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オススメ小説ー海外文学編

今回は,オススメの小説について書いてみようと思う。
子どもの頃から,本は家にたくさんあり,子どものときには毎週末図書館に連れて行ってもらえるという環境で,私は,育った。文化資本に関しては恵まれた家庭であったと思う。
そうすると,読んできた本の数に比例して,オススメしたい本も増えてくる。そこで,海外文学編と日本文学編に分けて書こうかと思う。
比較的古い小説が多いかもしれない。
今回は海外文学編。

① ドストエフスキー『罪と罰』

ロシアの文豪ドストエフスキーの長編小説。
主人公ラスコーリニコフは,自分のことを選ばれた人と思い,高利貸しの老婆を殺害するが……。
人の罪の意識の心理描写が秀逸。
近年の「ミステリー」にカテゴライズされる作品の多くは,トリック重視の軽快感のあるものが多いように思う。しかし,この作品に関しては,描写を通じた重厚感を味わうことができる。秋の夜長にいかが?

② ヴィクトル=ユゴー『レ・ミゼラブル』

フランスの文豪ユゴーの長編小説。
ミュージカルや映画で見たことがある人も多いのではないだろうか。個人的には,ぜひ小説の方も長いけれども読んでほしい作品である。
『レ・ミゼラブル』,つまり,惨めな人々が描かれている。
妹のためにパンを1個盗んだ罪で牢獄に19年間服役した主人公ジャンバルジャン。牢獄を出た後も,「犯罪者」の烙印からどこに行っても追い出される。
牢獄で育ち看守となり規律を重んじるジャベール。
工場を解雇され身売りをすることとなってしまったファンティーヌ。
その娘コゼット。
コゼットに思いを寄せる革命家マリユス。
そんな人びとが六月暴動に向かっていくが…。
法学や社会学を学んだ後に読めば,より深く読める作品。

③サン=テグジュペリ『星の王子さま』

「ほんとうに大切なものは目に見えない」
重厚な作品を紹介した後には,心に灯りをともす,この作品はいかが?
大人になったあなた,忘れかけていた子どもの頃の気持ちを思い出さない?

④フェルディナント=フォン=シーラッハ『犯罪』

現代の海外文学のオススメも。
短編小説集なので,気軽に読みやすい。
『犯罪』というタイトル通り,どれも刑事事件に関する短編。
どこか切なさを感じる作品集である。

⑤ミシェル=ウエルベック『服従』

2022年フランスにイスラーム政権誕生!?
混乱の中の個々人はどう動くのか。
現代社会を表した小説。

⑥ジョリス=カルル=ユイスマンス『さかしま』

読もうと思ったきっかけは,『服従』の主人公がユイスマンスの研究者という設定で,ユイスマンスの代表作でも読んでみようかなと思ったから。
要約は困難。
これぞ「デカダンス」(頽廃)文学。

⑦ダニエル=キイス『アルジャーノンに花束を』

知的障害を持つチャーリーはIQを向上させる手術の被験者となる。その実験の動物として使われていたのは,ハツカネズミのアルジャーノン。
しかし,チャーリーの知能は向上したようにみえたものの…?
SF小説に分類されるが,「人の幸せって何だろう」と考えさせられる作品でもある。

⑧ジェームズ=クラベル『23分間の奇跡』

子どもを洗脳するのには23分あれば足りる。
オーウェルの『動物農場』やフランク・パブロフの『茶色の朝』にも通じるような,「何かおかしいと感じつつも人に流され従っていく人間」の様子を著した傑作である。

⑨カミュ『異邦人』

「きょう,ママンが死んだ。」「太陽が眩しかったから。」
不条理文学としてカテゴライズされるカミュの代表作。
同じカミュの『ペスト』は,コロナ禍でよく売れたようだ。しかし,ペストという天災違うのは,不条理は「人間」にあることがこちらの作品の方がより顕著であることだろう。
不条理の世界に一歩足を踏み入れてみてはいかが?

⑩スタンダール『赤と黒』

最後のシーンが衝撃的。
貧しいものの才気と美しさを兼ね備えた主人公ジュリアン。彼は,レナール家の家庭教師として雇われることになるが…。
ドロドロの人間関係の描写が秀逸。

おわりに

いかがだっただろうか。今回は,前回までと趣向を変えて,オススメ海外文学の紹介を書いた。また,日本文学紹介についても機会があれば書こうと思う。
法学を専門に学ぶ人以外のための法学シリーズについても,引き続き執筆予定である。

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