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生命保険・医療保険・がん保険の必要性を考える

生命保険、医療保険、がん保険は、保険の営業担当者に勧められるままに加入している方が少なくないのではないでしょうか。
高額の保険料を負担していたり、商品をよく理解していなかったりして、損をしているケースもあるかもしれません。
 
そもそも病気などの不測の事態に直面したとき、急な多額の出費に対応できないから保険に加入するわけです。
不測の事態にいくら必要かは人によってまちまちです。
いざというときにどれくらいの金額が必要になるのかを想定しておくことにより、必要保障額を抑えられる可能性があります。
 
自分のニーズをきちんと考えて保険加入の要否や必要保障額を自分で決めることが大事です。
そのためにはどういったことを検討すればよいのかについて考察していきます。


 1 保険加入の必要性を考える


生命保険や医療保険、がん保険の必要性は、収入や資産の状況やライフスタイルによって異なります。
判断するために考慮するポイントは次の通りです。

(1)まずは社会保険制度を活用できる


日本では公的な社会保険制度があり、医療保険や年金制度などから支援が受けられます。
しかし、必要金額すべてではありません。
健康保険は一定割合を自己負担する必要があり、年金は支給される金額が決まっています。
また、社会保険制度が適用されないケースもあります。たとえば、差額ベッド代や先進医療などです。

(2)保障範囲外となる部分の補填が必要になる


社会保険制度ではカバーしきれない部分は自己負担となります。
手元資金での支払いが不足するなら、民間の生命保険や医療保険、がん保険などで補う必要が出てきます。

(3)扶養家族がいれば生活保障が必要になる


扶養家族がいる場合、自分が死亡したあと、遺族の生活を支えるための資金が必要になります。
死亡保険などへの加入を検討する必要があります。

(4)保険料が負担にならないかを考える


保険料は家計に負担をかけない範囲で選ぶことが大切です。

2 社会保険制度を知っておく


社会保険制度は、国民の安心と生活の安定を支える重要な仕組みです。次のような種類があります。
 
①医療保険
病気やケガの際の医療費を一部負担してくれる制度です。
国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合などがあります。
出産に際しての給付金や、病気などで働けなくなったときの収入補てんのための給付などもあります。
 
②年金保険
現役時代に保険料を支払い、原則65歳から老後資金を受け取る制度です。
国民年金と厚生年金の2種類があります。
受給できる年金には障害年金や遺族年金もあります。
 
③介護保険
40歳以上を対象に、要介護状態になった際に介護サービスを受けられる制度です。要介護認定が必要になります。
 
④雇用保険
会社員が加入し、失業したときなどに給付を受けられます。
 
⑤労災保険
労働中のケガや病気に対する給付を提供する制度です。

3 自分のニーズに合った保険を選ぶ


適切な生命保険を選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。
慎重に比較検討し、専門家へ相談することをおすすめします。

(1)自分のライフプランやライフステージを考える


現在の年齢、収入、仕事、健康状態、ライフスタイル、家族構成などを包括的に見つめてみましょう。
自分の今後の人生を設計し、必要な保険を見極めるには、自身の現在のライフステージがどこにあるかを理解することも大切です。
何にいくら必要かを検討する土台となります。

(2)保険の種類を理解する


生命保険、医療保険、がん保険、学資保険など、さまざまな種類の保険があります。それぞれの特徴やカバーできる範囲を理解しましょう。

(3)保障内容を理解する


候補となる保険の保障内容を十分に理解しましょう。
保険会社により保険商品により保障内容は異なります。正確に理解して比較検討することが大事です。

(4)保険料と保障内容が見合うか確認する


候補商品ごとに保険料と保障内容を比較しましょう。
掛け捨て型と貯蓄型の違いなどを理解して、自分の必要としている保障に合った商品を選ぶことが大切です。

(5)インターネットで情報収集する


インターネットを活用して保険に関する情報を収集しましょう。
保険会社の比較サイトや一括見積もりサービスを利用することで、保険料や保障内容を比較しながら、効率的に情報収集できます。
また、保険会社の評判を調査することもできます。保険会社の評判やクレーム対応なども重要です。

(6)保険の専門家に相談する


保険の専門家に相談することで、自分に合った適切な保険を選ぶサポートをしてもらえます。市場のトレンドや最新情報を踏まえた適切なアドバイスを受けられるでしょう。
また、保険の無料相談を活用する方法もあります。

4 必要保障額を決める


生命保険、医療保険、がん保険の必要保障額は、一人ひとりの状況や家族構成によって異なります。
以下のポイントを考慮して算出できます。

(1)死亡保障


具体的な計算方法は以下の通りです。
 
①必要保障額の計算
㋐家族の生活費

遺族の生活費を検討します。現在の生活費をもとに、遺族が生活できる期間を考慮して計算します。
生活費 = 現在の生活費 × 7割 × 遺族の生活できる年数
㋑子供の学費
子どもがいる場合、将来にわたる学費を考慮します。私立大学や医療系大学などは高額な学費を見込まなければなりません。
㋒葬儀関連費用
葬儀および関連する費用として、200~300万円程度を設定しておくとよいでしょう。
 
②生命保険以外の保障を整理
遺族年金:遺族年金制度による支給額
住宅ローンの団体信用生命保険:住宅ローンの支払い免除
会社の福利厚生:退職金など
 
③実際の必要保障額を計算
必要保障額 = 必要な保障額(①) - 生命保険以外から受けられる保障額(②)
必要保障額は個々の状況により異なりますが、平均的には1,000万円から5,000万円程度が目安とされています。

(2)医療保険


まず、医療保険を選ぶ際には、以下の給付金額をいくらにするのかがポイントです。
公的医療保険ではカバーしきれない費用(入院費用や差額ベッド代、通院のタクシー代など)も考慮して決めましょう。
 
①入院給付日額
入院時に受け取れる給付金の日額を設定します。日帰り入院もカバーされる商品もあります。
 
②手術給付金
手術を受けた場合に受け取れる給付金です。入院なしでも手術給付金が受け取れる商品もあります。
 
③通院給付金
通院治療にも対応した保険を選ぶと、タクシー代や家事のサポート代などもカバーされます。

(3)がん保険


がんの治療費は、がんの種類や進行度、治療方法によって異なります。
厚生労働省の統計によれば、入院治療の平均費用は約76万円(自己負担3割の場合、約23万円)です。外来治療の場合は約5.6万円(自己負担3割の場合、約1.6万円)とされています。
がん治療に備えるためには、高額療養費制度などの公的制度を理解し、がん保険の加入を検討することが重要です。
また、先進医療(例:陽子線治療、重粒子線治療)は公的医療保険の対象外で、平均で300万円前後の治療費がかかります。
なお、がん診断給付金は、50~200万円を設定することが多いようです。
 
先進医療を受けることを考慮すると500万円程度必要と考えられます。子育て、住宅ローンの返済など、ライフステージによっては必要金額がさらに多くなります。
ご自身の貯蓄の状況も踏まえて必要保障額を設定するとよいでしょう。
 

 

生命保険、医療保険、がん保険は、自分のニーズをきちんと考えて保険加入の要否や必要保障額を自分で決めることが大切なのです。

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