ゼロからの哲学書の読み方(精読)

まず、大前提として、本気で読もうとすると時間と根気が必要になってきます。それはもうしょうがないです。とにかく、できることはすべてやり、利用できるものはなんでも利用しましょう。
それと、これは自分用に書いたものを手を加えて公開したものです。ご了承を。
ついでに言えば、結構な量を精読するというのは最初はやめた方がいいです。1ページ、一段落とかそんなもんにしとかないと、十中八九挫折します。

①入門書を読む
新書を含め、その著者やその本についての入門書を読みます。なるべく複数の入門書を読むようにすると理解が立体的になり、また入門書の著者のもつ偏りに無意識に引っ張られずに済みます。
今ならばYoutube動画で概要をおさえておくのも一つかも。

②辞書を使う
岩波哲学・思想事典がベーシック。他にもカント事典とか、現象学事典とか、より専門的な事典が存在するので、併せて使うとよいかもしれません。
注意すべきポイントは、「愛」とか「神」とか、知ってると思ってスルーしてしまうけど、実は理解が浅い単語って結構あります。西洋哲学の「愛」って、エロースとかアガペーとかフィリアとか、めちゃくちゃ種類があるんですよ。
ふわふわした理解のまま読み進めるのをふせぐには、自分の「分かってる感」を疑う必要あり。

③現代文のように読む
接続詞に気をつける、段落ごとに意味をまとめる、意味段落に分ける…。さらに要約もやる。特に要約は効果が大きくて、分かってるようで分かってない部分が浮き彫りになる。そこをわかるようになるために、再びテクストに向かう。この作業が自分の血肉になります。
はじめとおわりだけ読むのも、有効ですね。

④訳文の都合に気をつける
ぶっちゃけ「哲学」というと基本的に西洋哲学です。日本語に翻訳される際に、日本語だと分かりにくい部分はどうしても出てくるものです。誤訳の可能性もあります。こういうときに原文を確認できると全然違います。哲学で語学が大切と言われるのは、このあたりの事情があってのことです。元々外国語で書かれたものを本気で精読するなら、外国語は避けて通れません。残酷ですね。
なお、誤解してほしくない点として、「利用できるものはなんでも利用する」には、和訳も含まれます。和訳に抵抗をもたないでください。

⑤コンテクストを確認する
哲学史の流れの中に、この本(この思想家)はどのように位置づけられるのか、ということを頭に入れるだけでも、読みやすさが変わることがあります。どうも頭に入らないな、と感じたらコンテクストを探ってみるのもひとつですよ。

⑥根拠の深追いをしてみる
結論からスタートして、なぜ、なぜそう言えるの、という問いを繰り返す。普通に読むのと逆方向を辿るわけです。論理展開が整理されます。


とりあえずこの辺でしょうか。また思いついたら追記していきます。ではでは。

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