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ピアノと両立したっていい!U -15が始まる

 「みんつく岡崎」(みんなでつくるプロサッカークラブ岡崎)は、「U -15」の活動を、まず始めます。15歳以下の中学生年代。来春のU -15チーム結成を見すえて、今年6月30日に「CSC岡崎 竹千代サッカースクール」をスタートさせます。みんつく岡崎のU-15には、岡崎の中学生にサッカーの選択肢を広げてあげたい、総合型地域スポーツクラブへの第一歩にしたいという思いがあります。今回の発起人トークは、U-15運営を担う犬塚正樹さん(44)が、元名古屋グランパスFWの森山泰行さん(52)、スポーツクラブの実例よく知る坂口淳さん(54)と3人で語りました。

■Jリーグへ、総合型地域クラブへ、ここから

犬塚:いよいよですね、スクールのスタート。何人くらいの子どもたちが集まってくれるのか、楽しみです。8月まで毎週水曜と金曜に開くので、無料体験を1回してもらって、気に入ったら入会していただきます。
森山:U -15は大きな絵を完成させるための第1弾という位置付けだからね。
犬塚:はい、がんばります。簡単じゃないから面白いと思っています。
坂口:U-15を含む育成組織やトップチームなど、われわれがつくろうとしているサッカーのすべてのカテゴリーの中で、最初に実際の活動を始めるわけです。ほかの地域では、まずトップチームがあって、そこが下部組織を発足させるパターンも多いんですが、岡崎の場合はここからスタート。さらに、サッカー以外の競技の活動も視野に入れた総合型地域スポーツクラブを目指していて、そこでも小中学生や高校生ら育成世代がスポーツを楽しむ場になればいいなあと思っているので、そこにつなげていきたいですね。

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カルチャー&スポーツ・クラブ

森山:CSCというのは「カルチャー&スポーツ・クラブ」の頭文字。総合型地域スポーツクラブと言っていますが、音楽や絵画など、学校だと「文化部」と言われるような活動も一緒にやっていいんじゃないかと考えているので、「カルチャー」を入れました。
坂口:いろんな選択肢があるっていいでしょ。すごくサッカーをがんばりたいヤツもいれば、今は勉強に力を入れたいとか、好きなピアノと一緒にサッカーをやりたいとかがあっていい。
犬塚:そうですね。30日に始まる今年のサッカーのスクールは基本的には小学6年生以下が対象となります。来春、このスクール生が中学に入ってU -15チームがスタートすることを見すえています。
坂口:もし希望があれば、今年も中学生を受け入れたい。中学校でサッカー部に入っていても、週に1回、みんつく岡崎の練習に参加してもらってもかまわないと考えています。

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スクール公式サイト→ https://takechiyo-soccerschool.jimdofree.com/

■スポーツしない人も好きじゃない人も

森山:犬塚くんは実績や経験があるのが大きいよね。
犬塚:小学生のサッカースクールを始めたのは2年半ほど前です。週に1回、中総(中央総合公園)で1〜3年と4〜6年の2クラスを開いて、それぞれ10数人くらいのお子さんに教えています。ボク自身は高校まで野球をしていて、大人になって草サッカーをしたくらいですけど。6年前につくった子ども遊びのNPO法人での活動の一環です。
森山:ボクはかつて、学童保育の小学生を対象にしたサッカースクールを考えたんだけど、いろいろ条件をクリアできずにできなかったんです。FC岐阜でも地域貢献活動で小学生のスクールをやろうとしたけど、その時は実現しなかった。それを実際に個人でやっているからスゴいと思う。岡崎にはこういうポテンシャルの高い人材がいろんなところで活動しているなあと実感しています。
犬塚:森山さんとお話して、サッカーだけではなくて、地域の人たちが笑顔になれることがしたい、街を元気にしたい、という言葉がボクの心の中に大きく入ってきて、もし一緒にやらせてもらえるんだったらかかわりたいという思いになりました。
森山:ずっとサッカーをやってきた人間としては、サッカーで幸せを増やしたいという思いでやっているんだけど、世の中はサッカーをやっている人ばかりではないからね。サッカーにかかわりのない人も、スポーツをしない人も好きじゃない人も、みんなが喜べるような雰囲気をつくれないかなあと思っている。サッカーチームを強くする、トッププレーヤーを育てるということだけを目指すと変な競争ばかりになってしまう傾向があるし。

