3つのギャップを武器に、将来稼げる家を建てる。
こんにちは! 若橋未央です。
私達家族は2022年12月、夫の故郷・宮崎に注文住宅を建てて、移住を完了しております。
夫婦とも、リモートワークで東京の仕事を継続中です。
さて、私たちが家を建てるにあたり前提条件としたのは、「15年後に手放せる」、つまり売却または貸家にすること。
計画・建設当時は、「子育て期が終わったらまた別のところに移住してもいいな、東京に戻るかもしれないし」という考えで「売却」を重視していました。
しかし、移住してみると、宮崎、たいへん住み心地がよい。
そして、一生懸命考えて建てた家が愛おしい(笑)。
子育てが終わったら、老後は小さな家に住み替えをするという価値観は変わりませんが、
「売るのではなく、オーナーとしてこの家を大切に維持しながら、次の子育て世代に貸すのもいいなあ…」という気持ちがムクムクしています。
そこで今回、「我が家は、子育て終了後、売却ではなく、貸すという選択肢を取れるのか?」という疑問を、いろいろシミュレーションして考えてみました。
その結果、私が「これ、子育て世代のマネープラン的にアリだな。やりたい」と思える、3つのギャップを利用した「稼げる家」が見えてきましたので、ご紹介します。
※これはもちろん私個人の考えであって、将来の資産形成を保証するものではありません。お金の使い方は自己責任という前提でお読みください。
戸建所有で武器となる、3つのギャップ
戸建所有とおカネ、利用できると思ったギャップ(差)は以下の3つです。
住宅ローン金利と、金融投資の利回りの差
家屋必要条件・面積について、子育て世帯と老後世帯の差
戸建建物の、売買評価と、賃貸評価の差
1つずつご紹介します。
①住宅ローン金利と、金融投資の利回りの差
住宅ローンは、「居住する自宅を取得するため」に特化した、格安金利の特別なローンです。たとえば変動金利は、1990年代後半から20年以上、実質、0.5%程度。
参考まで、車のローンは1~5%、教育ローンは2%程度。金利の桁が違います。
一方、金融投資の利回り。短期的には得したり損したり、ブレ(リスク)がありますが、10年、20年、30年…長期的に持ちつづけると、外国株式は約7%、国内株式は約5%の年利が見込めるとされています。
私は、全世界株式インデックスファンド(日本ふくむ先進国、新興国の超たくさんの企業の株式に幅広ーく分散投資するファンド)に資金を預けることで、少々堅めに、長期的には年5%程度の年利を期待しています。
そして実際、自分の手持ち資金から、家族4人・生活費2年分は定期預金で確保したうえで、余剰資金を全世界株式インデックス中心に投資しています。
全世界株式に分散投資する投資信託は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が有名で、私も投資しています。
この金融投資の期待利回りと、住宅ローンの超低金利のギャップを利用すると、
住宅購入時、家づくり総予算で住宅ローン借入の割合を増やし、手持ちの現金(頭金)割合は減らす。その現金を金融投資で殖やすという選択ができます。理想はフルローンです。
②子育て世帯と老後世帯の、住まいの差
子育て世帯が家を建てたあとの暮らしは、子育て期と老後期でギャップがあります。
【立地】
・子育て期→小学校や公園との立地関係、中・高校の選択肢の広さ
・老後→徒歩圏のスーパー、文化施設、医療機関等のアクセス
【家屋】
・子育て期→家族で過ごすLDK、子の成長に応じた個室
・老後→1階で寝起きと生活が完結できる間取り。
(理想は平屋。2・3階建の場合はホームエレベーターなどの計画)
これらをすべて満たす立地・家を建てると、老後期に、「子育て世帯向けの立地の価値」と「家の面積」は、持て余してしまいます。
持て余すだけならいいのですが、住んでいる人数(1人か2人)に対して家が大きすぎるので、家のメンテナンス費用が大きくなり、住まいコストの効率が悪い、損をしているとも言えます。
子育てサイズの戸建に高齢者が1人で暮らすと、「自分1人の暮らしのために多額のメンテナンス費をかけられない(かけたくない)」ため、また、認知能力が落ちるため、メンテナンスが行き届かなくなりがちです。
結果、広い家に暮らす高齢者は、生活環境が悪化しがちです…。実例→東京時代の大家さんとネズミの話。
これ、「子育て期に適した立地と家屋」を重視して家を取得し、老後に自分達は住み替え。
もとの家は次の子育て世代に貸す・売るということが実現すれば、使わなくなった価値を活用してお金が入ってきます。
それを老後の自分達の暮らしに使うことができて合理的です。
③戸建建物の、売買評価と、家賃評価の差
3つめのギャップは、戸建建物の価値が、売買と賃貸で大きく異なることです。
木造戸建ての耐用年数は22年。この影響があってか、中古の戸建を売買すると、築25年を超えたら建物価値はゼロ、「ほぼ土地値」扱いになるのが現状です。
