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アンジェリーナ・ジョリー帰宅する

無事に右乳房全摘手術→退院してきました。

これで晴れて両胸GOフラットである。

手術前「出来るだけ両胸の傷口の角度を合わせたいと思うけれどズレてしまうこともある」…って先生から説明受けて、

はじめっから両胸の傷口の角度とか
マジでどうでも良かったので気遣いハンパないな…
と思いながら

「あ、ズレてもいいです。悪いところをとってもらうのが大事なんで、ガチャズレしてても大丈夫です」

と言ったら先生は豆鉄砲喰らったみたいな顔をする。この顔、良く見るよ……私はどうもナイスミドル先生世代の気遣い枠からはみ出しているらしい

先生、それ、珍しい生き物に遭遇した時の顔ですよ。


ナイスミドル先生は長年の乳腺外科医生活の中で、
女性が胸を失うことについて辛い場面に遭遇することも多々あったのだろうと思う。

私自身がどうでもいい…と思ってることについて気遣いバンバン見せてくれるのでこっちも先生に合わせて、しおらしくした方がいいのかな?……と思うほどである。

気、遣わすなよ。ナイスミドル!


先生にしてみれば、本音なのか強がりなのかを
測りかねて返答に困り鳩豆、目がシロクロ状態に
なるのだろう

先生の今までの患者の中でも異色の存在であることは確かなようだ。

手術は2時間半と聞いていたが、
1時間繰り上げの1時間半で終わったらしい
らしい‥というのは本人は体感3秒で終わってるもんでね。知らないんですよ。

3ヶ所のリンパで生検かけたけどガンは到達しておらずリンパ郭清なし転移なしで朝イチの手術枠で病室に戻ってきた。

私の後の順番の人たちが時間繰り上げでドリフ展開になってしまったようだ。すまんね。

2年前の手術の時のフットポンプの音がマジうるさくて一晩中眠れなかったので
入院時の面談の時、看護師さんに
「何か要望とかありますか?」
と聞かれて


「朝一番の手術でもフットポンプを外されるのは次の日の朝ですか?あれ、金魚の水槽のポンプの音くらい、うるさくて苦手なんですけど」
…と言ったら隣で夫がズッコケていた

なんでそれやねん…と思ったらしい


結局、
「フットポンプは次の日の朝と決まってるから
長時間になりますね、一応上(病棟)にも申し送りしておきますね」と言われ「あ、絶対ってほどじゃないです…規則に従います!」とは言ったが、
正直萎えるな…とは思った

そしたら手術後のフットポンプ、
新型の静かなものをつけてくれてて麻酔もなかなか抜けなかったのか手術後、ずっと眠りこけ手術の夜も朝までスヤスヤ眠ってしまった

夫や看護師さんに話しかけられると
起きて返事はするがその後また眠るの繰り返しで朝まで過ごした

朝になって歩行してみて全部の機械や点滴、尿の管全てが抜かれ、胸からのドレーンだけになった

人間って抑圧から解放されると幸せ感じるようにできてんね。最高に解放感を味わったよ

コロナ禍の入院は大変である。
まず入院前日にPCR検査の検体を提出する


朝一番、寝起きの唾液採取、予防歯科に通ってる歯オタクは
この唾液、雑菌凄そう…と思う。
人間は眠っている間に口内細菌が増えるからだ

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検体を検査室に提出して当日の夕方16時過ぎに判定の電話がかかってくる。

実は20日ほど前、
軽症で済んだがコロナの陽性者が職場で1人出て、
私自身、濃厚接触者には当たらないが内心落ち着かなかった

手術が遅れたら困る!
今回の私のガンタイプ増殖スピード早いんだからな!


16時になる前に
「陰性でした」
と電話もらった時のホッとした気持ち
マジ大阪府はそこまでコロナきてるからな。
隣のコロナ……

とりあえず手術延期は免れた
やれやれだぜ。

無事に手術を終えて胸を覗き込んだ夫が
「お!左右対称や!すごいな!」
と言っていたので脳内では左右対称なんや…と
思っていたがシャワー許可がおりて鏡で自分の胸を見た時、

マジかっこいい!

