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幽霊と妖怪は何が違うの?(2)

前回「幽霊と妖怪は何が違うの?(1)」で、幽霊と妖怪の違いを判断する考え方として柳田國男の説を見てきたが、その説に当てはまらないケースもあることがわかった。それでは他にはどのような考え方があるのか見ていく。

近世文学・芸能史学者の諏訪春雄は、幽霊について「人間であったものが人間のかたちをとって出現したものである。これに対し、妖怪は人間以外のかたちをとって出現する。前身が人間であるか、人間でないか、現状が人間のかたちをしているか、人間の形をしていないか(人間のかたちの崩れたものを含む)、という点に幽霊と妖怪を区別する一つの目安がある」と『日本の幽霊』の中で説明している。

また、文化人類学者・民俗学者である小松和彦は『妖怪学の基礎知識』において、「幽霊の重要な特徴は、遭遇者がその姿かたちから幽霊の個体識別ができる、つまりそれは誰それの幽霊だということがわかるということである。」と述べている。

これらのことから、幽霊と妖怪の違いを判別する上で姿かたちが重要な要素になると考えられそうだ。
確かに、妖怪と聞いて思い浮かぶものは人間のかたちをしていないものがほとんどな気がする。
ただ、やはり幽霊と妖怪は厳密な区分は難しそうだ。
民俗学者の宮田登も『妖怪の民俗学』で「幽霊はむしろ妖怪の属性の一つになっていると考えるのがいいのである」と主張している。

また、今回は幽霊と妖怪の違いについて様々な説を見てきたわけだが、そもそも妖怪とは何なのか、幽霊とは何なのかという問題もある。
これらのテーマについてはまた別の機会に考えていきたいと思う。


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