オリジナルインクとチョコレート
文通相手の友人と、蔵前にあるカキモリという文具店へオリジナルインクを作りに行った。
店舗の2階にひっそりとink standという調色スペースがあり、そこで制限時間内に好きな色を作るのだ。
予約が必要なのでそこは少し手間だが、その分限られた人数でゆったりとした時間を過ごすことができる。
オリジナルインクの価格は1本5,500円、2本目以降は3,000円だ。
以前も一度夫と一緒にink standでインクを作ったことがあるのだが、店舗が移転してから行くのは初めてだった。
インクを詰める瓶の形も直方体のシンプルなものから半球状のボトルに斜めのキャップがついたものに変わっており、お洒落感が増していた。
調色時間は45分と一見すると長いが、実際に作っているとあっという間だ。
一緒に行った友人は「まだ10分くらいしか経っていないと思ったら残り5分だった…!」と焦っていた。
確かに夢中になって色を作るので集中している分時間が経つのが早い。
色合いを決めてから臨んでも、作っていると微妙な色の違いで悩むことになる。
ベースとなるインクは濃い色味の3色を含めて合計17色、それに加えて色を淡くできる薄め液がある。
使える色は3色まで、ただし薄め液は数に入れない。
数滴ずつ小さな容器に落として撹拌棒で混ぜ、手元の紙で都度色味を確認しながら進める。
どのインクを何滴入れたか記録しつつ色を作り、最後にスタッフさんに調合比率を伝えて受け取り時間の書かれたカードを貰ったら調色の時間は終了だ。
瓶詰めされたインクを受け取るまで1時間ちょっと待ち時間があったので、その間に同じく蔵前にあるショコラティエ、ダンデライオンで休憩をした。
その日はとても寒い日だったので暖かいホットチョコレートがしみた。
木目調の可愛らしい店内はチョコレートの甘い良い香りでいっぱいで、とても幸せな時間を過ごせた。
そうして少し時間を潰してからカキモリに戻り、店舗のレジで引き換えカードを渡してオリジナルインクを受け取った。
作ってから3年間はカキモリ側にもレシピが残るので、同じ色が欲しければオンラインで追加注文をすることもできる。
今回私が作ったのは鮮やかな赤紫。
手持ちの万年筆に入れるか、つけペンやガラスペンで使うかはまだ考え中だ。
友人は孔雀の羽のような綺麗な青緑を作っていて、「次に手紙を出す時はこれで書く!」と意気込んでいた。
私も返事は今回作った私だけのインクで書こうと思う。
連綿と続く日常に、一雫、鮮やかな色が加わった。
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