悪魔のような隣人
この話は1964年にポーランド東部で採集されたお話です。なんだか、分類すると世間話のような感じです。
『隣人』、ああ、これは生活の質、人生の幸福度までに関わる大事なキーワード。舐めてかかると、痛い目見ます。
それでは はじまり はじまり~
まぁねぇ、悪魔とかの話を口にしちゃぁいけないって言われているけど、昔の人だって話していたんだからねぇ、私たちが話しちゃいけないってことは、ないだろうよ。このトフォリチュフ(地名)にちょっと頭の弱い男が住んでいたんだよね。でなぁ、その男はまぁ、とんでもない隣人、人が良くないっていうか、根性が悪いっていうか、まぁ、とにかく喧嘩ばかりする、そんなお隣さんがいたんだ。
で、そのお隣さんたちが、この男に悪魔がついているって疑いをかけたのさ。だから神父さんはこの男のところに出かけて行って聞いたのさ。
「ヴィウペックさん、こちらに悪魔がいるという話を聞いたのですが・・・」
男は言ったのさ。
「はっ、いるとも!」
小さな家の戸を開け放ち、男と神父さんは中に入っていった、、、けど、悪魔なんて家にいない。ただ、男はこう言ったんだ。
「俺のお隣さんはよ、こいつがまた悪魔でさ、ずっと俺と裁判で争ってるわけよ。で、もう一人の悪魔は、俺んとこのあぜ道をいっつもダメにしやがるんだよ」
そうなんだよ、男が「いる」って言った悪魔はこのお隣さんたちのことだったんだよ。ただ、このお隣さんたちが、この男の所に悪魔がいるって、神父さんに言いつけたのさ。
男は神父さんに言ったんだよ。
「ああ、おれには悪魔がついてるさ。だが、その一人の悪魔とは裁判で争ってるし、もう一人とはあぜ道でもめてるんだ。それ以外の悪魔はここにはいないさ」
おしまい
こういう『お隣さん』たちの密告で、ヨーロッパでは昔、多くの人が魔女嫌疑をかけられて拷問の後に死刑にされたのですが、やっかりなお隣さんというのは、本当に悪魔ですな。
最近、家を探す際などは、その建物を調べるより、周りの人や近所の民度を重点的に調べろと聞きました。この歳まで生きてみて、いろんな場所、いろんな国に住んでみて、思います。
これ、本当。
いいお隣さんは宝です、神様です。
その代わり、どえらいのにあたったら、地獄だわ。
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