見出し画像

「貸す前提の自宅」は、賃貸転用時に数百万円を節約できる、と言えるかもしれない

こんにちは! 若橋未央です。
私達家族は2022年12月、夫の故郷・宮崎に注文住宅を建てて、移住を完了しています。子ども達が独立する15年後~、自宅を賃貸に出して住み替えを夢想するアラフォーです。

少し前の記事で、所有する自宅を賃貸に出すと、中古物件を新規取得するときに比べて、「取得コスト(仲介手数料や取得税)がかからない」利点があることに触れました。

不動産の取得コストそれって、どのくらいの金額なんだっけ…?と思い、改めて確認したところ、その額の大きさにびっくりしましたので、ご紹介します。

そして、不動産取得コストをもう少し深く考えてみると…、好立地マイホームの貸家転用は、百戦錬磨のプロ大家さんたちと競合しない、ニッチな世界で勝てるかも?という希望が見えてきました。それも後半で書いてみましたので、よろしければお付き合いください。

中古住宅を購入する際のコストは高い

不動産賃貸業(大家業)で物件を買う際は、物件そのものの値段以外にも、いろいろと初期費用がかかります。「買うときだけ必要」な主な費用をあげると以下のとおりです。

  • 仲介手数料 …不動産屋さんへの支払い。400万円超の取引物件の場合、価格(税抜)×3%+6万円+消費税

  • 不動産取得税 …不動産を購入したとき払う税金。固定資産税評価額×3%

  • 登録免許税 …所有権の登記時にかかる税金。売買所有権移転で、固定資産税評価額×2%

  • 司法書士報酬 …登記手続きを依頼する報酬

  • 印紙税 …高額の売買契約書を作成するときの税金

新築で自邸を建てた際も一通り払っているのですが、「既に払ったコスト」に対する記憶は薄れているものですね……調べなおしました。

なお、「自宅用」や「新築」の不動産だと、何かと税制の優遇があるのですが、今回は、「賃貸に出すための中古住宅取得」という前提で考えますので割愛します。

立地重視・2,500万円の中古住宅で試算

初期費用は、不動産価格(土地と建物)が高くなると、高額になります。
「地方でいい立地、子育てを終えて売りに出された中古住宅を取得」でざっくり試算してみます。

試算条件
築20年の中古住宅…2,500万円
 内訳 土地値2,000万円+建物価格3,000万円の17%評価(500万円)
固定資産税評価額…1,700万円
  内訳 1,400万円(土地値7割)+建物評価300万円(請負額5割×20年超え評価2割)

※土地価格は取得時と同じと仮定。築20年・建物価格17%評価は、国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」2010 より。

試算すると、おお、約200万円になりました。

著者作成。2023年現在の税制をベースにしつつ、期間限定の軽減などは割愛

不動産投資として2,500万円クラスの物件を買う場合、銀行からの借入で物件を購入することが多く、さらにローンの手数料などが乗ってくるので、200万円より、もう少し高いはず。
なお、この約200万円は、リフォームへの出費と違って、物件の資産価値を上げる費用ではないので、単純に消えてしまうお金です。

持ち家の賃貸転用なら、200万円分の節約!?

試算した2,500万円の物件を買うと、約200万円が仲介手数料と税金で飛んでいくことがわかりました。この物件で戸建賃貸をやろうとすると、仮に家賃が15万円/月 ついたとしても、資産にならない、消えてしまった初期費用の回収だけで1年ちょっと(14か月)かかってしまいます。

いっぽう、自分の持ち家を賃貸に転用すると、所有者は変わらないため、この初期費用約200万円がかからない。
費用回収するためにかかったはずの約1年分、儲けが早く出る…と思うと、けっこう大きい、と思いました。
(もちろん、自宅から別の場所に住み替えるので、自宅のための住居費用は別途発生します)

立地良し×良質、自宅から転用する戸建賃貸は、ニッチな勝ちを狙えるかも


自宅を将来、貸し出したいなーと思ったときの大きな不安は、
「プロ大家さんと、同じ土俵で戦えそうにない」ことです。
※ここで私が言うプロ大家さんは、本業副業問わず、不動産投資をしっかりと勉強・実施され、銀行融資と現金を巧みに使い分け、物件を複数所有して稼いでいる方…というイメージ。

