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北風と太陽、どっちで行く!? 私の原稿朱入れマインド

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こんにちは。
新卒22歳から山あり谷あり、編集/添削業に携わって、早18年。
編集者の若橋未央と申します。

★前回、わたしの編集新人時代を振り返った記事はコチラ

編集って、良くも悪くも、1人では成り立たないお仕事です。
原稿を執筆するライターさん、
挿絵を描くイラストレーターさん、
ページデザインのデザイナーさん…
e.t.c….

自分がどのようなスタンスで、
各関係者とコミュニケーションを取り、そして編集の仕事に向き合うのか、編集者によって、めちゃくちゃバラけてきます。

私はどうなのか…?

今回は、編集者5年目、編集部の中堅どころだった時期を
振り返ったエピソードでご紹介します。

本記事は、大手Webメディア編集長を務めるまむしさんと、わたし若橋未央が、過去にX(旧Twitter)スペースで対談した内容です。その後、まむしさんが、ニュースレター「みんなの編集会議」2024.3.25版でまとめてくださったものを、転載しております。

「成長の踊り場」に差し掛かった編集者の向かう先

ま)前回までは編集者3年目くらいになると読者の反応や仕事のフローも分かり始めてライターさんへのフィードバックも自信を持ってできるようになるよね、というお話でした。

一方、3年目って仕事に慣れる時期というか、「成長の踊り場」にもなりえるような気がするんですよね。
みおさんはそういうこと、なかったですか?

み)ありましたね。

私の場合は5年目、教材編集の部門から広告宣伝物をつくる部署への異動を希望しました。

広告宣伝物と言っても、外部クライアント向けのものではなく、自社製品を売るためのもので、個々人の裁量権がかなり大きい部署だったので、楽しかったです。
教材を売るにしても、ちょっと旬を取り入れてみるとか、読者がチラッと広告を見たときの見え方を想像してクリエイティブを考えたりとか――。

ま)企画出しって、最初からスムーズにできましたか?

み)そうですね。そんなに大きな苦労はなかったような気はします。

もともと教材の制作現場にいた分、「この手の教材は売れやすい」「今ならこのテーマ」とか、過去の成功事例をを知っているので、やりやすかったんだろうなと思います。

もちろん異動してから、周囲の先輩に学んだことも多かったですけどね。

「新しい企画を出し続ける」上で忘れてはならない視点

ま)なるほどなるほど。企画を出すときに、心がけたことってありますか?

み)「自分が何か好きな要素を一つは入れたい」とは思っていました。先輩や編集長の指示に従うだけだと、熱がこもらないんですよね。

もちろんおおむねの方針には従うんですけど、一制作物に1点、自分が好きで推せる要素を入れるようにしていました。
好きなものの実現なら情報収集や準備も気乗りしますし。

ま)大事ですね。

み)そうそう。今回の制作物には、中学生の生徒に人気のあるタレントのインタビューを絶対載せたい、とか、自分なりの目標を掲げて。
タレントとコネクションがある部署に突撃したりとか。

ま)新規企画を出し続ける意味でも、内的なモチベーションは重要ですよね。「過去にこれが当たったからこれを」みたいな企画だけだと、手堅くてもやがて行き詰まる。
一部だけでも、好きなことを仕事に組み込むような形で、ちょっとずつでも新規性のあることをやっていく感じ。

み)まむしさんの場合、企画出しで意識していることはありましたか?

ま)人と話すことですかね。記者3年目までは、「事件が起きたらいち早く書く」という形で仕事をしていたので、あまり企画的なことを求められなかったんですよね。
それが、3年目以降は企画出しを求められ始めて、割と戸惑いました。

「アイデアが思い浮かばない」というのもあるのですが、なまじそこまでに一通り仕事をしてきただけあって、「こんな企画を考えたけれど、あの段階まで進めたら、誰それに難色を示されるだろうから、まあ、行き詰まるだろうな」みたいに、ボトルネックが想像できてしまって、アクションが尻すぼんでしまうところもありました。

そういう時は、人と話して新しい視点をもらったり、「これは確かに伝えるべきだ!」というモチベーションに火をつけていましたね。
こうやって話してみると、何に刺激を感じるかというのは人それぞれで面白いですね。

み)まむしさんて人たらしというか、すごく親しみやすいですよね。
私、人と話すとか、交流会に参加して人脈をつくるとかは本当に苦手で。
たぶんそういうことはできない。

企画を膨らませるにも、まむしさんのように人と会うのが向いている人もいるでしょうし、私みたいに、なんらかの「偏愛ポイント」を仕込んでおいて自分にスイッチを入れたり。色々あるんでしょうね。

あとはなんだろう。
流行要素を盛り込んでみるとか、誰か重鎮との人脈をつくりながら物事を進めるとか、古典に立ち戻って考えてみるとか―――そんな感じで自分なりに「ハマる企画を創出し続けるための勝ちパターン」みたいなものを掴めると、突破口になる気がします。

