Strait in a manner that is acceptable to both sides.
蔡英文が演説で述べたように、合理性、平等、相互尊重の原則のもと、台湾は北京と協力して、台湾海峡の平和と安定を維持する方法を、双方が納得する形で見つけることを望んでいると、張は述べた。

In the statement, Chang also said Taiwan's national security team will be closely following the situation and developments throughout the CCP national congress.
また、張は声明の中で、台湾の国家安全保障チームは中国共産党全国大会の期間中、情勢と動向を注視していると述べた。

(出典:TAIWAN NEWS/機械翻訳を一部修正)

フィナンシャルタイムズの報道もぜひ、ご一読ください。

3.台湾侵攻はあるのか?

中国共産党大会での事実上の「公約」で、中国の台湾侵攻の可能性は高まったといえるでしょう。世界の分断が進む中で、中国は強い中国を内外に見せる必要があります。もしも、「統一するぞ、統一するぞ」と言って、実は何もしないというのは、共産党の脅しには誰も屈しないことになります。そのため、公約に掲げた以上は成し遂げなければならないということになります。

ただし、まだ中国共産党大会は終了していません。習近平体制継続への疑義の噂もあります。

果たして、ここまでの世界中の報道の流れの通り、習近平三期目突入となるのでしょうか。

これまでの流れからすると、習近平氏の異例の三期目突入が既定路線に思われますが、どうでしょうか。

要注目です。

未来創造パートナー 宮野宏樹
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