グループ展 in 🇦🇺
海外グループ展の備忘録です。
一年前、オーストラリアのマネジメント会社から突然メールが届いた。インスタやホームページの作品を見て声をかけた、ブリスベンのギャラリーでグループ展をしないか?と。私は迷うことなく参加希望の返事をした。
しかし、どんな絵を出すか半年以上も悩んだ。当時はプロクリエイトというソフトでイラストを描いていたけど、毎日SNSに流れてくる大量のデジタルアートを見ているうちに、自信を失いつつあった。だってみんな上手なんだもん。結論が出ないまま同じ考えが頭の中をぐるぐると巡っていた。
方向性がなんとなく決まったのは、10月の個展だった。一緒に美大受験をした友達が遊びに来てくれて
「高校のときから澪ちゃんの色鉛筆画好きだった」
と言ってくれた。彼女の励ましの一言で、また旅行の絵を色鉛筆で描きたいという気持ちになった。
テーマに選んだのは宮古島で泊まったヴィラ。直近の旅行で、景色を鮮明に思い出せたから。2泊3日の短い旅行だったけど、あの非日常感が大好きだった。
下書きができると勝手に手が動いて、3日もかからずにサラッと仕上がってしまった。あんなに画材やテーマ選びで迷ってたのにね。
2月。プロフィールや作品情報をメールで送り、作品をEMSでオーストラリアに郵送して終わり...のはずだった。パリから戻ってきて旅行ロスになった私は、帰国した翌日にブリスベン行きの航空券を取ってしまった。
それから急いで宿を探したり、ビザを申請したり、旅行保険に入り直したり、バックパックを新調したり。初めての一人海外でもあったので、念入りに準備した。
旅にハプニングはつきものというけれど、何事もなく計画通りな一週間だった。(強いていうなら、飛行機が15分遅れたのとダニに刺されたのとホテルに瓶の栓抜きがなかったことくらい)
幅広いジャンルや画材の作品に触れ、多種多様なバックグラウンドの作家さんからたくさん刺激をもらった。日本だと学歴や今までの展示経験を見られがちだけど、海外だとアーティストの生い立ちや作品に込めた思いに注目される。SNS上で画像を眺めるだけでは気づけないことも多いので、作家さんご本人から直接お話をうかがい、また自分の制作意図も伝えることができ、とても勉強になった。
創作の悩みについてキュレーターさんにご助言もいただけた。このままデジタルを続けるか、アナログに移行するかは一長一短であると。仕事としてイラストを描くなら前者、アートとして販売するなら後者が適している。最終的には私自身が決断を下さないといけないけれど、デジタルへの風当たりは今後強くなるし、アナログのほうが絵に説得力があるからおすすめだと仰っていた。
これからは旅行をしながら絵を描きたい。旅先でスケッチをするのではなく、世界を飛び回って展示を開きたいという意味で。
今まではSNSがあるから自分が移動しなくても絵を見てもらえると思っていた。でも、私が絵を届けたい層はそこじゃないのかも。わざわざ展示に足を運んでくれて、原画を見てくれるようなオフラインでの出会いを大切にしてくれる人。そんなお客さんのハートを鷲掴みにする作品を作りたい。ここに載せているスキャンした絵は、描写が潰れてどうしてもフラットになってしまう。だから、もっと積極的に原画をお見せできる機会を作りたい...!
今回、フワッと軽やかに渡豪できたのは青山美智子さんの「木曜日にはココアを」を読んだから。出会ったのは偶然にも展示のお誘いをいただいた直後だった。
リレー形式のストーリーになっていて、短編集のような構成。どれもほっこりする内容だけど、特に惹かれたのは緑色しか使わない絵描きの話。彼女は孤独だったけれど、個性を大切にして絵を描き続けた結果、だんだんと周りから応援されるようになる。舞台がオーストラリアなので、勝手に運命を感じた。私もあの緑であふれた暖かい国に行ったら何か変われるんじゃないかと。
本をバックパックに詰めて、お守りのように持ち歩いた。ハプニングが起きなかったのはこの本のおかげだったのかもしれない。そして、ギャラリーに伺ったのは奇しくも3月14日、木曜日だった。もう絶対に運命でしょ。今度、青山さんにはファンレターを書くつもり。
※本が気になる方はぜひ私の推し本屋のいろどり書房さんに問い合わせてみてくださいね…!↓
航空券を取った後、仲の良い友人にだけ現地に行くことを伝えた。自分のことのように喜んでくれて送り出してくれた。彼らに良い報告ができそうで嬉しい。見守ってくれてありがとう。
2024年、まだ始まったばかりだけど、すでに濃厚な日々を過ごせて幸せ。これからどんな出会いが待っているのか楽しみだな〜!
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