【ツインレイ】 プログラムの始まり 1
不思議な出会い
混沌とした意識のなかで急に息苦しさを覚え、口もとに手をやった。
酸素マスク?
着けた人はまだそばにいるようだ。
私は目を閉じたまま切れ切れに言った。
「苦しい……。これ、取って」
すると、ベッドの右側から声が聞こえた。
「これを着けたほうが楽になるはずですよ」
たぶん医師だろう。低く穏やかな男性の声だった。
楽になるはず――。
理屈はそうだ。酸素マスクなのだから。
でも、実際は口をすっぽり覆われて思うように息が吐けない。
「苦しい。取って。苦しい……」
喘ぎながらそう言いつづけた。
すると今度はベッドの左側から声がした。
――なに甘えてんの?
現実の声ではない。それはすぐにわかった。
遠い昔に急死した女友達の声だ。
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