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臥床時間が長く、汗をかきやすい方に対するクッションの選定について。

こんにちは。

今回は、臥床時間が長く・汗をかきやすい方への対策をお話ししていこうと思います。


🙋自己紹介
ユニット型特養に努める理学療法士です。
経験:従来型特養パート・総合病院・整形外科クリニック・ユニット型特養(今ここ)をしてきています。


1.長期臥床によっておこるリスク

まずこの臥床時間が長いという点について、リスクをお話ししていこうと思います。

長期臥床によってまず

A.筋力低下の可能性が高まります。

不動の筋への影響に関し,平均 67 歳の被検者の 10日間の安静により,筋蛋白合成率が 0.077 から 0.051と約 20%減少していることが報告されている

(Kortebein P, Ferrando A, Lombeida J, Wolfe R, Evans
WJ : Effect of 10 days of bed rest on skeletal muscle in
healthy older adults. JAMA 2007 ; 297 : 1772.1774)

実際に筋を構成しているたんぱく質の合成率が減少するなど筋実質にも関わっています。長期臥床によりこれ以外にも報告されていることは多くありますので、筋力低下には気をつけたいです。

B.関節可動域の制限のリスク

関節可動域には様々な要素があり、筋肉や関節包、靭帯、滑膜などの軟部組織、骨などがあります。大腿骨頸部骨折後の骨頭壊死などの外傷や病的な原因もありますが、長期臥床により筋肉の短縮(短くなること)が起きることもあります。その後は関節包など他の要素も大きくかかわってくるとのこと。

関節可動域に関与するのは関節構成体のみではな い.岡本・沖田らはラットの足関節ギプス固定の系で 皮膚,筋(腓腹筋・ヒラメ筋)を順に切除して可動域 を測定することにより,関節可動域への筋要素の関与 を検討している(図 3)12).図 3 からは,固定から 4 週までは筋要素が可動域制限の半分以上を占めるが, それ以降にはその他(主には関節構成体)の要素が可 動域制限の主体となっていることがわかる.固定後早 期の鍵を握る筋に関しての検討も進められており,上 記と同じ系では筋長の短縮は固定後 1 週間で約 10%, その後はあまり短縮しないと報告されている13)

12)岡本眞須美, 沖田 実, 加須屋茜, 中野治郎, 鍬塚幸子, 西田まどか, 友利幸之介, 吉村俊朗 : 不動期間の延長に 伴うラット足関節可動域の制限因子の変化 : 軟部組織 (皮膚・筋)と関節構成体由来の制限因子について. 理 学療法学 2004 ; 31 : 36.42
13)沖田 実, 吉村俊朗, 中野治郎, 佐伯 彩 : 拘縮の病態と ストレッチング. 理学療法探究 2000 ; 3 : 29.36

C.褥瘡のリスク

長期臥床によって褥瘡のリスクが高まってしまいます。
低栄養や圧迫、ズレなどの要素でこれらの可能性が高まってしまいます。
日本では、日本褥瘡学会が発表したDESIGNという評価方法が主流で当施設もこれを参考にしています。


その他、骨密度・肺機能・血流や脳活動にも影響してきます。

2.汗が長時間肌に触れることによっておこるリスク

汗が長時間肌に触れていると、汗にはアンモニアや塩分が含まれているので、その成分が肌を刺激して接触性皮膚炎を起こしてしまう可能性があります。

また汗を排出する汗管というところがつまり中で炎症をおこしてしまうリスクもあります。

汗をかきやすい方が、長期臥床によって蒸れを助長してしまい、皮膚のトラブルにつながることがあります。

そのため、この二つの問題を解決しなければなりません。

考えられる対策として、

A.離床頻度や時間を増やす

離床時間を増やすことで圧の分散を図ることが出来ます。
臥床時は肩甲骨や後弯している椎骨棘突起部、仙骨部や踵部などに圧が掛かることが多いですが、離床すると坐骨結節など臥床時とは別の部位に圧を移動させることが出来るのでこの方法は有効だと思います。

B.体位交換を定期的に行う

これも圧分散をするのに効果的です。
当施設ではオムツ交換時に体位交換を行っています。
この話をするきっかけになった方は長期臥床期間も長いですが、褥瘡が出来たことはありません(2日に1度は離床行っています)

C.クッションで工夫する


毛がたっているようなふわふわな起毛のクッションだと保温性があるので、熱を逃がすことが出来ず汗をかきやすいのかなと思います。

当施設では、ベッドパッドなどを丸めて隙間を少し作るように背中にいれこむことで通気性を作ることができています。

少し効果は出ていますが、まだ若干蒸れており、改善の余地があります。

D.室温を調整する

単純に暑いと汗をかきやすいので、室温を再度見直すとよいかもしれません。

E.体調の管理


環境ではなく、汗をかきやすい状態になっているかもしれないので看護師等と相談し状態改善の対策をたてるとよいと思います(疾患による症状の場合は受診が必要と思われます)。

現状で考え付くものを列挙しました。

③の方法は少し効果が出ているので、継続して試していきたいと思います。

ありがとうございました。

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