はじめての秋の里山の愛おしい一日
田舎に移住してきて初めての秋が来た。
なんだか秋の一日がとても愛おしい時間だったので、言葉にして残しておきたくなった。
久しぶりに豆からコーヒーを淹れた。
歩いて1分のお宅から自家焙煎しているコーヒー豆を買った。
丁寧に焙煎したその豆がおいしすぎて大事に取っておいたら、風味がだいぶ落ちてしまった。
それでも、窓から入る秋の柔らかい日差しと太陽の光を受けた草木の香りとコーヒーの香りはやっぱり相性がいい。
先日、始めて行った歯医者で「奥歯に力が入っている」と指摘された。
「どんな時に奥歯に力を入れているか、気にしてみて」
と、先生は言った。
それ以来、いかに自分が体全体を緊張させて過ごしているのかに気付かされた。
一日のうちで、身体を脱力している瞬間は、ほぼ1分たりとなかったのだ。
でも、今日。コーヒーの香りを嗅いだとき、身体の80%くらい緩んでいるのを感じた。
私にとってコーヒーはリラックスするために大切なアイテムだったのだ。
少し風味が落ちて酸味が強くなったコーヒー。
味見をしたら濃く入れすぎたので、ほんの少しだけ牛乳を入れた。
その味が、スペイン留学していたころに休憩中によく行っていたカフェのコーヒーの味に似ていた。
スペインではコーヒーに少し牛乳を加える飲み方café cortado(カフェコルタード)という。
私はこの飲み方が好きだったけど、オーダーの仕方を知らなかった。
ある日ステイ先のママに、牛乳を少しだけ加えるのが好き、と伝えたら
「カフェコルタードね」と教えてくれた。
それ以来、いつも行くカフェではカフェコルタードばかりオーダーしていた。
カフェに通って2ヶ月ほど経ったとき。クールな店員のお姉さんが、私がオーダーを言う前に「カフェコルタードでしょ?」と言ってくれるようになった。
今日の一日は、あのときのスペインでの愛おしい時間に似ている、そんな風に感じるから、ふしぎだ。
敷地に彩りを加えたいと思い、お向かいのお母さんからコスモスを株分けしてもらった。
剪定した時の茎がもったいないな、と思い、駐車スペースの脇にせっせと植えていた。
コスモスは、9月に入ってもなかなか花を咲かせてくれなかった。
家の前の花壇のコスモスは咲き始めていたので、うちのコスモスは咲かないのかな、植え方が悪かったかな。と思っていた。
ところが数日前、ひとつ、ふたつと花を咲かせてくれた。
剪定して植えていたコスモスも、蕾を付けている。
植物の力は偉大だ。
これから色味が少なくなる冬に向けて、パンジーの種を買ってきた。
苗ではなく種を買ったのは、種のほうが安かったからだ。
買ってきて説明を見てみたら、種から育てるのは安いけど手間がかかることが分かり、苗を買ってくればよかった、とちょっとだけ後悔した。
でもせっかくなので種から育ててみることにした。
種はほとんど小さいポットに入れたけど、もしかしたら地植えでも芽を出すかも?と思い、ためしに5つくらいだけ花壇にも植えた。
数日前くらいからポットにヒョロヒョロとしたふたばが出始めた。
花壇を見ると、花壇のパンジーはすでにしっかりと本葉を付けていた。
地植えの方が元気に芽が出るんだ、とわかったので、今日はポットのふたばを半分くらい花壇に植えてみた。
植物の力や土地の力の偉大さに、日々感動させられる。
コーヒー豆を引いていると、大きなクモがそろりと現れた。
あいつはたぶんマイケル。
ここに来て7ヶ月。虫にもだいぶ慣れてきた。一つ一つに怯えていても身がもたないので、害を及ぼさないものたちはてきとうに名前でも付けて住人と思って過ごせるようになった。
ここ最近、少しだけライティングのお仕事をもらった。
ライティングの講座も受け始め、文章を書く奥深さと面白さを日々感じている。
でも、noteみたいに自分の好きな言葉を羅列する楽しさ、というのはまた違った感覚だな、と久しぶりにnoteを書いてみて思う。
自然に触れる時間と、パソコンをする時間。
両方が共存する一日は、とてもバランスが良くて私にはあっているのかも知れない。
来週から、農家バイトをスタートする。
予定では今週からだったが、予定がズレた。
それを知人に伝えたら「プレゼントのような1週間だね」と言われた。
たしかに、この愛おしい時間を感じられたのは、プレゼントだったのかも知れないな。
読んでくださり、本当にありがとうございます^ ^