見出し画像

美しい鳥

白鳥が好きだ。

名のしれた飛来地などないのだが、地元には、普通に白鳥が飛んでくる。「クエー、クエー」みたいな声で鳴きながら、群れで美しいラインを描いて。

家の中にいながらでもわかる、その声を聞くと「冬が来るな」と思う。

田んぼや池に、あの白い体をした群れがいるのは、雪が降る前にはよく目立つ。
とくに池をスイーっと泳いでる姿が好きで、娘を保育園に送りがてら、毎日の楽しみに見ている。

白鳥、というのは、フォルムがたまらない。
ぷりっとしたおしり、広げるとあんなにバッサバッサ言うのに、たたむととたんにコンパクトになる翼。

顔に不釣り合いなほどでかいくちばし。しなやかで長い首。つぶらな瞳。

アヒルも鳩も鴨も雀もかわいいと思うが(カラスは思わない)、白鳥はとくべつに美しいと思う。

彼らは渡り鳥で、ひと冬に2000kmから3000kmも飛ぶのだという。

池から、田んぼから飛び立つとき、低空から浮かび上がっていくさまは迫力満点だ。
NHKのドキュメントで、長野にある鷹を見上げる峠のことをやってたが、あれが白鳥だったら、私も見に行くと思う。

仙台に住んでいた頃、家から徒歩圏内の広瀬川のたもとにも、白鳥が飛来していた。
0歳児の娘を抱っこして見に行ったことを覚えている。

私にとって冬を告げる鳥、美しい鳥。それが白鳥なのだ。

雪のあるあいだはあまり出かけたくないけど、飛来地のそばに行く機会があれば行ってみたい。

そして、ただぼーっと眺めたい。彼らが鳴いたり、羽ばたいたり、飛び立ったりするさまを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?