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サグメの話 ⑴

私の名はサグメ。

アメノサグメと言ったらあなたにはわかるかしら?

どうしてあなたの夢の中に現れるのかって?
それはきっと、あなたが私にすごく興味を持っているから。

サグメ-探女。名前からもわかる通り、私はいろんなことを探るのに長けた巫女。その調査、探査能力をアマテラスさまに買われて、ワカヒコさまとともにタカマガハラから降りてきた。

巫女といってもいろいろあってね。霊媒(メディウム)とはちょっと違った力を使う。

あれからどのくらい経っているのかわからないけど、ここがあれから後の世であることはまちがいないよね。

そう、ちょっとアンテナを張ってみたの。そしたらあなたが引っかかってきた。

あなたの頭の中の知識を読んでみると、あの出来事はなんだかずいぶん違う話になってるのね。まぁ真実っていうのは少数の人が知るものだから、仕方ないのかもしれない。

でも、あなたはちょっと疑問というか違和感を感じているみたいね。本当のことを知りたがっているみたいだから、こっそり教えようか。

タカマガハラからの伝言を反対に伝えたというのはね、あれは私の悪意からじゃないのよ。ナキメは桂の樹の上で大声で詳細にアマテラスさまからの言葉を伝えた。それは当然ワカヒコさまにも聞こえていたはず。タカマガハラの言葉をワカヒコさまが分からないはずがない。

私の役目はね、彼女の言葉を正確に逆さにすることだった。だから彼女に頼んで、高い木の上でゆっくり大声で言ってもらったの。ナキメはタカマガハラでは仲良しだったし、ある条件を提示したらすぐ承知してくれた。私がアシハラノナカツクニに来てからはときどきこっそり遊びに来ていたの。

逆さの言葉を唱えるのはサカゴトと言って、物事を逆転させたいときに使う呪術。でも、それはときには相手を殺してしまうほどの呪詛の力を持ってしまうから、余程のことがない限り使うことはない。

サカゴトで起こしたかった逆転劇っていうのは、ワカヒコさまが一度死んで蘇り天に上ること。無論ワカヒコさま自身が望んだことよ。

もともとタカマガハラのカミであるワカヒコさまがどうしてそんなことをするのかって?それはそうしなければならない理由があったからなの。

長くなるから、それについてはまた今度話すね。


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