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どうして雛人形は3月3日を過ぎたら飾っていてはいけないの?

近年はイベントの一環として、3月頃に見事な段飾りの雛人形を飾るところを見かけるようになった気がする。

一般的に女の子の節句とされ、雛人形一式が母親の生家などから贈られて飾られる。2月28日には飾り付けを終えるところが多く、あられ・ひしもち・ハマグリなどを供えておく。
そして、3月3日を過ぎたら片付けることになるのだが、昔から「3月3日を過ぎたら早く片付けないと嫁に行き遅れる」と言われている。

今のご時世だと色々と批判が飛び出しそうな内容だが、そもそもなぜ雛人形を片付けないと嫁に行き遅れるのか?
一つには、女の子にきちんと片付けを手伝わせるための情操教育的な側面があるのだろう。

では、民俗学的にはどういう理由が考えられるのだろうか?
そもそも、雛人形は保管しておき、毎年その時期になると飾るようなものではなかった。
ではどうしていたのか?
川に流していたのだ。
現在でも、「流し雛(雛流しとも言われる)」という行事がある。
毎年、身の穢れ(凶事)を人形に移し、川に流し送ることによって、自分の身の安全を祈るのだ。雛人形のもともとの意味は、自分の汚れを移した身代わりだから、早く自分のもとから離れて欲しい存在であるといえる。

そうすると、3月3日を過ぎたら早く片付けないと嫁に行き遅れるというのは、毎年取り替えるのが本来の雛人形の持つ意味合いが、時を経ることで、早く片付けるという別な形として言い伝えられてきたのだろう。

ちなみに、いつから現在のように雛人形を飾るようになったかというと、どうも江戸時代末期には現在のような段飾りとなり、雛人形に伴う道具も出回り始めていたようだ。

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