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得体を知る

ある人に言ってもらった言葉。

「怖いって思うなら、最悪の場合っていうのを想像してみたら?」
「どうなってしまうことが一番怖いのか」
「それが分かればそこさえ避けたらいいし、案外起こらないことかも」


ほう。
なるほど。


わたしが恐れている何か。
「怖さ」の起源となるもの。

これをつきとめてやろうではないか。

わたしは、思いつく限りの「怖いこと」を
とことん書き出そうとしてみた。

広いノートのページ一面に、
ぜんぶぜんぶ書き尽くそうと思って
シャーペンを握った。

「失敗して頭ごなしに怒られること」
「自分の知らないところで、悪い噂をされること」
「自分を否定されたり、嫌われること」
・・・


まぁ、いくつかは出てきたわけで。
いや、いくつかしか出てこないわけで。

んー。

じゃあ、一番恐れていることは何か。
これだけは、絶対に絶対に嫌だって思うこと。

「誰からも嫌われて、完全にひとりぼっちになること」

おや。。。

自分で書いた答えに違いないのに、
あまりの陳腐さに、ちょっと笑えた。
なんや…しょーもなー。
小学生も書けそうな答え。

わたしは、たったこれだけのことを
あまりにも恐れて生きている。
世界が滅んでしまうことでも、
自分や誰かの人生が明日終わってしまうことでもない、
なんともドラマチックでない回答。

こんなにも日々、愛されて生きているのに
いったい何をやってのけたら、そんな日がくるのか。

そっちを考える方が、至難の業だよ、わたしよ。

たくさんの「怖さ」をまとって、
得体の知れない何かに怯えて生きていたわたしが、
急に脱ぎ捨てられた感覚。

世界は怖いものであふれているのかと思ってた。
「怖い」をかき分けて、ときに戦って、
強く、たくましく、生きなければならないものだと。


案外、そうでもないらしい。

というか、わたしが見ていた世界は、
ちっぽけで繊細な「わたし」が傷つかないようにと
自分自身で念入りに作り上げた、
大袈裟すぎるほどに恐怖を誇張した、虚像の世界だった。

多分、そうに違いない。
恐怖に怯え、小さくなっている自分には、
言い訳ができる。
優しく、甘やかしてあげられる。

なにはともあれ、
わたしが恐れていることが現実となるほど、
世界はドラマチックじゃないよ。
そんな映画みたいなこと、起こらないよ。

そう思うと、だいぶ肩の力が抜けた今日でした。

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