FPが「NISA」について解説する!①デメリットも把握しておこう!!
基本知識
投資をしている人は誰でも知っている「NISA」についての簡単な確認をしましょう。
まず、NISAには、一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAの3種類がありますが、ジュニアNISAは2023年には廃止されてしまいます。
一般NISAとつみたてNISAの違いは、簡単には、一般NISAが毎年120万円ずつ5年間にわたり非課税で投資できるというものに対して、つみたてNISAは毎年40万円ずつ20年間にわたり非課税で投資できるというものですが、一般NISAは5年が終了してもロールオーバーといって非課税期間を延長してさらにNISAを5年間継続することが出来ますが、つみたてNISAにはロールオーバーはありません。投資対象にも若干の違いがあり、つみたてNISAは安定的な投資対象に限定されています。
成人年齢の引き下げにより、18歳以上(2023年1月1日現在)の日本に住んでいる人なら誰でも利用できますが、一般NISAとつみたてNISAはどちらか一方しか利用できませんのでご注意を。
一般NISAは、2024年から新NISAに移行され、2階建てになり、1階部分の投資対象はつみたてNISAと同じように投資対象が制限されて20万円まで、2階部分は従来通りで102万円まで、合計年間投資額が122万円になります。
5年たったとき
一般NISAの非課税期間(5年間)が終了したときには、選択肢としては3つあります。
1.非課税期間終了前に売却する。
2.そのまま課税口座に移す。
3.翌年の非課税投資枠に移す。
このうち3をロールオーバーといいます。
1の場合は非課税期間中に売却しますので、売却益が生じても非課税となり税金はかかりませんが、上場株式の譲渡損失が生じても損益通算はできません。この損益通算できないということは、デメリットの1つです。
損益通算については、FPが「確定申告」を解説する!① 株取引やFX取引がある人を参照してください。
2の場合は、移した時点での時価(非課税期間満了時の時価)が課税口座における取得価額となり、その後に譲渡した際にはその取得価額を基に課税されることになります。
① したがって、たとえば、120万円で購入した株式を課税口座に移行したときに150万円の時価になっていた場合には、150万円が課税口座のスタート価格になります。
この株式を後に200万円で売却した場合には、200万円ー150万円=50万円が利益として課税されます。
本来ですと、120万円で購入した株式ですから、200万円ー120万円=80万円の利益として課税されるところ、非課税で運用していた分利益が圧縮されています。
② ところが問題は、120万円で購入した株式を課税口座に移行したときの時価が80万円と下がっていた場合です。
この場合も、スタート価格は80万円に設定されますので、のちに何とか100万円まで上がったので売却した場合でも、100万円ー80万円=20万円の利益があるものとして課税されます。
本来ですと、120万円で購入した株式ですので、100万円で売却しても利益がないのですが、購入価額より下落したときに課税口座に移行するとこのように実際以上の税金が生じてしまうことになります。
これは重要なデメリットの2つ目ですが、あまり言われていないので注意が必要です。
3のロールオーバーした場合も、ロールオーバーする直前(12月末)の価格で移行されます。
① したがって、120万円で購入した株式が150万円になっていた場合でも、ロールオーバーによりそのまま移行できますが、120万円いっぱい使っていますので、新規投資はできません。
② 逆に、120万円で購入した株式が80万円になっていた場合は、80万円で移行しますので、120万円-80万円=40万円の余裕があります。そこでその40万円の新規投資が可能になります。
ところが、このロールオーバーをした結果、その後この株式が上がらず、5年後に課税口座に移行したときには、先ほど説明した2の場合と同じ問題が生じます。
つまり、購入価格より下がった価格で売却しても、税金がかかることがあるということです。
まとめ
以上から分かりますように、NISAは売却益が生じたときには非課税となりますので非常にメリットがある制度です。
① しかし、購入価額より下落した場合に損失が発生しても、損益通算が出来ないというデメリットがありました。
② また、課税口座への移行またはロールオーバーの際には、移行時点での時価がスタート価格になりますので、実際には利益が生じていない場合でも課税されてしまう恐れがあるというデメリットがあります。
これ等のデメリットも含めたうえで、NISAで購入する株式等をよく選ぶ必要があります。
単純に儲かった時の非課税だけを考えて安易にNISA投資をすることはリスクがある、ということを考えて投資をしましょう!
おまけ
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