ECB専務理事、0.75%利上げに慎重 「小幅実施が適切」~揺れるヨーロッパ~
1.ECB専務理事、0.75%利上げに慎重
ECBの専務理事による発言が取り上げられています。ただ、市場に対しての意図的なハト派発言ではないでしょうか。
EU圏のインフレは深刻です。しかし、引き締めにタカ派的発言が続くと、株価の下落や、国債金利の上昇を招きかねないため、金利引き上げ一辺倒では市場に対するメッセージが厳しすぎるとの見方ではないでしょうか。
18日にはECBのラガルド総裁はタカ派的な発言をしています。
2.ECB総裁「一段の利上げ想定」 景気後退でも物価高警戒
こちらがECBの本筋ではないかと思います。
EU圏のインフレ率にはいまだ歯止めが掛かっていません。今、金利上昇の手綱を緩めると、さらなるインフレが待ち受けています。
しかし、インフレ抑制のため金利を引き上げれば、不景気が待ち受けています。
EU圏のPMI(購買担当者景気指数)は好不況の判断の50を下回っており、さらに下落傾向です。
明らかにスタグフレーション(不景気の中の物価高)です。しかし、エネルギーと食品では、ウクライナ戦争という特殊要因があるため、簡単には物価は下がりません。
3.ヨーロッパの課題は経済から政治へ
これまでは、ヨーロッパの課題は主に経済問題として見られていました。政治的には外向きの対ロシアへの姿勢だけが注目されていました。
ところが、今では、国内政治の問題になっています。つまり、インフレ対策への政府への批判、インフレを生み出している対ロシア制裁を決めている政府への批判が噴出しています。各地でストライキ、そして、反戦デモが起きています。
ヨーロッパのリーダーたちは、米国の意向に沿って対ロシア強硬姿勢をとり続けるのか。この場合、金利を引き上げても、インフレはなかなか収まるものではなく、不景気とインフレが同居するスタグフレーションが続くことを意味します。
逆に、対ロシアへの強硬姿勢を見直していけば、エネルギー危機や食糧危機は緩和されますが、米国の指針に反することになります。
最も、米国の指針というのは、ネオコンによる戦争推進の勢力ということでしょうから、民主党から共和党へと力加減が変われば、米国も変化する可能性はあります。しかし、現在の民主党政権、バイデン政権が一定の力を持つ限りは戦争推進でしょう。英国も同様です。
米国、NOTO、EUは戦争推進です。これに各国のリーダーが反する行動をとれば、西側社会からは離脱することを意味します。
今後、ヨーロッパは市民からの批判が噴出し、それがヨーロッパを揺らすことになるでしょう。この冬はデモとストライキがヨーロッパ中に広がっていくでしょう。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】
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