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シュウカツ食わず嫌い、克服しました。

"みんな同じ服装同じ髪型で、オンシャオンシャ言いながら、優等生フィルターでいかに盛れるかを競い合う。どこへ行っても第一希望ですと嘘つきながら、作り笑いで将来を決めるなんて、なんだか...イヤだ。"

それが私が長年抱いていた就活のイメージだった。結局大学3-4年では一切就活をせず、大学院に進学。ESが、面接が、と話題にする同級生達を横目に、就活に取り組むのを先延ばしにした。

それでも時期はやってくる。卒業後の進路を決めるためには重い腰を上げねばならない。修士1年生の夏から、恐る恐るシュウカツに目を向け始めた。

この記事では、「シュウカツなにそれ美味しいの?」だった私が、食わず嫌いを克服し、無事に納得して就活を終えるまでの体験を紹介する。



私について

私は現在、大学院農学系専攻の修士2.5年生。普段は植物の生長メカニズムの基礎研究をしている。シュウカツは修士1年次の前半に始めたものの、後半からは留学に行ったので一度中断。実際には帰国後の修士2年次からシュウカツに向き合うようになった。(卒業は半年先延ばし)

修士1年次にはフランスの大学院に交換留学をし共同研究をした。帰国後はオンラインで留学先の授業を履修するとともに、日本の大学院で研究の日々を送っている。学業以外では、興味のあるオンラインイベントに参加して勉強したり、有志でイベントを企画したり、バイトしたり、趣味の料理に勤しんだり隙間なく予定を埋めるタイプだ。シュウカツに集中するために研究や趣味の活動を一旦休む人もいるけれど、私はそのようなことを全く考えられなかったし、できない状況だった。そんなやりたいこと多すぎ欲張り理系院生が、シュウカツに向き合っていくのはなかなか大変だった。

シュウカツお食い初め

修士1年生の初夏、シュウカツの影が忍び寄ってくることを感じる。同級生の友人との会話にもインターンの選考の話題が出てきて、私もなんとなくソワソワしてきた。とりあえず、マイナビとリクナビに登録して、知っている企業をざっと眺め、気になるボタンを押しておく。すると私のメールフォルダには途端に各社のラブレターの嵐が巻き起こり、早々にウンザリした。

とはいえ何もしないわけにもいかない。とりあえずサマーインターンの申し込みをしようとするも、はじめてのES・適性試験・面接にドギマギ。かなり時間も気力も消費する。研究が忙しい中で、それほど強い興味があるわけでもない企業のエントリーにエネルギーを割けず、気づけば次々に各社インターンの応募締切が過ぎていく。結局、3社狙い撃ちで申し込み、2社の短期インターンに参加した。10社以上はESも出せずに見送った。

会社説明会や合同説明会にも行ってみた。名前を聞いたことのある企業のブースに行って、一通りの会社概要を聞き、なんとなく雰囲気を感じとるばかり。自分が働くイメージを持てるわけもなく、"シュウカツやってる感"で満足しているような日々だった。

シュウカツイヤイヤ期

とりあえず卒業後の進路を決めなくちゃ。焦りを感じて手当たり次第シュウカツをした結果、私はたくさんの違和感を感じてシュウカツのことを考えるのが億劫になった。

証明写真の撮影に1万円近くもかけなきゃいけないの?スーツに黒いリュックではダメ?ハイヒール履かないといけない?履歴書手書きってまじ?とにかくいっぱいESを出すのがいいの?インターンはたくさん行かなかった私は負け組なの?勝ち負けって何?適性試験の性格診断は企業の求める人物像に合わせるものなの?理系院生が総合職受けるのは変?もったいない?ガッツリ長期インターンをしないと不利なの?研究はどうするの?ビジョンに共感する企業はあるけれど、本気でそのビジョンのために働いているのは経営層だけでは?結局名前の知れた大企業に入れたらいい、というのが一般的な認識なの?

