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魅力ある文章は人の心を動かす

前書き
今回は、つい最近noteで知ったばかりの有名作家である岸田奈美さんの話。

人に対してドライな私が、特定の方について語るのは、本当にレアな事だと思う。尊敬を込めて、推し活の如く語ろうと思う。


知ったキッカケ

岸田奈美さんを知ったキッカケは、noteのみつけるタブで流れてきた記事を読んだからである。

私はいつもスマホのnoteアプリを立ち上げて、自分の執筆を始める前に、必ず、みつけるタブを開く。そして、「今日のあなたに」と「今日の注目記事」を指でサラサラ流して、興味が持った記事だけを読むようにしている。

その日、何気なく見た「今日の注目記事」で、奈美さんの記事が流れてきた。

記事を開いた第一の理由は、サムネのラーメンが美味しそうだったからである。私はラーメン大好きなので。第二の理由は、タイトルの魂をこめた料理と命を削る料理という言葉。魂をこめた料理は分かるけれど、命を削る料理って?と疑問に思った。第三の理由は桁違いのスキの数だった。気になる事だらけだったので、記事を読んでみた。

読んでみて、衝撃を受けた。
こんなに上手なエッセイを書く人がいるんだ!と。
気が付いたら目が潤んでいた。

この記事は車椅子のお母様とラーメン屋に行った話。いや、もう私如きがあらすじを語るなんておこがましいので、とにかく読んでみて!

共通点

奈美さんは、私よりもかなり年下である。彼女の母親であるひろ実さんの方がずっと年が近い。もし、私が19の時に初めて出来た彼氏のプロポーズを受けて結婚した世界線なら、今頃、奈美さんくらいの娘がいたかもしれない。

記事を読むにつれ、私は奈美さんに親近感を感じた。もちろん、「30 UNDER 30 JAPAN」に選ばれるくらい才能溢れる彼女と、現ニートの無能な私は雲泥差があるのだが、日常的にやらかして、まるで漫画のような出来事を引き寄せる点が、とても良く似ているのだ。

あと似ているといえば、家族構成だろうか。私の父も既に亡くなっており、母がいて、弟が1人いる。

しかし、似ているのは「構成」だけで、「境遇」は全然違う。私の母は脳出血で倒れたが、記憶力に不安がある程度で身体に麻痺も残らなかった。弟は家中に狂気じみた量の漫画本を積み上げていく真性オタクだが、駅ナカコンビニで働く社会人だ。私はというと、2回も会社を切られて、自信を無くしてニート中……。家族境遇を書いたら、自分の不甲斐ない現状を思い出して泣けてきたので、この辺に。

ワードセンスの洪水

奈美さんの文章はとにかく明るい。大変な境遇である彼女は、辛い事も多いと察する事が出来る。だが、辛さを楽しさに変換して、文章にするのがとてもお上手。

あと、彼女の語彙力は果てしない。語彙力だけではなく、連想力と例え話を面白く作る力が非常に優れていると思う。

ここでは無料で読める部分からだけ引用したが、有料分には更に沢山の面白い表現がある。

すごいの、もう。身体が叫んでる。1mgだってお前を失うことに耐えられないって、肉をガッツリ掴んで離さない。後ろから脂肪を、あすなろ抱きしてる。

カレーハウスで小顔にさせて

これ、わたしが呼んだタクシーを、横取りされたんか。

「もしかして、岸田さまでは……ない……?」

バッカヤロー!そいつがルパンだ!
追え追え!

地獄の果てまでルパンルパーンしてインターポール沙汰にしてやろうかと思ったが、都会に甘えきった鈍足じゃ追えない。諦めるしかない。歯を食いしばった。

ハーメルンの笛吹女、京都に現る

脂肪をあすなろ抱きとか、地獄の果てまでルパンルパーンしてインターポール沙汰とか、こんなのセンスの化け物でしょう。普通出てこない。こういうのをワードセンスの洪水というのだろうか?  あまりのセンスの良さに涙が出てきた。凄い物を見てしまった感動の涙と、自分では絶対に思い付かないから、もの書きとしての敗北の悔し涙が入り交じっていた。

魅力ある人柄

奈美さんは、非常に大変な家庭環境である。彼女はその事に関して、綺麗事を書いていない。時折「自分は大変だ」と正直な気持ちを吐露している。

日本ではとかく、大変な事や不幸な事に対して泣き言1つ言わないのが美徳と捉えられる事が多い。世の中を見回せばもっと大変だったり、不幸な人もいるんだからと。

しかし、誰が1番不幸かなんて明確なランキングは存在しないんだから、みんな辛さを黙って抱え込んでしまう事になる。

それなら、泣き言を言って楽になった方がいいに決まっていると、私は常々考えている。もちろん泣き言を吐いたって、解決しない事は多々あるだろうけれど、我慢して病むよりはよっぽどマシだ。

話がズレたが、奈美さんは辛い気持ちを吐露しながら、ウッカリなミスをやらかしながら、それらをまとめて武器にして、明るく強く生きている。そんな彼女の人柄を反映させた文章に、多くの読み手が魅了されている。

魅力ある文章は人の心を動かす

私は今まで文章を書いてきて、「面白かった」と言われた事はあるが、「感動した」と言われた事はない。当然だ、感動するエピソードなんて書いた事がないんだから。

私は文章を書くにあたって、人に楽しいと笑ってもらえばそれでいいと思っていた。楽しんでもらえば、別に感動なんてしてもらわなくてもと。

しかし、奈美さんの文章を読んで、こんなに人を笑わせて、泣かせる文章があるなんてと心をうたれた。

人の心を動かす文章を書くのは、非常に難しい。それをやってのける奈美さんの溢れる才能と努力を、1人の物書きの端くれとして尊敬する。

たった1つの記事で感動した私は、奈美さんのnoteとXを即座にフォローした。私は滅多に自分からはnoteもXもフォローしない。心が動いたから行動に思わず移してしまった。

奈美さんの記事を読むと、彼女に魅了された人が様々な手助けをしてくれる様子が書かれている。人は魅力ある存在に惹き付けられ、心を動かされる。そして、心の底から応援したいと行動に移す。その魅力が伝わる発端が、彼女の書く「文章」の力というのが、非常に興味深い。

最後に

私は奈美さんのように人の心を動かす文章が書けるようになるのだろうか? 

奈美さんの記事で、文章を書くにあたって、日常の面白い事をメモしたり、様々な努力をしている事が書かれていた。

人の心を動かす文章を書くには、才能だけではなく、努力も必要なのだ。私は奈美さんの足元にも及ばない拙い文章だが、少しでも人を楽しませて、なおかつ心を動かすような文章が書けるようになるまで、少しづつ努力してみようと思った。

余談だが、「岸田」と聞くと、現首相ではなく奈美さんを思い出すようになった。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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