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世のため人のため出来ること

今回は、献血に行ってきた話。

若い頃から、献血はかなり行っていたけれど、ある時、高血圧症になってからはしばらく行けなかった(酷い時は上180とかあったので) しかし、有難い事にここ1、2年は降圧剤を変えたお陰で、大分血圧も下がったので、再び献血に行くようになった。

朝、赤十字から「今日から400採れるよ!」って内容のメールが来た。涼しそうだし行くかと。

余談になるが、原付で献血ルームに行く道中、ローソンの新作プレミアムロールケーキを買いたいと思って、店舗を見掛ける度に寄っていた。しかし、何と5軒も回ったのに全部売り切れ。

これは……手に入れるまで、帰れま10か!

美味しい物の事になると、途端にグルメスイッチが入ってしまう。スマホのGoogleMAPを開いてローソンというキーワードを入れそうになって、我に返った。いやいや、違う違う。今は献血ルームに行くんだよ。入ったスイッチをオフにして、再び献血ルームへと原付を走らせた。


ここで、脱線して献血の思い出を。

私が初めて献血をしたのは、高校生の時である。ある日、高校に献血バスが来た。先生が『社会貢献がなんたら』という話をしていて、まだ学生だったのでピンと来なかったが、誰かの役に立つのならとやってみる事にした。

それまでの人生は、学校で予防接種くらいしか注射針を刺す機会がなかった。たまたま点滴経験もなかった。それが針を刺して、しばらく動かずにいるだけで、お礼のサランラップとタオルがもらえた。血を結構沢山抜かれるというのも新鮮だった。

高校の時は、献血ルームも今ほどなかったので、それきりだったが、社会人になってちょくちょく献血するようになった。

そんなある時、まだ始まったばかりのインターネットで、献血ランキングを載せているサイトがあった。覗いてみたら、凄い献血回数の人がいると衝撃が走った。調べてみたら、何と現存していた。24周年らしい(サイト内はリニューアル中)利用規約が確認出来なかったので、直リンクを貼るのはやめておく。

そして、サイトの常連有志で、オフ飲み会や愛知の血液センターの見学会まで開かれた。私も血液センターは興味があったので、見学会に参加してみた。見学案内を担当してくれたスタッフの方が挨拶した時、『なんなの、この集団は』という一瞬戸惑った目をしたのは忘れない。特定のオタクがネットを通じて集まるというのも一般的ではなかった(SNSもない)気恥ずかしいような、申し訳ない気分になった。しかし、スタッフの方はそんな戸惑いも押し隠し、とても丁寧に各所案内して下さった。私達も説明に対して、非常に熱心に耳を傾けていたので、最後の方はスタッフの方も嬉しそうだった。

有志の中には、何と特定の採血装置(アミカス)を推している女子がいた(当時は推しという言葉はなかったが)今も昔も世の中には、様々なジャンルでオタクがいるものだ。もう24年前の出来事だと思うと懐かしい。


話は戻って、無事献血ルームに到着。

けんけつちゃん

マスコットキャラのけんけつちゃんがお出迎え。
いや、別に良いんだけれど、もうちょっとだけ捻った可愛い名前はなかったのか……。と思ったら、けんけつちゃんというのは、愛の妖精「けんけつちゃん」というしゅるいで、この子自身の名前はチッチというらしい。

好きな言葉『ちょっとチクッとしますよ』
大抵の日本人は、嫌いな言葉だとは思う。

早速、受付をしたのだが、最初に特に確認しておきたい注意事項を勢い良く聞かれて、受付の男性スタッフが『体重量るので、足元の体重計に乗って下さいね』と言った。思わず、うぇええええええええ!!??と声に出そうになった。

普段行っている献血ルームは、体重は自己申告で、しかも周りに聞こえないように本人がキーボードにこっそり入力する配慮っぷり。まさか、その場で直に量らされるなんて……。

ちなみに私の体重は、トップシークレットである。友人、彼氏(いれば)はもちろんの事、家族にすら絶対に言わない。だが、こんな公の場で『体重量りたくない』と言う訳にもいかない、大人なんで。渋々、体重計に乗って、あとで測定値を見たら、失業前から半年で3キロ増えていた。長年付き合ってきた身体だから、体重計になんか乗らなくても増えたのは感じる。だから、今量るのは嫌だったんだよ……。

ショックを押し隠したまま、問診をこなした。血管が細いので、少しでも血管を広げる為に湯たんぽのような物を肘に挟んだまま、温かいココアを飲んだ。

採血本番になり、針を刺したが全然痛くなかった。私の血管は細いので、あまり上手くない方に当たると、中でグリグリ探られて痛いのである。今回はどうやら上手な方に当たったようだ。ありがたい。

400もあっという間に採り終わり、針を抜く時も痛くなかった。私はリアルではお喋りオバサンなので、思わず「刺す時も抜く時も痛くなかったです。お上手ですねー!」と担当の女性スタッフに言ったら、「いえいえ、それなら良かったです」と、クールに答えてくれた。

無事に全て終わり、今回で20ポイント貯まったので、可愛いポーチもらった。

20Pお礼のポーチ

ここで終わらせようと思ったが、どうしても書いておきたい事があった。
重い話なので躊躇したが、献血にも無関係な事ではないので、記しておく。


私の父は、今から14年前に亡くなった。

亡くなる前日、私は担当の看護師に呼び出された。本来その話を聞くべき母は、昔、脳出血で倒れた影響で、別人のように気弱になった。難しい話も理解出来なくなってしまったので、私が母の代わりに全て対応していたのだ。

看護師は言いづらそうに、父に輸血治療をしていたが、現状だとそのまま下血をしてしまうので、輸血治療をやめてもいいか?と。つまり、血を入れても下血してしまうので、このままでは血が無駄になってしまうと言いたかったんだと思う。

私は、その場で直ぐには何も言えずに凍り付いた。

もちろん、献血をしている身なので、治療の為の血液が大事なのは分かっている。でも、私は輸血をそのまま続けて下さいと言ってしまった。

私の意向通り、そのまま輸血治療が続けられた。しかし、治療の甲斐なく、父は翌日の深夜に亡くなった。きっと、輸血治療をしようがしまいが、結果は同じ事だったんだろう。だったら、看護師の言う通り、輸血をやめていれば良かったに違いない。

どうして、あの時、私は続けてくれと言ってしまったのだろう。いや、答えは分かっている。例え、無駄な治療だと言われても、そこでやめてもいいと言ってしまうと、父を見捨てるような気がして、どうしても言えなかったんだと思う。

14年経った今でも罪悪感として心に深く残っている。多分、一生背負っていくんだろう。

私が献血を続けているのは、その事が心に引っかかっているせいもある。私の判断のせいで無駄になってしまった血を、代わりに私から採ってもらうという訳ではないが、少しでも誰かの役に立てればと思っている。


おまけ
ローソンのプレミアムロールケーキは、帰り道で無事に買えた。

ローソン プレミアムロールケーキ

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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