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87歳のピンクの靴下と、沢木耕太郎

靴下が好き。
友達が“よかったら”と譲ってくれたのは友達のお母さんが南極に旅行した時の無骨な靴下。
私の職場は秋は底冷えがするので長らく愛用、
割合動き回る仕事だが、しっかりフィット、今年も頼りにしている。

知り合いのお婆さんが刺子のように縫ってくれた靴下は、もう20年前のものだけど大事にしている。

毎日じめじめしている今なら、白いスニーカーと合わせて淡い色の靴下も、いいな。

だいぶ前、店先で母が“きれいね”と手に取っていたのは、パキッとしたフーシャピンクの靴下。
母はあまり物欲が無く、身の回りはすっきりさせておきたい方なので、嬉しくなって印象に残っている。

何かプレゼントしたくても“物は要らないの”と言う母に、子ども時代から物足りないような気持ちがあった。
母の気持ちが、今は実によくわかる。
子ども達からのプレゼントに、
そんなことよりしっかりおやりなさい、というような気持ちなのか。

母が気に入っていた沢木耕太郎さんの本に、
ある“駆け出し”の若者から靴下を贈られる話があった。
沢木さんに靴下を贈った若者は、どうしているのだろう。
ずっと“駆け出し”な私は、
母に心配を掛けなくなる日が来るのだろうか。
母へ、晴れ晴れと、靴下を贈りたい。


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