一方、耐用年数が47年と長いマンションは資産価値の下落が緩やかです。「戸建よりマンションのほうが資産価値が下がらない」「売る前提ならマンション」「戸建を売るなら立地がすべて」という風潮があるのはこのためなのでしょう。
しかし、22年を過ぎた戸建も、「借り手がつく」立地と家の状態なら、貸し出してお家賃をいただけます。
実際、私たちは東京で、築35年程度の借家に入居。家賃15万円で7年住んでいました。
2018年7月、総務省統計局発表「借家家賃の経年変化について」によると、木造一戸建ての賃貸物件について、家賃変化年率推計は、-0.91%~-1.1%。
ざっくり家賃下落年1%ととらえると、新築で家賃15万円の家の場合、築25年で家賃11万円をキープしていることになります。売買で建物価値がゼロになるのとは、ずいぶんな差です。
個人の不動産投資家の間では、土地値で築25年以上の中古戸建物件を買い、建物をリフォーム・貸家にして家賃収入を得る、「築古戸建投資(通称ボロ戸建投資)」が流行しています。それは、この売買評価と家賃評価のギャップを利用しているから、と改めて腹落ちします。
子育て後に貸家。稼げる家の作り方
ここからは、3つのギャップを活用した、稼げる家の作り方です。
金額は、若橋家の実際の額をベースにしつつ、わかりやすい金額や年数に単純化しています。
購入時 総額抑えめ・フルローン
以下条件で家を建てるとします。
世帯年収1,000万円 夫婦・子2人
家づくり総額5,000万円
ー土地2,000万円
ー建物3,000万円
変動金利0.5%で35年フルローン(元利均等)
月々13万円支払い+修繕積立金2万円
頭金に出せる1,500万円を、世界株インデックス投信・年利5%で運用開始
20年後 ローンを完済して貸家に
20年後の住宅ローン残債と、投資で増える見込みの金額は以下の通り。
住宅ローンの残額 240回返済時 2250万円
投資に回した1,500万円は3,980万円に(+2,480万円!)
①の低金利住宅ローンの金利、金融投資期待リターンのギャップを利用した結果、計算上は、20年経つと、利息だけで住宅ローンの残額を完済できる額になりました。わお。
つぎに、②子育て世帯と老後世帯の、住まいの条件ギャップを使います。
賃貸相場は、基本的に広くなれば高くなります。
築20年、4LDKの子育て世帯サイズの家を賃貸に出して15万円。
自分達は築10年、2LDKのマンションを借りて、家賃10万円だったとすれば、超単純計算で5万円収入があります。
住み替えで、小学校立地など子育て重視の条件から、徒歩圏スーパーや医療施設アクセスなど、老後に適した条件の立地・物件に移れることも魅力です。
さらに、③戸建建物の、売買評価と、家賃評価の差を使えば、耐用年数22年を超えた建物でも、お家賃を産み出してくれる収益物件、まさに資産となります。しっかりメンテナンスしていけば、築50~60年くらいまではお金を産み出してくれそうです。夢のある話。
注意点は、「住宅ローンは、自宅建設用の特別なローン」のため、住宅ローン返済中は、貸家にはできないということです(海外赴任中の一時的な貸し出しなどは銀行と相談)。
住宅ローンが借りやすい・借りられるからといって、8000万、1億円と額が大きいローンを借りて豪華な家を建てると、完済=借家にできる時期がどんどん遅れて、機会損失になってしまいます。
稼げる家にするには、建物にお金をかけすぎない。これ大事です。
貸す前提で自宅を新築する強み
注文住宅の出口戦略を「貸す」として建設する場合、
「長持ちすること、メンテナンス性の良さ」という目線が強くなります。
我が家は、「売却時に、買い手に評価されるといいな」という思いで、総予算は抑えめにしつつ、内装や住宅設備よりも、家自体への性能に予算配分しました。
耐震性を高めた設計。(我が家は耐震等級3・許容応力度計算)
雨もりリスクを減らすべく軒を出す。
少し高グレードな屋根材や外壁材。(ガルバ屋根、高耐久サイディング)
断熱性能、気密性能をあげる。(断熱等級6、C値1.0)
シロアリ対策を強化する。(ターミダンシートをプラス)
どれも、新築時を逃すと、後から取り返すことが大変なものです。
そして、オーソドックスでシンプルな外観、どの家族にも使いやすい汎用性・可変性のある間取りも大切にしました。
これらの工夫…他者に売却だと、評価されるかは運次第です。
しかし、自分の資産のまま貸家にすると、大家さんとしての自分に100%評価されます。
こんな……貸し出すための配慮をもって建てられ……かつ…貸し出すことを見込んで、早め早め、良好にメンテナンスがされているとしたら…そんな築20年の家は……収益物件として、むちゃくちゃ希少価値が高い気がします。
探そうと思っても難しいし、あったとしても世の戸建大家さんたちの争奪戦。それが争奪することなく自分のものです!
