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去年の今頃は、カラスとの日々とお別れがあった。

 ふと、思い出したカラスの子どもとの日々。一年前の五月なかばに、近所の楠の巣から落ちたカラスの子を、保護して世話していたのだった。


 野鳥のヒナは、見つけても拾ってはいけないらしい。それは知っていたが、なりゆきで巣立ちまで見守ることにしたのだ。
 鳥に詳しいお兄さんの世話で、ステキなカラスハウスとごはんが用意され、カラスの子どもはすっかりお兄さんに懐いてしまった。
 カラスがこんなに人なつこいとは意外だった。
 けれど、それはうまくゆかず、結果としてカラスの子を死なせることになってしまった。

 
 私はこの頃、前年から崩した体調とメンタル不調でひきこもり生活を送っていて、カラスのおかげで外に出られるようになったようなものなのだ。
 不思議なことだけれど、カラスのことがあってから、その後少しずつ元気を取り戻して、7月にはハロワに通いはじめ、11月に生活支援のヘルパー研修を受けて、12月の終わりには登録先の面接に行くまでに回復した。
 そうして年明けから、今の仕事をしている。
 まだメンタルも体調も不安定なので週に3回入っている。
 去年の今ごろは、仕事をするなんて想像できなかった。毎日をやり過ごすだけで精一杯だったし、薬も服用していた。今はもう薬をのんでいないが、少し不調な時には頓服薬をのんでいる。
 完全に回復してはいないと思う。最近また不安の波が来る時があるし、無気力になって何もできずに一日が終わることも多い。やろうと決めたことがなかなかできなかったり。
 でも、まあいいか、と思うようにしている。やらなくても困らないことは先延ばしでいい。
 カラスの子どもがわたしの感情を呼び起こしてくれて、涙も沢山流したけれど、そんな風に気持ちを外に向けることを教えてくれた。

 あの子は今は、どこでどうしているかな。

 道端でカラスを見ると、巣出ってここまで大きくなるのも、ほんの一部なんだな、と思うようになった。ゴミをあさってても、生きてるんだしなーと、あまり腹も立たない。散らかるのは困るけど… 

 昨晩見た夢は、駅の構内か何かに寝てる自分が外を見ると満天の星空で流れ星だらけで、都会なのに珍しいと思っていると、真っ青な惑星みたいなのが浮かんでいて、ポケットに入っていた金が入った封筒に、妹に宛ててその流れ星の事を言付ける…という変な夢。
 私は外に寝ている夢をよく見る。道路に寝てる夢とか。なんか、居場所が無いとか漂泊者みたいな心理だろうか。外で生きていくというのは大変だけれど、解放感もあるかも。外で食べたり出したり眠ったりする野生の感覚って忘れない方がいいと思う。いや、おうちも大好きなので、あまりやりたくはないけれど。でも、なんだか頭の上が空の生活いいなあ。あ、梅雨か…
 何言ってるかわからないまま終わる。




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