思えばこの頃の私は、自分自身ではなく他人の目線ばかり気にしていた。誰のためのシュウカツか、よくわかっていなかった。

シュウカツ意外と悪くないぞ

留学から帰国後、一皮剥けた私は、もう一度シュウカツに向き合うことにした。留学は新型コロナウイルス蔓延の影響で、予定よりも10ヶ月も早く帰国することになってしまい、計画は真っ白。自分が本当にやりたい事はなんだろう、と問い直すところから再スタートした。

改めて自己分析からやり直していた修士2年生の夏。inteeという就活支援サービスを友人の紹介で知った。自分で企業を調べていくうえで視野の狭さを感じ、企業からのスカウトサービスで色んな企業を知ってみたいと思い、なんとなく登録してみた。

inteeについて個人的に良かったことは2つある。1つ目は自分の理想のキャリア像について、価値観のワークやwill/can/mustのワークを通して解像度が上がったこと。原体験を振り返り、自分がどのような思想を持って生きているのかをじっくり見つめることができた。 2つ目はメンターと1対1で話せる機会が多々あり、自身の価値観を肯定してくれて、価値観の合いそうな企業を提案してくれたことだ。伴走してくれる人がいることは、1人でシュウカツをして様々な違和感を感じていた私にとって非常にありがたいことだった。

おかげさまで、就活の軸ができた。原体験から自分なりに導き出した、私の大切にしている価値観は「自分らしさ」「ジブンゴト化」「サステイナブル」。将来は次世代にも続く、より良い環境や社会システムを残したい。自身も高い視座を持った人間になりたい、と本音をまとめることができた。また、周囲には「業界」や「給与」を重視する人が多い中で、私は企業の「文化・価値観」と、それが社員にどれくらい浸透しているかを重視していた。本気で社会を良くしたいという熱い志を持った仲間と、CSVではなく本業として社会課題の解決に挑戦できる環境を求めて、企業選びに注力した。

ようやく私は自分らしい価値観を大切にして、自分の幸せのために行動していいんだ、と気づけた。ただ、型に押し込められるシュウカツが嫌だったんだ。シュウカツは紛れもなく、自分のためのものである。

シュウカツは結構美味しい

私の価値観と共鳴するようなビジョナリーな企業との出会いがあり、修士2年の冬に内定、3月まで検討を続けて承諾し、無事に就活は終了した。様々な企業の話を聞き、実際に選考を受けて自分の軸と照らし合うことで、今の自分が一番納得できる決断ができたと思う。

就活は大学卒業前の一大イベントのようだ。だけど、その過程でやってきた自身の原体験や強みの分析、自分の軸の確認、未来にありたい姿を考え、自分が今やりたいことを見極めることは、この先の人生で常に行っていくものだろう。大学受験のように短期集中完全終結型のイベントではない。勝ち負けもない。他人と比べるのではなく、徹底的に自分を見つめることが大切なのだ。

自分の人生を自分で歩むためのさらなる一歩を踏む経験ができた。しかも新卒ではスキルに囚われずポテンシャルを生かして前に進める。私にとってシュウカツは美味しい経験だったと言えるだろう。

これからシュウカツするあなたへ

偏見とともにスタートした私の就活。感じた違和感を大別すると、就活の暗黙の了解のような習慣に対する違和感と、他人の目線を気にすることに対する違和感に分けられる。前者はおそらく当事者(就活生)だけではなく社会全体で議論し解決していくことが必要かもしれないが、後者は自身の就活の過程で"自分の人生は自分で決めるものだ"と認識することで解決した。

頭で色々論理的に考えることも大事だか、過去に感じた直感や違和感を振り返り、今の自分の状態を見つめ、未来ありたい姿をイメージする感覚的な判断も大切なはず。
ぜひ自分自身を信じて、あなたらしく就活に向き合ってみたら、きっと人生において良い時間になるんじゃないかと思う。

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