無惨!!ヘビ少女
や~い、ひっかかった!ひっかかった♪
あッ!行かないでッ!
💥
【 見世物小屋 】
身体の奇形や特殊な行為を見せることにより興行収入を生む場所。
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25年くらい前のえべっさん西宮戎神社で見世物小屋を見た。20世紀の終わりに。
その頃も既に見世物の興行をする業者はかなり減っていたから、なかなか貴重な体験だった。
この頃はテレビに人間ポンプの安田さんも出演したりしていた。生きた金魚を飲み込んで、また吐き出すというハードな芸だ。
芸人も高齢だったから、間もなく見られなくなる芸だということで、局側も頑張ったんだろう。コンプラ全盛の今では望むべくもないし、第一そんな芸をする事自体が許されない世の中だ。
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粗末な木で組み立てられた小屋の入り口横には小窓があって、中の様子がちらちら見える。演目はずっとノンストップで行われている。
時折開始を知らせるベルがジリジリジリジリ~ と鳴り響いて、入り口でおじさんが呼び込みを始める。
わたしが見た「蛇少女」は、井戸の中にずっと暮らす蛇少女は身体中にウロコが生えていて……みたいな物語口上だったように記憶する。
実際は、くたびれて痩せたおばさんが、蛇を口から突っ込み、鼻から出すという、身体を張った芸であった。蛇をヒモみたいに鼻と口から出してしごく姿にはヤケクソを感じた。
あと覚えているのは犬で、おばさんが芸をしている間は舞台のすみっこでおとなしく寝ていて、芸が終わるとすっと立ち上がって、乳母車を前足で押すという。「野崎参りは~屋形船でまいーろ~🎵」と野崎小唄のテープにあわせて人形を乗せた乳母車を押す犬が立ち止まると、背中を指でおばさんがつーっ👈と押す。また歩き出す犬。哀愁…であった。
そんな光景を満員の観客は後ろに行くほど斜めに上がった板の上に立ち見で見ていて、その間も入り口からはジリジリジリ~🎵のベルとともに、新しいお客がどんどん入ってくるので、自然とわたしは押し出されて出口の方に行き、お代を払って帰るという仕組みであった。
お代は500円だか1000円だったか。覚えていない。
とにかく、おどろおどろしい前フリで中に入ると、結構ショボい内容だったりするが、それでも蛇を鼻から出すのは誰にでもできるわけではないし、ちゃんと芸をする犬は健気だと思うし、そもそも、こういうのに入る人は騙されたくて入るのだから、それでいいんである。
「よってらっしゃい、見てらっしゃい~お代は見てのお帰りよ~親の因果が子に報い~あわれウロコが生えたまま~井戸で暮らした蛇少女~今宵あなたが目にするは!さあ、お立ち合い~ ジリジリジリジリ~🎵」
客の好奇心と期待をどれだけ掻き立てられるかが腕の見せ所。ハッキリ行って中身はなんでもいいんです。その胸のたかまり。ワクワクにお金を払うんです。
騙された!なんて言うのは、野暮ですね。
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