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YMYLど真ん中 闘病記のマネタイズについて

「ゆるけみ」という雑記ブログを運営している松坂 澪(みお)です。わたしは「ゆるけみ」以外にも闘病ブログを運営していました(現在は絶賛放置中です)

私は原因不明で病気になって現在も闘病中です。健康でも突然病気になるのが人生です。えぐい。

私は自身の病気がきっかけでブログを始めました。ブログを始めた理由は①時間がある。②副収入がほしい。③有益な情報を届けたい。が主です。

実際に病気という悩みを持つ読者視点も踏まえ、1年間のYMYL領域のブログ運営から考えるYMYL分野でのマネタイズについて、つらつらとまとめてみました。

闘病ブログを始めた経緯

私の病気は個人差がとても大きくて「血液検査の数値と実際の痛みの症状に関連がない」「薬が効く人と効かない人がいる」「気候等で症状変動がある」と、カルテには手がかりがないお医者さんでも客観的に判断しにくい、わからないことだらけな病気だったりします。

実際に私も1つ目の薬は効きませんでした。効き目のあった2つ目の薬は月に3~4万円の自己負担額もする高価なもの。この薬も効くか効かないかはわかりません。

「病気で休職になり、経済状況に余裕もなく、病状が快方に向かうめどもない…」そんな状況の中で、効くか効かないかわからない高額な薬による治療を選択するのには勇気がいりました。

必死で薬に関する体験談をネットで検索したところヒットしたのが無料ブログの闘病記。内容は「薬を投薬し始めたら症状が快方に向かい始めて、復職できた」とのこと。薬の効果を示すかのように、その闘病記は薬の効果に喜ぶこの記事を最後にブログの更新は途絶えていました。

「薬のおかげで復職できて闘病記の必要性がなくなったのかもしれない…」この1記事に希望を見出した私は高額な薬での治療を選択、結果として復職できるまでには症状が落ち着いてきました。

「ブログに救われた」だから私はブログを始めました。

でも…やっぱりお金はほしいです。無給でブログの記事を書くほど、私は書くこと自体に楽しみや喜びは見出していません。

闘病記の現状

17年のキュレーション事件以降のアップデートにより、YMYL分野では個人ブログが上位表示されなくなってきているのは、多くの方が記事にされているように有名な話です。

キュレーションサイトが根拠のない医療分野の情報をのせていた事件以降、Googleのアルゴリズム(検索順位を決める基準)はYMYLと呼ばれる分野の中でも特に医療・健康系の記事は情報の信頼性が高いと判断しやすい厚生労働省や製薬メーカー、病院のサイトが上位表示されるようになりました。

現状の私の闘病記は19年3月のアップデートの影響でアクセス数はほとんどなくなりました。もう分析データは見ていません。売り上げは月に数十円あるかないかです。

19年3月のアップデート前には1日のアクセス数が100~200PVくらいまでにはなっていましたが、変動によりアクセス数は急落しました。

YMYL(闘病記)のマネタイズは難しいし、倫理的にいいのかな?

私は以下の2つの理由からYMYL分野のブログでのマネタイズはおすすめしません。

①アルゴリズムの関係で上位表示が難しい ②人の命な人生に関わる話題でマネタイズしていいのか

YMTL分野はアルゴリズムの関係で上位表示が難しい

18年の夏にブログに参入した私は、YMYLの上位表示が厳しいことを考慮して、ドンピシャなキーワードではなく、当事者なら感じる悩みやつらさがあると思うので、当事者ならではのキーワードで記事を作成することで、上位表示を狙い、検索している人に記事を届ける作戦で闘病記ブログを運営していました。

具体的には「痛い・吐き気がする」と感想を述べるのではなく、「どう工夫したら痛みがある中でも快適に日常生活をすごせるか」「検査の数値が○○と低くても痛みの自覚症状がある。病状には個人差があるよ」とできる限り読者の方に有益な情報になるように発信していました。

私の闘病記は19年3月のアップデートを受けるまでは、100~200PV/日程度のアクセスは集めていました。

ただ3月アプデ直撃で、今は1桁かな?もうアクセス数は見ていません。

YMYLはフィルターがえげつないです。19年3月の検索アルゴリズムのアップデートで病名等での表示は厳しいどころか、サイト全体でフィルターがかかったのか理由はわかりませんが、サイトそのものが検索にほとんど表示されなくなりました。

病名+ブログでもブログはほとんど表示されません。

人の命や人生にも関わるYMYL領域でマネタイズしていいのか

私の病気は、キュレーション事件前のはてなブログ全盛期時代に「薬に頼らずに治す」という内容であるブログが上位表示され、読者の方の支持を得た結果、書籍化されています。

19年3月のアプデでブログが軒並み検索から消えた中で、Amazonで販売されているこのブログの書籍は「病名+ブログ」で1~2位に表示されています。

確かに事実として、原因不明の病気で、一定の割合の人は薬を飲まなくても自然に症状が軽くなる人もいます。

また、治療が確立されてきたのがほんの数年前で、10年以上前までは通院しても痛み止めといった対処療法のみの治療になり、抜本的な治療法がないため「病院に行ったところでもどかしいだけ」でした。だから、病院に対する不信感がある方がいらしてもしょうがないとは思います。

