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【ドラマ感想】不適切にもほどがある (6)

*「不適切にもほどがある」9話の感想です。ネタバレを多分に含んでいるので、閲覧ご注意下さい。サムネは公式様より。

令和に来たムッチ先輩を昭和に追い返して終わった8話。

9話は、渚のアウティング、マタハラ、パワハラ疑惑で追い詰められている辛い回だった。

令和という時代は個人で受け取れる情報が多すぎて、それを自分に照らし合わせて嫌な思いをする事が多い。決して自分が言われている事ではないのに、そう感じてしまう。そんなのは思い込みでしかないのに、勝手に傷付いてしまう。

私個人の話だが、結婚や家族など幸せな情報を見ると確かに嫌な気分になるが、それを発信している人に悪気は無い訳だし、そもそも自分には関係ないのでそれに対して何ハラだとは思わない。嫌な思いをする情報は自分で遮断すればいい。

誰かの幸せ、誰かの不幸は関係がある人同士で共有すればいいし、気分が悪くなってもその責任を情報の発信者に矛先を向けるのは違うとは思う。もちろん、面と向かって明確な悪意あるパワハラなどをすれば、話は別だが。

昭和は確かにデリカシーがない発言が規制されずに蔓延って嫌な思いをする事はあった。しかし、SNSはないのであくまでも対面の話だった。それが問題視されて改善の動きが見えてるのは良い事だと思うが、極端にみんな過敏になっている。情報が過多な癖に、個々の繋がりは薄いので個人の思い込みで判断し過ぎだと思う。

相手がどんな状況で、どんな事を思いながら発言や行動をしているかを冷静に考える力があれば、それが何ハラに該当するかそれとも違うかなんて分かる事なのに、みんな自分を守る事だけに必死でそれが逆に相手を傷付けて悪循環になっていると思う。

令和に必要なのは、情報を冷静に精査して見れる目と、他人に対する思いやりという名の寛容さだと思った。みんなが傷つかない為に出来たコンプライアンスが上手く機能していないのは皮肉な事だ。

ムッチ先輩が純子に、そして秋津君がマッチングアプリの彼女に親子でフラれていたのが笑いポイントだった(いや、笑えないか)

いつまでも夢を追いかけてカッコつけてるムッチ先輩が、令和で色々学んで成長した純子にとっては子供っぽく感じられるようになったのだろうか。最後の「(結婚出来ないけど、貴方は貴方で)頑張って下さい」っていうのが遠回しに一線を引いて振っていて、商店街で純子の名前を呼びながら泣き叫ぶムッチ先輩が純粋過ぎて可哀想だった。純子が心配で追ってタイムマシーンで令和にまで行ったのに。この後、どんな女性と出逢って秋津君が生まれたかは、最終回でも回収されないとは思う。

その息子の秋津君はマッチングアプリで振られたのだが、マッチングアプリは数打って当てる婚活方法なので、些細な違和感でこの人は違うって簡単に切れるんだと思う。ダメだったら次の人が簡単に見つかるから。それこそ秋津君自身がいう「コスパにタイパ」であり、ある意味、マッチングアプリは超時短お見合いな訳だし。

私もマッチングアプリではないが似たようなアプリで何人かの男性と知り合ったが、結局付き合っても短期間で別れたり上手くいかなかった。もちろん、そういうアプリで結婚までこぎつけられる人もいる。根気良く数打って「運命の人」に出逢える人もいれば、私みたいに違和感を感じてダメな人もいる。

今回のケースは、LINEのやり取り一つだけで幻滅して切ってしまうのはもったいないとは思った。それこそ、何でこんな返しをするの?って聞いてみればいいのにと。それで本当に納得いかなければ切ればいいし、聞いてみる事で誤解が判明するかもしれない(淡白な返しをしたのは、「そういう人」という訳ではなく、その時忙しかっただけとか理由かもしれないし) 

でも、彼女が別れ際に「1日婚を目指してる」って言っていたから、きっと何もかもがドンズバな人を探しているのだとは思う (そんな人は滅多にいないとは思うが) 秋津君が豪語した属性にこだわった婚活アプリだから、皮肉な事にそういう効率的な恋愛をしたい人がアプリ内にいるのは必然で理にかなっているので、脚本が良く出来ている。

八嶋さんは渚の休職の挨拶をさらっとしていて冷たいなと思ったが、売れれば残り、落ちれば呆気なく去るという芸能界という特殊な業界では普通の事なんだろう。その癖、ふるさと納税で渚の家にカニを大量に送るという太っ腹な気遣いに笑ってしまった。彼なりの傷心な渚への心遣いなのかもしれない。

今回のミュージカルパートは、ゆずるだった。散々踊って途中で自分で救急車を呼んでいた。倒れて死ぬかもしれないのを想定しても、娘の為に必死に擁護するゆずるの姿に泣けた(場面はコミカルでめちゃくちゃだったけれど)

あと、地味に市郎が初めて「ゆずる君」と呼んでいたのが驚いた(今までアンタとかだったし) 秋津君の家から出る事になってゆずると渚の家に厄介になるのに、「親子水入らずのところ悪いな」って気遣っていた。令和で交流した事で本当にゆずるの事を大事な純子の旦那と認めて、君付けする事で義理の父として接するようになったんだなと。呼び捨てではなく、さんでもなく、君付けというのが義理の息子と父という関係を上手く表していて芸が細かい(令和では恐らくゆずるの方が年上なのに)

これって、もし市郎が昭和に戻って例の大荒れの結婚挨拶の場面が変わってしまうのだろうか?と。純子もすっかり真面目になって青学に行ったら、モデルになって散々女と遊び歩くような黒服と付き合ってデキ婚するのだろうか?と。でも、ゆずるはディスコの黒服というイメージと違って、ちゃんと結婚後に真面目になれる人だから心根は元々真面目な人なんだろう。

それにしても、「地獄のおがわ」と呼ばれていた市郎が回を追うごとに令和に感化されて丸くなってるのが分かる。昭和に帰るのは、孫である渚の仕事復帰とお世話になった秋津君が結婚してからっていうのも、お節介だが元々の市郎の人情味溢れる人柄なんだろう。昭和の頃は義理人情で人が動いていて、それも人と距離を保つ令和との対比なんだろう。

スマホで昭和と令和が通話出来るファンタジーなドラマで細かい整合性を求めても仕方ない。泣いても笑ってもあとラスト1話。きっと、運命が変わったか変わらないか視聴者に委ねられるフワッとしたラストになると思う。それこそ1話の最初の場面でバスで寝ていた市郎の夢だったっていうオチもありえるかも。登場人物達が大好きなので、少しでも救いのある後味の良いラストになるといいなと思っている。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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