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コネなし兼業産業医の仕事のはじめ方

臨床と兼業で産業医をやっており、多い時では1日6社訪問する。

今でさえ、仕事をさせてもらっているが仕事を得るコネなど全くない中で仕事を探し始めた。Twitterでは独立系産業医として事務所や法人を作り、営業や契約、報酬設定まで全て行なっている先人が沢山いるが、正直なところかなりハードルが高い。そのような先生はネットワークとノウハウ、何よりも行動力と覚悟を持っている

わたしがこの記事を見て欲しいのは兼業の先生たちだ。わたしは産業医として未熟者で、遅れない怒らない以外の特殊なスキルを持っていない。ただ普段から産業医の仕事に魅了されており、この先もずっと産業医をやっていきたいと思っている。

学生の時からコツコツ努力をし、受験競争に勝ち抜いてきたほとんどの先生はサンクコストから保守的であり、リスクを分散することが好きだ。普通に考えれば、臨床を捨てずにスキマ時間で産業医に参入したいと思うだろう。若い先生であれば、専門医や学位の取得し、雇用や何かの安定性を高めたいかもしれないし、その後に留学して教授を目指し、俺SUGEEしたい先生もいるだろう。もしくはタイミングをみて臨床で開業を考えている先生もいるはずだ。みんな色々なしがらみを抱えている。考えば考えるほど産業医に全振りできる余裕はない。

今日のnoteはそんな迷える若手産業医に見てもらいたい。

仕事を得る上で、すでに先人偉人たちが様々な情報を発信しているが、若い先生にとってもっとも現実的なのは紹介会社経由である。私が利用した紹介会社では、人気の案件は応募の時点で数百名近い応募があり書類選考で10名ほどに絞られ、実際に採用面談に残るのは5名ほどだ。その採用面談からたった1名が選ばれる。
時給はもう勘の良い人ながらわかるだろうが、紹介会社経由であればだいたいの相場は決まっていており、どこの紹介会社もあまり変わりない。
もっとも考慮すべきは通勤時間だ。アクセスが良いものが人気なのは次に現場に行きやすいからだ

1日の上がりが多い方がいい、当然だ。


また、仕事が仕事を呼ぶのが産業医の仕事の良さでもあり、ネームバリューのある産業医をやれるとそれだけで信用につながる可能性がある。
紹介会社経由でも収益を高める方法があるがそれは別の機会に話そう。

仲介料を多く取られる紹介会社経由でも就活が上手くいくだろうと思っても、残念ながら苦戦することは多い。

何度も何度も不採用となる。
これまであまり否定されてこなかった君が否定される。

ここで持って欲しいマインドは、不採用を繰り返しても諦めないで欲しい、そして相手企業に対してアピールするのは当然で、紹介会社にも採用面接の度にアピールしよう。
紹介会社と仲良くなり、いろいろなことを聞き出しているうちに、「この先生に仕事をしてもらいたい」と思うのが自然である。

紹介会社へのアピールするとはどういうことかというと、君自身のブランテディングを高めることだ。

まずもっとも大切なのは履歴書だ。
ライバルの多くの履歴書の中からあなたは選ばれないといけない。
一番目に留まりやすいのが写真だ。一番こだわってほしい。
そこでプロの写真家にビジネス用プロフィール写真を撮影してもらおう、私は百貨店の中にある写真館で撮影し、たった1カットで3万円払った。ギリギリ本人かどうかわかるレベルで補正をしてくれ、出来上がりはほぼ別人だ。斜めから撮影し、自然な笑顔を演出してもらい、背景もかっこ良くしてくれる

いかにも仕事ができそうな写真を撮ってくれる

実際にこの写真に変えてから仕事が圧倒的に増えた。結局、見た目が大事だ。
イケメン、美人は生涯年収がそうでない人たちと比べて数千万円ほど高いという報告を聞いたことがあるぞ!

