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善意のデマとリテラシー

2018年秋、健康診断オールAの紙もらった直後、


「○○さん、ダメなやつだったよ『乳癌だわ』」
…とドラマと全然ちゃうやん!展開で告げられた
自分が癌になったという事実。

まあ、びっくりしたが針生検からMRIでそんな気も
してたし、
子どもソコソコ大人にした、
保険入ってる、
虫なら子孫残した時点で死んでんな…とか
まあ、今やから良かったわな…。
と、思ったのですぐに受け入れた。

この日から検査、検査、検査でとにかく忙しい日々を過ごすことになるのだが、生きてる限りいつ死んでも(殺されんのは嫌やけど)おかしくない…と思っていたのであまり落ち込みもせず、正しい知識を得て主治医と相談して自分で決める!と既に決心していて告知されても特に平常時と変わらなかった。

私はいつも「毒をくらわば皿まで」主義。

その姿を見た看護師さんが診察室から出た後、
追いかけてきて
「○○さん、諦めてます?」
…と言われたので一瞬意味がわからなかった。

思ってた反応と違ったから諦めているように見えたのだと思う。
頭の中は治療に必要なチャートを組み立てることに重点を置きベストを尽くすと考えていたし、
お金の心配は要らないし家に帰って策を練ろうとしていたので「は?」と思った。
看護師さんは悪くない。
だって普通の告知後の人の感じ知らないからさ。
こっちも癌素人だから。

どういう反応が正解なのか知らなかったし。
そっち側の目線は今もわからない。

「1ミリも諦めてませんけど。むしろ治療に前のめりですけど!」と言った。
一緒についてきた次男坊がいたから余計に冷静だったのかもしれない。
その日の会計230円が自動精算機に吸い込まれていく映像が今でも浮かぶ。

2人で「お賽銭みたいやな」って笑ったんだった。

それからが大変。

自治会長だったので自分でしばらく休むという回覧を作成して仕事もしばらく休ませてもらうことや、たくさんのことに追われた。

あいだあいだに周りの人の善意にもたくさん触れたが「ステージは?」「セカンドオピニオンは?」「もっといい病院紹介してやる」「ストレス貯めるから癌になってんや」「甘いものばっかりたべるから」など外野からの善意の助言が鬱陶しかった。

波風立てないようにやんわりと流し、
「病人に気を遣わせるなよ」と思ったし、
それエビデンスどこから?の浅い情報をいちいち教えてくるのも聞かれるのも面倒だった。

こっち側になってみてわかったけど、
「癌=死ぬ」の構図が強すぎへん?
私は初期だったけれどダメだった時の想定も頭の中では出来ていた。

「死ぬときは死ぬがよし」
と、かの良寛先生も仰っている。


高校が仏教校で個人的に昔から坊さんの話を聞くのが好きな子どもだったので「生老病死」が人間の逃れられない「苦」というものだと認識していた。

その時に正しい知識を得ることに夢中になって、
初めて知った事実がある。

医者というだけで正しいとは限らない。
トンデモを撒き餌にしてお金儲けをする輩が割といる……!!!!!!


医師免許を持っててもとくに死を想定させる病。
不安な病で藁にもすがる人々からお金巻き上げる輩は存在する。

と、いうことだ。
うちは何代も遡っての医者家系
右向いても左向いても医者なんだが「医は仁術」を
そのままにしたような医者ばかりだったので、
医者とはそういうものだと思っていた。

今思えばあまちゃん、じぇじぇじぇ!である。

この幡野さんのnoteにもある通り、
びっくりするほど代替療法が存在する。
冷静に考えると笑えるが冷静でいられないのが癌患者とその家族だ。

おかげでこの某ウィルス騒動もウォッチャーになり
どの先生のどのエビデンスを信じるかを絞り込み、毎日ウォッチングに励んでいる。

マスクを買いに走ることもないし、
デマを拡散することもない。

不要な不安を煽られてたまるか…と思う。
いのちはどの人にも有限、永遠に生きられないんだから心静かに普通に過ごしたいのよ。

ワイドショーは見ない、
だいたい、今悠長に毎日TVに出られる先生が本当に有能なら研究室にいらっしゃるはずだし、究明のために寝ずに研究してるだろ。

火事場泥棒……。
意外と世の中のひとがワイドショーを見てることが
わかった今日この頃。

「それ、何を根拠に言ってんの?」と突っ込むと
「わからない」という「わからないけど怖い」という。

私は「わからないけど怖い」が1番怖いから情報を取りに行く。

癌になって良かったなぁ…とこの某ウィルス騒動で
思うのである。冷静に情報を取り誰を信頼して誰を外すかを見極められるようになったのは癌の下地があったからだ。

素人だけど、自分のことだからちゃんと考える。
受け身で怖がるなんて御免こうむる。
それはどんな病気でもそうじゃないかと思うのだ。


日夜、ウィルスの鎮静化に尽力を尽くしてくださる研究者や医師の方々には感謝しかない。



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