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おしゃべり美術館@旧夕張市美術館収蔵作品展2024

8月4日(日)、7日(水)に、夕張市拠点複合施設りすたで開催中の「旧夕張市美術館収蔵品展2024」で鑑賞サポートプログラム「おしゃべり美術館」(対話による鑑賞)を実施しました。
 
夕張市教育委員会では、すてきなレポートを発信してくださっています!
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対話による鑑賞のアドバイザー山崎正明先生もありがとうございます。
対話による鑑賞とJAZZ : 美術と自然と教育と (exblog.jp)
 
 4日は9時半に札幌市内で待ち合わせ、下道を車でのんびり走りました。休日なので車の流れもスムーズに11時半に夕張に到着しました。
夕張市職員学芸員の山口一樹さんにご挨拶後、まずは、会場全体を見て今回対話する作品を選びます。今回の展覧会は、木下勘二さんの作品から構成されています。木下さんの炭鉱時代、学校教員時代、釧路転居後の各時代からひとり1作品を選びました。その後、アートコミュニケーター間で、どんな発言が出るかシミュレーションをしました。

山口さん、催しのご紹介をありがとうございます

昼食休憩では、山口さんや山崎先生とお話していると、あっという間に開始時間20分前になりました。展覧会場に戻ると、参加してくださるご様子の方が作品鑑賞されていたり、椅子に腰かけてお話をされていたり、、、緊張が高まります。
14時に開始し、答えや正解はなく自由に作品を見て感じ考えたことをお話いただきたいことなどをお伝えし、作品鑑賞がスタートしました。今回はタイトルに考えが引っ張られないように、キャプションの作品タイトルを隠しての対話になりました。

ドキドキのはじまりです

まず、牛が描かれた作品です。過去にゆうばり小学校での対話による鑑賞で用いた作品です。その時に出たのと同じ発言もありましたが、一人の女性が「これは清水沢だよ。今はもうない昔の風景だよ」と過去をふりかえっての発言がありました。小学校では海外かななどと意見が出ていたのと対照的でした。

次は、炭鉱に関する作品です。タイトルを隠したため、参加者の方から自由な意見がたくさん出ました。途中で色に注目した問いかけをしたところで、さらに色々な意見が出されました。最後に作品タイトルをお伝えしましたが、なるほどーと参加者全員が息をほうっと吐くタイミングが同じだったのが心に残っています。

「人車」1956、灰色の中の黄色に注目します

最後は、抽象度の高い作品で牛や人の顔などもなく、リハーサルでは発言に迷う作品でした。でも、参加者の方同士で場の間合いが取れて、参加者のみなさんは、のびのびお話くださいました。「もしこの作品の中にいなさいと言われたらとても怖く感じると思う」という心象を教えてくださる方もいました。

「流氷からのイメージ」1975、右の作品と合わせてのご感想もありました


鑑賞後に、今回の企画者の一人、上木和正さんから木下さんについてのお話をいただき、さらに今回の参加者の一人、伊藤元直さんによるサックスの演奏がありました。対話の余韻に浸りつつ、木下さんの絵とサックスの音色に囲まれたひと時は、参加者のみなさんと一体感を感じるぜいたくな時間でした。

演奏終もなんとなく、みなさん残ってお話をされていました

企画終了後、メンバーと山崎先生、山口さん、下川町からこの催しのために足を運んでくださった佐藤芹香さんも交えてふりかえりをおこないました。それぞれの思いがあふれ、さまざまな話題が出る熱い意見交換でした。気づけば17時でした。その後札幌に戻り19時過ぎに解散しました。

7月のゆうばり小学校のみなさんからのコメントも拝見しました


 
私たち札幌アートコミュニケーターズが夕張の作品と出会って3年が経ちました。私が初めて夕張に訪問したのは2022年のGWです。その3か月後に再び夕張に足を運び、さらにその後も毎年訪問、さらにゆうばり小学校のみなさんや市内にお住まいの方と一緒に夕張の作品を鑑賞することになるとは思いもしませんでした。日帰りで何度も足を運ぶようになるとは、、、

この企画は、夕張に美術作品が収蔵されていることに加えて、展覧会を企画してくださった山口さんや上木さん、夕張と私たちをつないでくださった山崎先生がいらっしゃらなければ、成し得なかったことです。

私たちは、作品を制作したり展示する立場ではなく、作品を通してコミュニケーションを進めるチームです。さらに夕張では、交流をしながら多くのことを学びます。それは地元の方から、夕張についてのお話をたくさん伺う機会があるためです。たとえば、炭鉱関連の作品を見て、「こういう格好の人たちは昔たくさんいたね。」とか「この山の稜線は夕張岳を△△から眺めたところだね」「昔は、山のふもとに水場があって、そこに牛がつながれていたんだ。間違いないよ。」など。

実際に作品を目の前にして、その迫力を感じ、作品を通して過去を知り、かつての夕張に思いをはせることのできる貴重な機会です。何よりも、実際の作品を見て、地元の方たちの顔つきが変わる瞬間を何度も目にしています。その表情から、夕張への愛着だとか、夕張の素晴らしさとか誇りのような、言葉では実際にお話にならない想いや背景まで感じる経験をしています。私にとっては、夕張での鑑賞は夕張という地域の魅力を感じながら、私たちの活動ができる役割や存在意義みたいなものに思いを巡らす経験です。これからも、作品の魅力を伝える役割を担いつつ、札幌や北海道などの地域への思いも広げて考えていけたらと個人的に思います。

下川町でも素敵なイベントを企画されているそう、またご一緒できたら素敵です!

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