次に資格と臨床として勤務先をしっかり書こう。基本中の基本である。やはり聞いたことがある病院で働くことは信頼につながる、君が一度でもハードに働いた経験は宝だと思ってほしい。安い労働力として働いた経験を無形の財産として、可能な限り換金するかしないかは君次第だ。まれに外資系企業で相場より良い条件で募集しているが語学経験も重要で積極的にアピールしよう。

「経験を金に変えよう」と思っている先生は、産業医に向いていると思う。マネタイズは難しいが、「商売人」気質の産業医はプロ意識が高い。わたしはハスラーマインドと呼んでいる。

書類選考ゴール地点で鼻の先で勝負を分けるのが備考欄である。こちらを空欄にしているのは非常に勿体無い。
当直明けの朝または深夜2時のテンションで一気にこの空欄を埋めてほしい。
どんなことを書けばいいか悩むと思うが、統計や疫学に詳しいなら予防をテーマにするのが良いし、筋骨格に専門的な知識がある先生なら腰痛をテーマに書くのは自然だろう、婦人科領域に関わる先生なら月経に関連することが良いだろう。糖尿病や高血圧など生活習慣病を診療する先生なら想像にイージーな内容だ。メンタルなら面談や休職復職の対応に強みがあるだろう。再受験組みで、一般企業で働いた経験のある先生はそれはダイヤの原石かもしれない。産業医と全く関係のない人生を歩んできた先生でもなんとか産業医につなげて欲しい。基礎系でマウスやっていたなんて経験があれば、社会敗北的ストレスと産業医は繋がるかもしれないし、全く繋がらないかもしれない。君のまっすぐな気持ちをとにかく空欄がなくなるまで埋めてほしい。

次に運よく採用面接に行くことになった先生は、パワポを用意しよう。
履歴書で書けない内容をここで書いていく。
1枚目になぜその企業が君を選ぶのか書こう
企業は、君や紹介会社に数十万ないし100万以上お金を払っている、選ぶ側は君を選ぶ基準を明確に言語化する必要があり、それを後押ししよう。ワンフレーズで君を表現しよう。
ここで経験が低い産業医がイケイケ産業医に勝つ方法がいくつかある。それをよく考えて戦略を練ろう。仕事がない産業医は、産業医としては時間が有り余っている。実際は臨床のアルバイトでガチガチかもしれないが、産業医の仕事は臨床相場の3倍近い報酬で在宅ワークに変えたり業務委託としての報酬になり、正直臨床アルバイトより美味しいと思う。
話は戻るが企業の問題に対して「君の時間」を使って寄り添えるかもしれない。イケイケ産業医が「それは産業医の仕事ではない」としている内容も、もしかすると君ならできるかもしれない。そしてイケイケ産業医はとにかく忙しい。面接の段階で「火曜の16時からしか空いていない」なんてこともあるだろう。追加訪問も簡単にはスケジュールできない。
また、企業側は、既存産業保健より独自産業保健を欲しているかもしれない。その場合、素直で従順で経験の少ない君の存在がとても有難いだろう。それが君にとって正しいか、より収益化につながるか、社会的意義や産業保健の意義に合っているかどうかはわからない。きっとしっかりやってきた産業医はよく思わないだろう。

他の産業医がやらないことをやることはそれなりのリスクが伴う。耳に残るワンフレーズで君を表現しブランディングする訳だが、

例えば「365日24時間対応可能な産業医」なんて自己紹介に盛り込めば、365日24時間の労働を紹介会社も巻き込むことになるので当然NGが出るだろう。よく考えてほしい。

2枚目は、すでに仕事をしている企業数や内容を書こう、職歴は重要で、君のブランディング結果の根拠になる。ここでは、企業が特定されないように書いて欲しい。具体的な企業名を書くのはいつだってリスクだ。
あとのスライドは自己紹介のスライドを書くのでも良いし、何でも良い。

採用面談で聞かれることはまた後日話そう。

最後に大切なことを言う。
深夜のテンションで書いた履歴書やパワポの取り扱いには気をつけて欲しい。間違っても勤務先の病院PCのフォルダに残さないようにして欲しい。

昨今、世の中の全てが「ホワイト化している」、そのエンジン部分に産業保健があり、界隈は間違いなく追い風である。
ぜひ、産業医/保健師に挑戦してほしい。

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