スクールで教える犬塚さん

■下手じゃなくて発展途上

坂口:スポーツには勝ち負けがあって勝つと称えられるけど、勝利至上主義でU-15をつくっちゃうとエリートばかりになってしまう。多様な楽しみ方があっていい。
森山:みんなが楽しめる、というところを忘れずに努力していきたい。全員がプロサッカー選手になれるわけじゃないから。トップを目指すクラスと、サッカーの練習量は減らしてほかのことと両立させられるクラスとか、2つは必要だろうね。それで時期によってクラスを移ってもいい。サッカーに対して温度差が生まれるのは当然で、そういうときにひとつの価値観を押し付けることがないようにしたい。
坂口:イチかゼロかという選択肢だと、サッカーを続けるか、やめるか、と選ばなくてはいけなくなって、かわいそうだなあって思うんです。ボクらが中学生のとき、サッカーの練習は週に1日休みがあるかないかというのがスタンダードだった。
森山:ボクは年に3日だった(笑)。
犬塚:ボクは高校で野球部だったときには主将でエースで4番打者でした。プロ野球選手を目指して野球の強い専門学校に進んだんですが、肩の故障があったり、もっと高いレベルの選手を見たりして、1年で断念しました。スポーツでいい思いと悪いときの両方を経験したので、上手い子だけじゃなくて、苦手だけどスポーツが好きな子とか、どんな子も楽しめるようなスクールやチームにしたいと思っています。
森山:上手いとか下手っていうけど、下手じゃなくて発展途上なんだと思うんですよね。中学生くらいだと思春期で精神的に不安定なところもあるので、技術的にもメンタル的にも成長に合わせて楽しめる環境をつくりたい。

■岡崎にはU -15クラブがない

犬塚:実は岡崎の中学生年代には市内にクラブチームがないんですよね。小学生のクラブはいくつもあるんですが、中学生になってサッカーを続けたい場合、入学した中学校の部活動か、刈谷や豊田、豊橋など市外のクラブに入るしかないんです。親御さんから、地元にクラブチームがほしいという話は聞いています。
森山:Jリーグを目指すのに必要な「Jリーグ百年構想クラブ」に認定されるための要件の一つに、スクールやクリニックなどの普及活動をしている、ということもあるんだけど、岡崎の中学生選手の新しい受け皿も同時につくることができて、地元に求められている課題を解決できるチャンスだなとも思う。
坂口:入学した中学校にサッカー部がない場合もあるでしょうからね。グラウンドが狭くても、与えられた環境でやるしかない。現状がいけないというのではなく、みんつく岡崎のU-15で選択肢を広げてあげたいということです。
森山:犬塚くんがいい笑顔しているから、子どもたちもきっといい笑顔になると思うよ。

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《プロフィール》
犬塚正樹(いぬづか・まさき) NPO法人ルリアン共同代表兼子ども遊び事業部部長。1977年5月、岡崎市青木町生まれ。大樹寺小、岡崎北中、岩津高出身。高校時代は野球部。プロ野球選手を目指して滋賀県の甲賀健康医療専門学校(現校名はルネス紅葉スポーツ柔整専門学校)へ入学。右肩の故障などにより1年で断念し、安城市や岡崎市で会社員をした後、2013年に子どもに健全な遊びを体験してもらう市民活動団体Heart to Heartを設立し、2015年にNPO法人ルリアンとなる。総合的にスポーツを指導するコーディネーショントレーナーの資格を持つ。愛称は「わんちゃん先生」。

森山泰行(もりやま・やすゆき) サッカー元日本代表FW。1969年5月、岐阜市生まれ。東京・帝京高、順天堂大を経て1992年に名古屋グランパスエイトに入団。ベンゲル監督時代に途中出場で高い得点率を誇り「スーパーサブ」として活躍。J1ではリーグ戦通算215試合出場で66得点。1998年にはスロベニアの強豪ヒット・ゴリツァでもプレーした。2005年に東海社会人リーグ2部だったFC岐阜に加わり、2008年にJリーグ昇格。2014年から5年間は埼玉・浦和学院高校監督でユース年代を指導。2019年からJFLのFCマルヤス岡崎に所属。愛称「ゴリ」。

坂口淳(さかぐち・あつし) 株式会社AS代表。1966年7月、東京都生まれ。順天堂大サッカー部で森山選手が1年次の4年生。2004年から日本サッカー協会のマネジメント人材養成講座 JFAスポーツマネジャーズカレッジ講師、2007年から同カレッジのダイレクター。各地でスポーツ施設の開発やスポーツによる街づくりに取り組む。近年のテーマは地方での「スポーツ×農×アート」。

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