ですが、現在では病気を完全に治す方法ではありませんが、症状にダイレクトに作用して症状を低減させる治療法が確立されています。特に発症後1年の病状の進行が速い病気のため、違和感を感じた時点ですぐに治療を開始することで、病気の進行を抑えることができるようになってきました。

実際に私も発見が早く、早い段階でしっかりと治療を行うことで、関節が破壊されきって寝たきりになる…といった最悪な事態には至っていません。

間違った知識で治療を行わずに、民間療法やサプリに頼った結果、病状が進行して、治らない状態になってしまったら…その人の人生はどうなってしまうのでしょうか。とりかえしがつきません。

自分の売り上げという利益のためだけに、人の健康や人生を狂わしてはならないと思います。

健康系の悩みは不安が大きいので、正直心が動かされます。

私自身も「リウマチに効くという5000円の入浴剤にすがってみたい」と思ってしまったことがあります。当時このリウマチ向けの入浴剤はASP案件だったため、入浴剤ソムリエや薬剤師、MR(薬の営業)の肩書を持つ人たちがこぞってLPをコピーしたような紹介記事を書いていました。

でも、どんなに検索しても、LP記事以外に実際にリウマチの人が使ってよかったという体験談がなく、何とも言えない気持ちになったことがあります。

「効くと言われています」「リウマチは○○するといいと言われています」根拠があるんだかないんだかわからない無責任な文章に少なからず心は疲弊していったのを覚えています。

普段の生活でもYMYLは繊細

病気までいかずとも、日常生活におけるYMYL分野の話題は、倫理的な側面からもマネタイズは難しいと感じています。

私は病気の時、痛みでほとんど体を動かせなくなって、家事ができなくなりました。マネタイズを考えるのであれば「病気で家事ができないのであれば、家事代行がおすすめ」と提案できるかもしれません。

でもその提案は本当に不安の解決になっているのかな?
「家事をしなきゃいけないのに体が痛くてつらい。こんなはずじゃ」「このままずっと動けないのかな…この先どうなるんだろう」不安は「家事ができないこと」だけじゃないような。

そんなときに「家事ができない?なら家事代行にすればすべて解決」は、間違ってはいないけど、納得するはちょっと難しいんじゃないかなって思います。

他にも、YMYLグレーの妊娠・子育てにも通じる話ですが、病気の時に薬の副作用で吐き気があって食欲も落ち、食べる量がガクッと減りました。やはり、マネタイズをするのであれば「食が細いのであればサプリがおすすめ」と提案できるかもしれません。

でも、やはりサプリも本当に不安の解決になるのかな?
「健康に重要な食生活が健全じゃなくて大丈夫かな」「体重が落ちてきたけどマズイかも」だったりするかもしれません。

「食が細くても個性」「そのときだけ」かもしれませんし、体重等に大きく影響するのであれば、サプリではなく病院すべき事案かもしれません。正解はなに?って思いますし、やはり読み手の方の健康や人生に大きく影響を与えてしまうかもしれません。

読者の方が不利益を被ったときに、文章を書いたあなたは責任を持てるのでしょうか。

情報発信者としての責任

YMYLって人の不安や弱みにつけこめる分野でもあると思います。だからこそ行動を促しやすいっていう側面もあります。

また、アフィリエイトで売上を上げると考えると、高額商材を扱った方がいいというのは理にかなっています。

結果として、YMYL分野のブログでマネタイズを考えると、サプリや医薬部外品を不安に絡めて紹介する…という方向になりやすいと思います。

自分の利益を優先するあまり、読者の弱みに付け込んで、その人自身の利益になるかわからないものを押し付けて嫌な気持ちにさせたり不利益を与えてしまうのは…どうなんだろう?

情報の発信者として「責任」を持つ必要があると思います。それは、企業でも個人でも同じです。

アフィリエイターやブロガーが嫌われたり不信感を持たれる原因になっている気がいますし、アフィリエイト業界の健全化を妨いでしまうような。

結局その結果が今のYMYL領域のアルゴリズムなのかなって思います。(アルゴリズムの精度の良し悪しは置いといて)

今、ぜんぜん病気系のクエリで個人の体験談、検索結果に出てこないからなぁ…

もう少し業界全体が健全化して、YMYL分野のアルゴリズムが個人の有益な情報もピックアップできるようになってほしいと思っています。

YMYL領域のマネタイズはおすすめしない

「自分自身の悩みが深かったからこそ記事に書きたい!」って思われるかもしれません。

実体験は他の人を救うこともあります。事実、私は救われました。

でも、YMYL分野でブログを運営するなら、マネタイズと切り離して考えた方がいいと私は思います。

「無償の愛」「見返りを一切求めない100%の善意」

多分、YMYLはそういう領域のブログ運営になるんじゃないかなって思います。

日本語検索エンジン内におけるYMYL情報の健全化、1ユーザーとして私は願っています。


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