おまけに、住宅ローンという超低金利ローンで建てていて、自宅から貸家に変えるとき、取得コスト(仲介手数料や取得税)がかからないのです。すごい。
将来の借り手にとっても、持ち主が住みつぶすつもりで建てて、「メンテナンス…まだいいんじゃない?先送りしよ」と過ごしていた家より、人様に貸すつもりで作り、ていねいに暮らしてメンテナンスされた家は、魅力的だと思います。(そういう借家があったら最高でした、借家の賃貸人時代。)
地域にとっても、良好なメンテナンスがされた家で、子育て世代が10年スパンで入れ替わる家というのは、この超少子高齢社会で、地域の活気が保たれて有益だと思います。
うーん、みんなハッピーかもしれない。
許容できるリスクを取ること
ここまでの話、ツッコミどころは色々あるかと思います。
・そんなに頭金もってないよ!
・投資なんて怖い!
・子どもが私立に行ったりしてお金かかるかもよ?
・東京では5000万円で土地・建物揃いません!
・首都圏郊外に行けってこと?通勤大変すぎ
・住宅ローンの低金利、これから上がるんじゃない?
・これから空き家増えるのに、地方で、そんな家賃で貸せるの?
・老後に住み替えできる家、ほんとにあるの?
まあ、どれも、そうですよね。
でも、我が家の場合は、「許容できるリスク」ととらえました。
頭金 → 私が独身時代から資産運用していたので、それなりにあった
教育 → 公立派なので地方移住
土地 → 地方都市なら5,000万円程度で「貸せる立地」で家が建つ
通勤 → リモートワークで東京の仕事が地方でできる状態を得た
金利 → 急上昇したら運用益と比べて繰り上げ返済
家賃 → ありえる。(実際に同程度の立地で築20年オーバー・15万円で成り立っている貸家を知っている)
全部そろうのは稀かもしれませんが・・・
「貸せる」利便性のある土地を親・祖父母がお持ちで譲ってもらえる場合、土地コスト分は浮きます。
稼ぎ手がまだ20代~30代前半の若い世帯なら、20年と言わず、運用益がローン残額を上回るまで、積み立てしながら待つ時間もとれます。(投資は時間が味方!)
私だって、22歳の小娘が最初に外貨商品に投資するとき、めちゃビビりました。リーマンショックで資産が大幅に目減りしたときは途方にくれ、でもめげずに投資を続けたから、投資に回せるくらいの頭金ができました。
夫も、東京で、満員電車で1時間以上かけてオフィスに通っていました。でもコロナをチャンスにリモートワーク向きの部署へ異動をかなえ、自ら業務設計して、オフィスから1000km遠方で在宅勤務を回しています。
ごく一般人の私たちが、1つひとつ、その時々で取れる範囲のリスクをとって結果をつみあげたから、「稼げる家を建てる」カードがそろったんだなとしみじみします。
再掲しますが、戸建所有をするにあたって、3つのギャップがあることは間違いありません。
住宅ローン金利と、金融投資の利回りの差
家屋必要条件・面積について、子育て世帯と老後世帯の差
戸建建物の、売買評価と賃貸評価の差
これらを認識して、ご自身の収入や暮らし方と照らし合わせると、「稼げる家」が具体的にイメージしやすくなります。
参考になったら、ぜひ考えてみてください。
この記事は、加筆・再編集して、2023年秋までに、若橋家の家づくり記録としてkindle本にまとめようと考えています。
興味をもっていただけましたら、そちらもぜひご覧ください。
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