自分がピンとくる方法じゃないと長続きしないというか、何回かは成功するかもしれないけれど、「成功を打ち続ける」には、難しいやり方なんだろうなって思います。

ま)そのやり方にたどり着くまでには、何が必要なんでしょうね。

み)いろいろ試してみるのはもちろんですし、私は自己理解ワークとか、自己診断とかやったこともあります。
その結果、不特定多数の飲み会で情報を得る、みたいなことは自分には合わないなと思いました。笑

編集の世界での「北風と太陽」

ま)「自己理解が大事」というのはしっくりきます。

そのうえで、いろんなモチベーションで企画を出せる人がチームに集合していると強いんだろうなとは思うんですよね。
「この人はとにかくテーマに情熱がある」「この人は人脈をつくるのが得意」「この人はとにかく素早く最新のトピックを押さえる」みたいな。

こういう、多様なモチベーションをうまく活かせるかどうかが、編集長の腕の見せ所なのかなとも。

み)逆に細かくがちがちに管理したがる編集長だと、編集部員のモチベーションをつぶしてしまうことってありますよね。
これは、あるあるだと思う。

ま)めっちゃあるある。一応僕も管理職をしているんですが、北風型編集長と太陽型編集長がいると思うんですよね。
要するに減点形式か加点形式かという話だと思うのですが、ここでパキっと分かれる印象があって。そこはチーム運営上も大事だと思うんですよね。

み)わかる。

ま)その媒体のやり方が読者にも強く指示されていて「既定路線でOK」という状態であれば、守りに入っていても良いのだと思うのですが、今そういう媒体って多くないですよね。
どちらかというとみんながちょっとずつ冒険をしていく要素が必要で。

そういう意味で、「自分が北風っぽくなっていないか」はすごく気を遣っています。この一言でやる気を変にそがないかな、あんぱいに逃れちゃわないかな、みたいな。

でも僕は、そういう心配が行き過ぎてぬるま湯みたいにしちゃいがちだったりもするんですけどーー難しい。
もっとビジョンを明確に示してガバナンスを効かせろとも言われやすいんですけどね。やっぱり、難しい。

み)分かりやすく「ダメなものはダメ」と示さないとわからない人だっていますからね。

ま)ちなみにこの話って管理職だけではなくって、編集者がライターと向き合うときにもポイントだと思うんですよね。

み)分かります。私うっかりすると、北風型になっちゃうんですよ。

ライターさんの原稿も割と細かく気になってしまって―――媒体的なストライクゾーンが40-60点のラインで良いところ、70点を目指してゴリゴリ直しちゃうところがあって。

ま)結構レベル高いっすね。

み)フィードバック、一晩寝かせてから伝えたりしますもん。
どっちでもいいからやっぱり今回はこの指摘は消そうとか。
修正をしてもらうなら、その分、コミュニケーションをとるときに必ず、良いところを先に伝えるようにして。
そのうえで「ココを改善して伸ばしてほしい」と伝えたりする。

ま)めっちゃくちゃ気遣ってるじゃないですか。

み)おおもとが教材の編集なので、めちゃくちゃ細かいんですよ。
教材編集だと、赤字と青字と緑字と、鉛筆書きくらいまでありますからね。

ま)こ、こまか。ちょっとそれますけど、その指摘はどういう基準で分けられているんですか。

み)まむしさんのnoteにもありましたけど、「事実誤認」、あり得ないというレベルのものは赤。
「こちらの表現の方がより誤解がないかも」みたいなレベルは青。
「今回は直接関係ないけれど、この知識、分かっていますか?」ということは緑。
「私は個人的にこう思いました、参考まで」みたいなメモは鉛筆で・・・みたいな感じですね。

私は編集からキャリアをスタートしたところがあって、ライティングスキルを集中的に学んだわけではないんですよね。
ライティングを仕事にするほどの速さ・質ではないだろうなという自覚があって。
書いてくださる方があってこそ、私の仕事があるわけで、自分は何もできないというか。指揮者が演奏者がいない状態で棒を振っていても音はならないと申しますか。
制作いただいたものにはリスペクトを持って仕事するようにしています。

ま)編集者とライターの関係が上下関係的になってしまうことってあると思うのですが、みおさんみたいな視点の編集担当だと、仕事もしやすそうな感じはします。

み)ライターさんの強みを引き出せるかどうかが編集の力量だと思っているところもあります。
でも、あまりやりすぎると非効率的だと言われることもありますよ。時間がかかりすぎだって。

今私は副業として編集業務をしているので、本業があるからこそ悠長で非効率なことをできるところがある。
この副業を本業にして生計を成り立たせるのは、なかなか難しいなと思っています。ベースの収入を本業で稼ぎつつ、プラスアルファの副業では自分が納得できる仕事に関われたらうれしいなっていう気持ちです。


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★この記事を書いた人★
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 ・みお(若橋未央)
 ・「将来貸す」前提の一戸建を宮崎に建て家族で移住
 ・編集/添削歴18年
 ・noteは月に1〜数本
 ・最近は自邸紹介のインスタに力いれてます♪週2程度更新

▼若橋家の家づくりとお金について振り返ったKindle本、amazonで好評発売中です。



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