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キス魔の恋人のこと

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そのキスの孕む熱が、わたしを繋ぎとめる。
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2021年6月の記事一覧

この熱を持てあまして

恋人のどこが好きかを明確に言語化できないから、たぶんほんとうに好きなのだろうな、とおもう。 *** 恋人といると、彼の心の奥の捻れた部分がわたしと近しい捻れかたをしているような気がして、どこかむず痒い気持ちになる。恋人は、起伏の少ない平面的で安定した人間でいるようでいて、なにかとんでもなく縺れきった部分を心の奥に隠している気配がする。わたしが素顔を見せたら、このひとは素顔を見せてくれるのだろうか。先回りして諦める癖をやめたら、先回りして諦めないでいてくれるのだろうか。