と思った。
刀傷のようなそれは美しい角度で左右対称で
潔さがそこにあった

手術の次の日にはドレーン管を抜いてもいいほどの量しか分泌物が出ていないし痛みも全くない
今回も痛み止めを一錠も飲まずに済んだ

ナイスミドル先生は外来の合間に様子を見に来てくれる。ナイスミドル先生に

「手術跡、見ましたよ。すごく上手く角度調整してくださったんですね!傷跡、めっちゃカッコ良かったです!」と満面の笑みでいつもの調子で言ったら

また、鳩豆で

「カッコイイ?カッコイイ………?」

と先生は困惑していた。
すまない……規格外患者で
治療に関してはヤル気満々なんで、どうか先生の振り幅拡げてください。この2年間ずっとこの調子だったでしょ…早く私という人間に慣れて欲しい。

コロナ禍で院内のコンビニにも行けず、
ほとんどベット上で過ごさなければいけない
あまりに歩かないので一度太腿の裏がつって、
手術跡も痛くないのに太腿の裏でベットの上で悶えまくった。

コロナ禍を生き抜く大阪府民、面会全面禁止。
だいたいこうなることは予測済みだったので、
Netflixの韓国ドラマをタブレットに大量ダウンロードしていたし
Kindleで漫画も大量ダウンロードして、
好きな和歌の本、靴下編み、小袋のおやつに、
チョコレート、ご飯の友などを持ち込んでいた

だから退屈はしなかったけど、
結構役に立ったな…と思うものは自撮り棒

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ドレーン管をドヤ顔で自慢する写真。

家族、特に親は心配するじゃないですか。
手っ取り早く安心させるには今の姿を見せるのが1番早いと思って、入院前日に夫にDAISOで買ってきてもらった。

身内にドヤ顔を送りつけて機嫌良くやってるよ
という作戦は成功だった。
病院内でふざけてるのバレたらアレなんで、
カーテンの内側で誰も来ないな…と足音を確認して自撮り棒伸ばして撮る背徳感。
ニヤニヤした。

ニヤニヤといえば、
朝から韓国ドラマをイヤホンつけて観ていたら、
突然、血圧とパルスオキシメーターを測りに看護師さんがやってきて、パルスオキシメーターの心拍数が上がってるもんだから

「安静にしてて心拍数すごく高いんですけど、
胸、苦しいとかないですか?」と聞かれて、
「えー?ないですけど、なんでですかねぇ…」
とすっとぼけることがあってから

韓国ドラマのトキメキ度が数値化されるのはさすがに恥ずいので韓国ドラマは封印した

まだ生検でてから抗がん剤するかどうかの判断あるし、休職もしばらくはしないといけないので家に帰ってからいくらでも観れる。
胸キュンは家で観ようと心に誓った。

通算8日間の入院での帰宅。
退院する時は9:30には出れますか?と聞かれ
結局9:00くらいに出された。

大阪府の第三波は深刻だ。
先生によると、コロナ専門病院になっているところの患者さんも受け入れないといけないので病床フル回転らしい。もう私が寝ていたベットには別の誰かが寝ているのだろう。

私は第三波の前に全ての予定が組み込まれていたので大丈夫だったが、ガンの手術が遅れたりすることもあるだろう。コロナ以外にも病気はあるのだ。

ちょっと大阪府民の皆さん、ここはひとつご理解いただいてなるべくコロナにかからない方向でお願いします。

私にとって、この度の手術はとりあえずの序章に過ぎない…進行度の早いタイプのガンが1年間で見つかったのは経過観察のお陰だが、生検の結果でやるべき治療はちゃんとやる。

それから、またエンジン全開でいろんなことに挑戦する

どのみち人間死亡率100%だから、生きてればいろんなことあるけど都度都度ベストを尽くして楽しめばいいと本気で思ってる。


そして、自宅は快適だ!家最高。

退院祝いに次男坊が無くなった乳の代わりに
と大学の帰り道にコレ買ってきた

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そしたら夫がすかさず、
こんなにないではんぺんぐらいや!と答えた。
はんぺんて!リアルやないか!

私はおもしろくて愛情溢れた環境でよろしくやっている。
おかげで本来なら辛いはずの場面も明るく変わる。

まわりのお陰は凄くあるな…と感謝しかない。

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