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トホホ結婚式の想い出…

いま、結婚するとしたらまずゼクシィを買うのだろうか?


私の若かった頃(23年前)ゼクシィはまだ存在せず入籍だけするカップルが急激に増えた時代。式を挙げる人は結婚式場でゴンドラに乗ったり、ドライアイスの式場パック型演出が主な時代に私は自分で自分の披露宴のプランを立てた。
今の時代のはしりだと自負している。


ウエディングプランナーなどいない時代であるが、
これからウエディングをプランニングしていきたいという母の知り合いの方のおかげでいい挙式が出来たと思っている。


プリントごっこで(わからない若者はググれ!)
往復はがきで結婚式の招待状を自作し送り、
出来るだけ楽しんでいただけるよう工夫し、


二次会は新郎新婦が作った料理を知り合いのログハウスを借りて振る舞う…というなかなかのハードプランだった。


結婚式の前日はエステどころか、
引き出物に配るフィナンシエとマドレーヌを焼きまくっていた。

衣装の先生は結婚式のドレスには胸に最大のパットを入れてくれ、
私が170センチ、夫が176センチだったので夫に上げ底の足袋を履かせてくれた。
巨大な白無垢花嫁であった。


挙式の朝、自宅で白無垢に着替えた時、
着付けの先生が
「あああーー」と、言った。
うなじの産毛を剃ってない。
厳密にいうとうなじの産毛を剃るなんて聞いてない。


母と姉を見るとちゃっかり自分たちだけ剃り合いしていた。
まじかよ。剃刀負けしてはいけないので今からは剃れない…と言う。
そうして白塗りの化粧のうなじが鳴門海峡化している花嫁が仕上がった。昨日のうちに教えてくれよ…。
むしろ1番に剃ってくださいよ…。
そんなん知らんからめっちゃフィナンシェとマドレーヌ焼いてたがな!!


結婚式を挙げる神社まで紅白の飾りをつけた花嫁タクシーが迎えに来てくれた。
ご近所さんが出発を見守ってくださり沿道の方々も手を振って祝福してくれた。
気持ちはプリンセスである。
一生一度味わえただけでもありがたい話。
うなじは鳴門海峡やけど。

三三九度で誰かが笑いをこらえていると思いきや
父が号泣していた…というエピソードは乳がんコラムにも書いたがいろいろ細かいエピソードがありつつも
もうコレはさ…というのが、


お色直しした時にブラジャーが無い!


玄関に私の着替えの荷物一式を置いて、
持ってきてくれるように頼んだのに家族全員が綺麗に忘れていたらしい……。


ええー。どうする?
時間がない!
着付けの先生は私の近くでいろいろ直したりしなくてはいけないからノーブラにはなれない。


じゃあ、私のを!
……と先生のお弟子さんの太めのおばちゃんが名乗り出てくれた。
私の胸の大きさとお弟子さんのおばちゃんのブラジャーは絶対に合わなかったが、先生の機転で背中で固結びをしてなんとかする…という方法を思いついて実行してくれた。
先生のお弟子さんよ!ありがとう。


ブラジャー、汗でしっとりと冷たかった。
テーブルを回ってキャンドルに灯をともすイベントも
両親への感謝の挨拶も花束贈呈も美しいドレスの下で汗でしっとりと濡れた他人の肌色のブラジャーを付けている自分。


私の人生はいつもそうだ。
なにかがいつも締まらない…。


もうすぐ23年経つが今でも結婚式の記憶をめぐると
しっとりと濡れた他人のブラジャーの感覚が一番鮮明にトホホ感たっぷりに蘇ってくる。
他人が付けていたブラジャーを身につけることなどこの世の中に何人経験したことがあるだろうか。


稀有な経験
別にしなくてもいい経験だと心の底から思うが
48年間の、締まらない人生もありだと思える。
過去の締まらなかった思い出が今の自分を作っている






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