でも今回、試算しているうちに、「立地が良くて良質な一戸建て」は、プロ大家さんの物件と競合しない、ニッチな勝ちが狙えるかも?と思えてきました。

プロ大家さんの「賃貸戸建」は2パターン

プロ大家さんにとって、「賃貸戸建」は次の2パターンだと思います。

  1. 空き家を超安く仕入れて、安く貸しても利益を出す物件。いわゆる地方ボロ戸建。

  2. 需要のある土地に、効率よく建てた新築戸建て物件。

安く仕入れて、高く貸せる戸建…超都会の再建築不可物件も別パターンとしてあると思いますが、ここでは割愛。

1.のいわゆる「ボロ戸建」は、~500万円程度で、古家付き土地を仕入れて低コスト(DIY含む)で家屋を改修。比較的低家賃で貸し出しても、差益を狙える手法です。仕入れ値の安さが決め手なので、土地値が1000万円を越える、よい立地だと難しくなります。

2.の新築戸建て賃貸は、地方のよい土地(人気の立地)を、効率的に利用して戸建新築を建て、高い家賃収入を得る手法です。
土地を最大限活用するので、同じ敷地に可能なら複数棟建てて、戸数を増やします。事業上できるだけ低コストで建築する必要があるので、耐震性や断熱性能など作りのグレードは低めで、植栽・庭もナシか最小限になりがち
長方形2階建ての「建売住宅」感があります。

飯田グループHP、戸建貸家のモデルより。3棟3,500万円の低コストで建設するプラン…凄すぎます!※大家さん側としては、低コスト建設はうれしいことです
https://sumaiida.com/customhome/chintaijutaku/

好立地・持ち家一戸建ての賃貸転用は、プロ大家さんと競合しない

私が考えている、「よい土地に、快適性重視の一戸建て。築20年以降に貸家にする」は、1のボロ戸建、2の新築戸建て賃貸、どちらの物件とも競合しません。
良い立地のうえに、新築戸建て賃貸では滅多にお目にかかれない快適性を兼ね備えています。
すなわち、断熱・気密性の高さ、高い耐震性の安心感、土地利用効率より住みやすさ重視の間取り、四季を感じられる植栽・庭などです。

若橋家は、利便性の高い地域で85坪の敷地がありつつ、断熱等級6・C値1.0、省エネ性能を高めた家です。1階が広めで平屋のように使えて、庭、大きなテラス屋根、ストックヤードなども充実。2023年5月撮影写真を加工

土地活用の効率性は低いのですが、家の建設~約20年は自分達家族の子育て期間を住みたいように快適に暮らす期間なので、無理ない資金計画の範囲であれば、効率云々はあまり考えなくてよいと思います。
そして、子育て期間を終えて賃貸に出すとき。利益率は低いながらも、プロ大家さんと同じ土俵で戦わなくていいということは…ほっとします笑。

ターゲットの母体は小さいけれど、「企業家賃補助などで、住居費の予算はある」「マンションより戸建派」「持ち家より賃貸派」かつ、「建売的な一戸建てではなく、快適な性能で、ゆったり庭付き一戸建てで暮らせたら最高!」というファミリーにとっては…キラキラ光る、希少価値の高い一戸建てを提供できそうに思います。
というか、本当は、私たちが移住するにあたり、質の高い快適な一戸建てを借りて、住みたかったんですよね。そのような家がなかったから、建てただけで…。

若橋家はUターン移住組ですが、不動産屋さんの話などを聞くと、どうも、県内転勤で引越しがある公務員(教員・官公庁など)のご一家が、落ち着いた住環境を求めていて、いい立地の一戸建てを家賃高めでもサッと決めていくようです。なるほど。

私たちは2022年末に新築・入居して、まだ半年。
この家での子育てが、少なくとも15年はあります。
その間、じっくり賃貸需要をウォッチしながら、いずれ貸し出すことも視野にいれ、大切に住んでメンテナンスしていこうと思います。


この記事は、加筆・再編集して、2023年秋までに、若橋家の家づくり記録としてkindle本にまとめようと考えています。
興味をもっていただけましたら、そちらもぜひご覧ください。

若橋家・家づくりや住まい方、kindle本執筆に関する最新投稿は、Twitterの「若橋未央」アカウントでもお楽しみいただけます。よかったらのぞいてみてくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?