ステージに恋して
ブザーが会場に鳴り響いて、会場の照明が落ち、緞帳が上がる。
赤ワイン色した背景に、ぽっかりとステージだけが浮かび上がる。その光景は素晴らしい絵画のようだ、と思う。
私が今エンターテイメントに関わる仕事に就いている原点。
中高一貫の女子校に通っていた私は、思春期の6年間を踊り尽くした日々だった。そもそもは、全く興味のなかった舞踊の世界に足を踏み込んだのはたまたまで、中学1年生の時に部活の勧誘で教室に訪れてた先輩が面白かったから。ただそれだけ。
所属していた体操部は、器械体操とダンスに分かれていた。ダンスといっても創作ダンスと呼ばれるジャンルで、テーマ・選曲・振付・踊る人数など自分たちで作り上げる。幸いにも在籍している6年間の間に我が校のダンス部はメキメキと実力をつけていって、創作ダンスの大会にも出場できるようになっていた。
ステージに立つ緊張と快感が入り混じって弾けそうになる感覚は忘れられない。そしてその時に覚えた観客席から見るステージの美しさに、今でも魅かれてしまう。NYに数ヶ月滞在して、ブロードウェイのミュージカルを貯金の許す限り観たりもした。
中でも私が好きなのは、明るく照らされたダンサーたちの群舞。一糸乱れぬとはまさにこのことで、体を動かす速さから手足の動き、呼吸までが揃う。
すべての要素を絶妙に融合させるには、積み重ねられた思考と修練が必要で、このカチッとはまる体験を私はあと何回できるんだろう。
ステージでというわけではないのだけれど。自分も、その1ピースになれたらいいな。
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